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【白雪千夜】Clock Handsを読み解く
この記事について
この記事では、2024年4月6日開催の『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS UNIT LIVE TOUR ConnecTrip! 大阪公演』にて初披露された白雪千夜のソロ曲「Clock Hands」を読み解く。
なお、ここで扱う歌詞はアーカイブから書き起こしたものであり、実際のものと異なる場合がある。CD発売後に修正が入る可能性もあることに注意してほしい。
また、等noteでは、白雪千夜のストーリーを詳細に考察するとともに、誰もが分かりやすく理解できることをテーマに記事を作成している。
これまでの記事を参照することでこの記事をより楽しんでいただけるはずだ。
歌詞の考察
歌詞の全容
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アーカイブをもとに書き起こした歌詞がこちらとなる。
全体を通した印象として、この曲は白雪千夜の5年間を1つ1つ丁寧に拾い上げ表現しているといえる。どのフレーズにもこれまでの千夜の歩みとその心情を指摘することができ、表現も比喩的というよりは直接的だ。これは黒埼ちとせの『Beat of the Night』と比較するとより顕著である。
以降では、歌詞を主軸に、またライブ中の演出にも気を配りつつ曲の考察を行っていく
タイトル
まず、曲のタイトルである「Clock Hands」とは何かについて考える。
英語辞書によれば、「Clock hand」とは、時計の針を意味する言葉だそうだ。特に「hand」が針を意味し、「hands of clock」のようにして時計の針を指示する。
モニター演出にも時計の針は砂時計の砂が映し出されている。
千夜にとって「時間」「時計」は非常に密接な関係にある。
千夜は自身のことを「時間が止まっている」と表現することがある。
この曲は白雪千夜自身のことを歌っていることは間違いないだろう。
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1番Aメロ~サビまで
進んでゆく 時間の早さが
大事なものを また奪っていく
変わる季節 変わらない世界
まぶしい日差しも 昨日のままだった
音を立てて刻む秒針を 止めることが出来るのなら
明日など来なくていい
1番Aメロからサビにかけては、主に千夜の過去からアイドルになって間もない頃、Fascinateあたりまでを表現している。
家族を喪い、黒埼ちとせの"僕"となり、そうした一切の変化が無い日々がアイドルによって崩され始める様子を表している
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等記事シリーズにおけるPart1の「1.喪失」および「2.無関心」に該当すると考えられる。
1番サビ
失くして 求めなくなって 止まった日々は
いつしか モノクロになってしまった
深くに閉ざされたこの世界の中で
輝く光 なぜか手を伸ばしていた
1番のサビは、FascinateからTRUE COLORSにかけてを表現している。
特に「止まった日々はいつしかモノクロになってしまった」「輝く光なぜか手を伸ばしていた」はTRUE COLORSを強く意識しているように見える。
TRUE COLORSは「虹」がテーマの曲である。それによってこれまでの日々が色を失い、アイドルに対して憧れを持ち始めるようすが描かれている。
なお、千夜がTRUE COLORS期においてアイドルに憧れを持ち始めたことは後にDrastick Melodyで明らかとなる。
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2番Aメロ~サビまで
霞んでいる景色の中で色あせない
小さく輝くその灯火は
この世界に色をつけていった
光に触れてる それだけでよかった
静かに落ちていく砂時計
零れていく砂と同じ 前を見ても失くすだけ
2番のAメロからサビにかけては、TRUE COLORS、[Unlock Starbeat]、[ひとり、時は過ぎて……]、[君のステージ衣装、本当は…]の時期を表している。
記事シリーズPart1における「3.認知」に該当する。
この時期はアイドルに打ち込み、純粋に楽しむタイミングがあった。
特に前半部であるTRUE COLORS、Unlock Starbeatがそれに該当する。
一方で後半部の[ひとり、時は過ぎて……]や[君のステージ衣装、本当は……]ではそういった楽しい日々も喪失と隣り合わせであることを再確認し、喪失への不安を再び募らせることとなる。Drastic Melodyへの布石のターンである。
また、こうした心情は、ライブにおいては演者の関口さんや照明演出からも読み取ることができる。
1番のAメロと、2番のAメロは照明演出が異なっている。
2番Aメロに限り、関口さんの表情が明るくなり、笑顔も確認できる。また、照明も中央の関口さんの一点を照らすなど、全体的にポジティブな印象を受けることが出来る。
