僕の恋愛小説【第7章 秘密のときめき】
年上の女性
「ときめき」と聞いて何を連想するだろう。ワクワクするような感覚?異性にドキドキする感覚?それとも・・・
中学生の頃の恋に恋するような時、それまでの変態性が影を潜めて普通の恋に憧れるような時が僕にもあった。中学生になっても活字が好きで、毎週図書館のSF小説を読み漁っていたが、周りの女子が恋愛小説を読んでいるのを見て、自分も少し興味を持った事がある。それでも偏屈な僕は、恋愛ものの小説も現代物ではなく、日本の明治・大正時代に書かれた純文学と呼ばれるようなジャンルの本や、ツルゲーネフの「はつ恋」のような古典文学などを読んで、ロマンティシズムな恋愛模様を夢見ていた。
そんな時に、学校に新しく赴任してきた社会科の先生は、若く、胸もお尻も大きく腰はくびれていて、明るくて愛嬌があって、性の知識を駆使するための憧れの対象としては申し分のない大人の女性だった。女子との接触に臆病な面は持っていたが、知識十分でませた中学生であった僕は同年代の女子にはあまり興味は持てず、目の前に現れた大人の女性は、「ときめき」を感じるには十分な女性であった。
学校の授業の中での社会科の時間は、僕にとって「ときめき」の感情を恋心へと醸成させる時間となった。見ているだけで癒される、周りの女子とは比べ物にならない肉感的な体型。授業中教室の生徒を見回す時に、寄せてくれる眼差し。大人びた甘い声音。どれも、恋心を抱かせるのには十分魅力的な要素だった。
密かな想い
「ヒデ君、今集めたクラス皆んなのノートを、職員室まで運ぶの手伝ってくれる?」
同姓のいたそのクラスで、先生は僕の事を下の名前で呼んだ。科目毎に先生の雑用のお手伝いをする係がいて、僕は社会科を希望し担当していた。
「分かりました。これと、この分ですね」
僕はそう言ってノートの山を両手に持つと、先生の後ろを歩いて職員室までついていった。先生の後を歩くのは実に楽しい。変態性が影を潜めたと言ってもその性質は時折顔を出して、歩く度にムッチムッチと左右に揺れる先生のお尻を、チラ見するくらいの事はしていた。背中や腰が細い割に胸が大きかったので、ユッサユッサと歩く度に少し横にはみ出した左右に揺れている横乳を見るくらいの事はしていた。
職員室の出入り口の前に到着すると、先生が引き戸を開けて廊下側に立って待っていてくれた。両手が塞がって引き戸の開け閉めが出来ないので、僕が中に入るのを先生が待っていてくれたのだ。先生の横を通った時、先生のツヤツヤな唇が何か囁くように、かすかに開いたのが横目に見えた。先生は女性として背の低い方ではなかったが、僕は中学に入って一段と背が伸び、標準的な女性の大人よりは背が高くなっていたので、その唇は少し上向加減で、キスをする時の角度のようにも見えた。
戸を横切って中に入ると、先生が後ろからこっちと僕の脇を突いて行き先を教えてくれた。後ろから小突かれながら歩いて、先生の机に着いたので、
「先生、どこに置けば良いでしょう?」
机の上には、書きかけの書類やプリントで埋められ場所がなかったのでそう聞くと、
「あっ、ごめんごめん」
と言って、書類やらを片付けはじめ、
「ここに置いてくれるかな」
「あー、やっぱ、こっちにしようかー」
と言って、先生は束になった書類やらを、机の引き出しにしまったり、空いた机の端に寄せたりしていた。そうやって立ったりかがんだりをしていたせいで、僕の目からは胸元の谷間がチラチラ見えていた。
「じゃあ、この空いてるところにノートを置いてね」
と先生が振り向きざまに立ち上がってこちらを向いたとき、先生の胸の膨らみがノートを抱えている僕の両手の指先に当たった。
「・・・」
突然のタッチには声が出ないのか、タッチが柔らかすぎて感触が緩んだのか、先生は何も言わなかった。僕は何事もなかったように、机の空いたところにノートを置いて揃えた。ただ、先生の目が少し潤んでいるように見えた。
「ありがとうねー、助かった、助かった」
「ヒデ君は物腰が柔らかくて、先生の思っている事をすぐ察してくれるからいつも助かってるよ」
そう言って先生は椅子に腰掛けると、
「今度の日曜日空いてるかしら?授業の資料作りで手伝って欲しい事があるのだけど」
「ほら、教育委員会の主催で遺跡の発掘やってるでしょ、そこに来て欲しいの」
と言って、プリントを一枚差し出すと、そのプリントの内容を説明するために横に並んで立って、
「いつもお手伝いしてくれてるし、何かお礼するわ」
と耳元で囁いて、腰をクッと寄せて僕の腰を突ついた。
「身体は十分に成長したとはいえ、まだ大人に成り切ってない僕に興味あるのだろうか?」
と心の中で思いつつも、憧れの先生との会合に期待を寄せ、
「分かりました、この時間にこの場所に行けば良いのですね」
と言って、先生の腰を突つき返した。
先生は口元に微かに笑みを浮かべ、頷いた。
ときめきの行方
「S先生、おはようございます!」
プリントに書いてあった集合場所に着くと、学校の先生らしき大人が何人か集まって立ち話をしていたので、僕は先生の名前を呼んだ。
「おはよう!ヒデ君」
「今日は来てくれて、ありがとうね!」
S先生がこちらに向かって振り返った。タイトなジーンズに、やや大ぶりなタートルネックのニットシャツを着ていて、その豊満な体型を隠しながらも、スーツ時の姿を知っているものには、中に隠されている神秘的な容姿を想像させるのに十分なものだった。
