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演者のゆくえと、ガブさんと隊長と

新書を手繰るのが止まらんので無理やり読書を停止させる。調子が良くないサインでもあるから、日記を書いていったん寝たい。

ガブさんと虹キラ隊長が頑張っている。

都内のホールで二人と遭遇するようになったのは、6号機が市場に出回り始めた2019年より少し前のことだったと思う。仕事から離れて何も手を付ける気が起きず、都内のホールに入り浸るようになってから、この二人とはよく同じ空間にいた気がする。

ガブさんの方はおそらく生活圏内が被っていなかったし、こちらから話しかける機会もそれほど多くなかったが、隊長の方は遭遇する頻度が高かった。
当時は新宿の近くに住んでいたようで、彼が自宅周囲(半径5kmくらい)のホールをかなりの頻度で歩き回っていたからだろう。実際、新宿から交通の便が良い中野周辺のホールでも隊長とは頻繁に会った。

今、こうしてガリぞうさんと一緒に食卓を囲んで和気藹々とした写真を撮っているけど、二人ともこの境遇に辿り着くまでにかなりの苦労をしていることは想像に難くない。

隊長なんか集客力を向上させるために腰を犠牲にしたもんな。ガブさんは掴みや言動がここ数年ほぼ変わっていない気がするが、それが落語家の"まくら"のように板についてきたってことなのかもしれない。

二人は演者として一括りにするのが失礼に当たるくらい、SNS上でセルフブランディングの努力をしている。独自の方向に進化を遂げている、と言い換えても良いかもしれない。業界の中でゴリゴリに揉まれながら相応の経験値を積んだということなのだろう。

これから先、業界が肥え太ることはないだろう。
翻ってホールの方に目を向けると、そうした将来の心配を他所に思いっきり演者バブルが始まっているらしい。

「来店してスロットを打つだけでお金をもらえる」とだけ聞くと夢があるかもしれないけど、回収日に店に呼ばれる演者ほどキツい仕事はないと思う。

ヴヴヴやからサーが好きだと言う演者は多いが、回収日に呼ばれて「ヴヴヴを」「からサーを」と有形無形の圧力をホールや代理店から掛けられている状況を想像すると心苦しい。

以前、所属媒体からもらえる実戦費用を暴露した元ライターの方がいた。

最新のスマスロ事情を前提として、一度の来店につきその水準の費用しか貰えないと仮定するならば、演者という仕事はまさしく「Bullshit」だろう。要は牛のクソって意味だ。

SANKYO謹製のスマスロ(低設定)と一日向かい合うのは、賽の河原で石を積むのと同じくらい苦しいタスクだろう。展開によっちゃ4万5千円なんて昼過ぎには溶けてるもんな。そんな条件で人集めの仕事を請け負うのはとても辛いことだ。

自分の呼ばれた日が還元日ではないことが推測できて、かつ演者自身が自分の役割を理解してしまった時に「とりあえず台を確保するだけしておいて、あとはなるべくファンサービスに専念する」行動が短期的には最適解になるのもむべなるかな、といった感じがする。

ただ、これはもちろん"短期的に最適解"というだけで(とても重要なポイントだ)長期的に見れば最適解たり得ない。「絶対に損をしない」もしくは「代理店から流れてきた情報をもとに、軍団を組んで高設定の島を独占する」といった機会主義的な行動は、業界内における自分の将来を潰す選択にしかならない。

誰と何をすることがどのようなリスクであるかは完全には分からなくても、適度にリスクを取ることを志向しながら仕事を進めていくことが、きっと周囲からの信頼を勝ち取るために重要なのだと思う。

ここから先、演者一本でやっていこうとするならガブさんと隊長は良いお手本になるかもしれない。

別にガブさんと隊長が回収日に店に呼ばれている、なんて言いたいわけじゃない。
状況がどうであれ「適度にファンと交流しつつ、台の挙動を丁寧に見ながら台を打ち据えてやることが、結果としてユーザーやホールの信頼を得ることに繋がる」と言いたいのだ。

ガブさんと隊長は独自の方向性に進化を遂げた。最初の方の仕事はひょっとしたら「Bullshit」だったかもしれないけど、今はきっと悪くない環境で仕事ができているんじゃないかと想像する。

自分はまだまだ下積み生活を続けることになりそうだが、同じ時期にホールにいた彼らが飛躍していくことが自分のことのように嬉しい。どうしてかはよく分からないけど、嬉しいんだよ。だからこうして夜明けまでつらつらと文章を書いてしまった。

自分の方はとりあえず、シャワーを浴びて数時間後の通院に備える。この文章を書いていたら結局寝る時間がなくなった。

最近は内科的疾患が増えてしまっていけない。自分も数年前の隊長のように、新宿近辺をもっと歩き回らなくては…。

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