「求めなくなった日々」がモノクロであることと対照的に、「灯火」は色あせることがない。
なお、この「灯火」という単語は「Facsinate」で登場し、千夜のアイドルにかける熱意のようなものを表している。
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このように、アイドルに対する憧憬だけでなく、喪失への確かな不安も共存していることを描きつつサビにつなげる構成は、当時の千夜の心情とも合致している。
2番サビ
意味がない 一人きりじゃ価値もない
全部諦めたように時に流された
壊れて動かなくなったその手で
光に手を伸ばしてた
2番のサビは、[Drastic Melody]を主軸としつつ、[ひとり、時は過ぎて……]、[君のステージ衣装、本当は…]の時期を一部含んでいる。
喪失への不安を発露するとともに、それでも光(アイドルへの憧れ)を捨てきれない思いが表現されている。
記事シリーズPart1における「4.対峙」に該当する。
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「一人きりじゃ価値もない」というフレーズは、Drastic Melody期において黒埼ちとせとの距離感が開き始めたことに対しての心情を表していると考えられる。実際にイベントコミュでも近いことが描かれていた。
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前述したとおり、千夜には確かにアイドルに対して憧れを持っており、イベントコミュでは松永涼から指摘されていた。また、後に『ジュビリー』でも渋谷凛がそれとなくこの話題に触れている。
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Dメロ~ラスサビ
秒針が止まってしまった時計を見つけて苦しくなった
いつか燃え尽きる灯火
わかっていた どんな夢もいつか覚める
失ってゆくこの日々を生きることに意味はないけど
いつしかたどり着いてつむいだここにいる時間は
意味があるのかもしれない
Dメロおよびラスサビは、[Drastic Melody]、[アマ・デトワールの烙印]、『HALLOWEEN GAME』、[巡る朝、夏の夢]の時期、つまり2024年現在の白雪千夜を表している。
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「失ってゆくこの日々を生きることに意味はないけど いつしかたどり着いてつむいだここにいる時間は意味があるのかもしれない」
この「○○に意味は無いけど□□には意味があるのかもしれない」という構文は、『Drastick Melody』でも『HALLOWEEN GAME』でも使われている白雪千夜の常套句である。このフレーズによって『Clock Hands』は締められる。
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これが意味するところは、少なくとも現時点において白雪千夜には結論が出ていないということである。
記事群Part4では、白雪千夜の直近の課題を「アイドルとしての表現を見つける物語」と定めている。
この「アイドルとしての表現」やそれに向かって進んでいく時間、共にする仲間こそが千夜がアイドルをする「意味」へと変わっていくと予測している。
まとめ
公演のアーカイブをもとに、歌詞の考察を行った。
白雪千夜のソロ曲『Clock Hands』は、ここに至るまでの白雪千夜の歩みの全てが詰め込まれたものだといえる。
ゲーム内で描かれたストーリーが『Clock Hands』の理解を助け、また『Clock Hands』の歌詞や世界観が白雪千夜のストーリーの理解を助けることとなるだろう。
今後の展望
ソロ曲の公開は白雪千夜にとって大きな節目となった。
改めて今後の展望について少し記しておこう
ストーリーの実装
ConnecTrip大阪公演の業務連絡にて、ストーリー77話の公開が5月に決定した。以降もストーリーコミュの更新はあるようで、今後は遊佐こずえの『おめざめめーめー』と佐城雪美の「とくとく…… とく……」の公開が予想される。ストーリーコミュの更新が月一ペースだと考えると、『Clock Hands』の実装は最速でも8月となる。
ストーリーコミュ以後の展開
記事群Part4で扱った話題であるが、白雪千夜の今後のストーリーは、アイドルとしての表現を見つける物語」およびその目標にたどり着くまでの試行錯誤を描くストーリーへと移り変わっていくと予想している。
加えて、黒埼ちとせとの「主と僕」の関係性の終わりも想定される。Fascinate当初から、黒埼ちとせはこの関係の終わりを示唆しており、後のコミュでも伏線らしいものが確認できることから、まず間違いなく発生するイベントであると考えられる。
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等noteでは、今後も白雪千夜のストーリーを精密に読み解き、誰にでも分かりやすく理解できるよう解説を試みていく。