その集合場所には、他にも学校の生徒らしきメンバーがいて、それぞれの先生のところに集まりつつあった。S先生のところには、僕一人だった。
お手伝いの内容は、発掘された遺物をS先生が鑑定するので、それの記録をつけてカテゴリー毎に振り分けるという作業だった。数が多いので、鑑定と記録係とに分けて効率よく進めることになったらしく、他の学校の先生と生徒も同じ要領で作業していた。
先生との作業は、作業台の椅子に隣同士並んで座りながら行うことになるのだが、それがとてもときめきを助長するものだった。遺物をとったり仕分けたりするのに身体を動かすと、肩や腕が先生に触れるし、たまに僕の肘が横乳を小突いてしまう事もあった。横を向くと、先生の顔が間近に見えることもあり、時々息もかかる。大人の女性からのそんな刺激は、成長著しい僕の身体にとっては十分で、それだけで興奮状態になりそうだった。
先生はと言えば、作業に真剣に取り組んでいる中でも、横乳を偶然小突かれると、黙ってこちらを睨む仕草を見せるが、口元は笑っており嫌に感じてはいなさそうだった。遺物を取る時でも、わざとじゃないかと思えるように、上半身を使って僕の前を大きく横切る時があり、大きな胸を眼前に寄せるのだった。
「そろそろ、終わろうか」
「はい、記録も大丈夫です」
お昼の時間を少し過ぎた頃合いで、S先生の担当分の鑑定が終わったということなので、片付けをはじめた。
「ヒデ君、お昼過ぎちゃったからお腹すいたでしょ、何食べたい?お礼がてらご馳走するよ」
僕は、
「先生を食べたいです」
という言葉をぐっと飲み込んで、遠慮がちに
「先生の手料理を食べてみたいです」
と言ってみた。先生は少し困った顔をしたが少し考えて、
「そっかー、ならうちに来る?ここから近いし」
と言って、僕を家に連れて行ってくれた。
そんなに信頼してくれてるんだと思いながら、家の玄関の前に着くと、
「少し待っててね」
と言って、先生は先に中に入って行った。きっと、片付けをしているのだろうと思って待っていると、玄関のドアが開いて、中に入れてくれた。
1LDKの部屋は綺麗に片付いていたが、下着を干していた形跡が残っており、ドレッサーからブラの紐が少しのぞいていた。
「今から作るから、お茶でも飲んで待っていてね」
と言って冷えたお茶をテーブルに置くと、先生はエプロンをして台所に戻っていった。
実は妄想の中で、先生とのこういうシチュエーションを何度か試していた。その妄想にはエプロン姿は出てこないけれど、部屋の感じはよく似ていた。初体験もまだで、大人の女性の身体もよく想像つかない中、仕入れた知識を使っての束の間の逢瀬。妄想ではあるけれど、ときめきを満たすのには十分だった。それが、今リアルな世界で感じているのは、エプロン姿の先生にご飯を食べさせてもらおうというところ。どんな展開になるのか、積極的に行こうか、いや、信頼されているし先生の出方を待つか・・・などと考えていたら料理が出来たようで、
「ヒデ君、待たせてごめんね、やっと出来たよー」
と、定番のオムライスにカップに入ったスープを二人分持って来てテーブルに並べてくれた。
「先生料理上手ですね!とても美味しそうです!」
と、これまた定番の台詞で先生の心を和ましつつ、料理をご馳走になった。
朝が早かったせいもあるのか、食べ終えてお腹が満たされたると眠たくなってきた。うつらうつらとしながら寝てしまったようで、
夢の中では、ベッドに横たえさせられた僕に先生が覆い被さっていた。お互い服は着ておらず、肌と肌が密着している感触が生々しかった。先生は僕の唇を奪うと、舌を使って口の中を刺激してきた。大人のキスはこういうものなのかと、教えられた感じだった。それと同時に先生の柔らかい胸が僕の胸に当たって、乳首同士が擦れていた。下半身のナニは固く突っ張って、それが、先生の下半身の柔らかいところに擦れてなんとも言えない心地よさだった。挿入はなく繰り返し擦れただけで発射してしまうかと思ったら、目が覚めた。
目が覚めた僕の目の前には先生の顔があった。先生は膝枕をして、僕の顔をじっと見つめていたみたいだ。僕が起きたのを見ると、上半身を抱き起こしながらそっとキスをしてくれた。上半身を抱き起こされた僕は、先生の胸に顔を埋めていた。とても柔らかくて、優しい感覚が嬉しくて涙が出てきた。その涙を舐めとって、先生はまたキスをしてくれた。
「ヒデ君、よく眠ってたね、よっぽど疲れてたのかな?」
「寝言で、私の事なんか言ってたよ、どんな夢見てたの?」
と、キスした事なんて何ともないかのように普通の顔で接してくれて、
「先生のご飯食べて寝ちゃうなんて、かわいいね」
と言って、僕の顔を胸に押し付けながら、抱きしめてくれた。
「先生のこと・・・、好きです」
と、押し付けられた顔を浮かして、モゴモゴした声で言うと、
「私もヒデ君のこと好きよ」
と耳元で囁いてくれたが、
「まだ早いわね、卒業したらいらっしゃい」
と、思わせぶりなことを言って、また抱きしめてくれたので、今度は口を谷間に当てて先生の体を舐めた。
この時の先生との逢瀬はこんな感じで終わったのだが、高校生になって再開した時に先生は約束を果たしてくれた。高校生の僕はまた一段と逞しく育っており、先生が僕を見るめも変わっているのが分かるくらいで、ときめきが両思いの恋に変わったようでもあった。
心に響いたBGM:The Sound of Silence by Simon & Garfunkel
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