NewJeansのお母さん、ミン・ヒジンの話
DTMerのみなさん、
音楽好き、K-POPファンのみなさん、こんにちは!
日本を拠点に活動している
韓国人ミュージシャン・作曲家、YUNです。
HYBEとNewJeansのニュースに注目している方も多いと思います。
日本でもNewJeansのプロデューサーであり、
元ADORの代表だった「ミン・ヒジン」さんへの関心も高まっていることを日々感じています。
というわけで、
今回の記事ではNewJeansのお母さん、「ミン・ヒジン」さんはどういう人なのか、
そして彼女がプロデュースしたK-POPアイドルのコンセプトをみなさんに紹介したいと思います!
01. ミン・ヒジンって誰?
ミンさんはNewJeansをプロデュースし、
見事にヒットさせたことで一躍有名になった、韓国のプロデューサーです。
NewJeansを通して、
そしてミンさんとHYBEの間の争いで彼女を知った方も多いと思います。
韓国のK-POPファンたちの中で、彼女の名前はかなり前から有名でした。
「彼女が手出したものは必ずヒットする」という伝説を持っている方です。
ここからは彼女の功績をご紹介します。
02. 定、反、合、彼女の成功秘訣(SM Entertainment時期)
「ソウル女子大学」の視覚デザイン科を卒業後、「東方神起」、「Super Junior」などが所属していたSM Entertainmentに一般社員として入社します。
当時は「少女時代」のデビュー前の時期でした。
彼女は「少女時代」というグループ名を聞き、「少女時代」のためのロードマップを制作、
「どんな少女像をみせるべきか」をプレゼンします。
その結果、
彼女はアートディレクターに任命され、「少女時代」以外にも「f(x)」、「SHINEE」、「RedVelvet」など、さまざまな所属アーティストのアートディレクターとして活躍します。
ミンさんがK-POPのファンたちの中で話題になりじめたのはf(x)の2番目のアルバム、「Pink Tape」を担当してからです。
f(x)のコンセプト「神秘感」をベースに、
レトロなVHSビデオを取り入れた本作は
「アイドルのアイデンティティを守りつつも、ビデオというレトロな素材を現代化させ、若者には新鮮さを、大人には懐かしさを感じさせることによって印象付けた」と評価されます。
ミンさんはさまざまなアーティストのアートディレクティングを担当しましたが、
彼女のコンセプトが特に目立ったグループはf(x)、そしてSHINEEです。
SHINEE - View (2015)
SHINEEのアルバム「Odd」は、現在もK-POP歴史上最も独特でトレンディーなコンセプトだったと評価されています。
約10年前に発表されたとは思えないくらいトレンディーなFuture Houseの楽曲、
レトロな雰囲気があふれる褪せた色彩のPV、
その絶妙な組み合わせが醸し出す、神秘な雰囲気は今みてもまだトレンディに写ります。
彼女が携わった作品をみると、
アイドルを超え、もはや一つの芸術作品のように、
トレンディでありつつも流行りに左右されない正確なアイデンティティーを持っていることが特徴です。
ミンさんがアイドルのコンセプトアートを決める際、一番大事だと思っていることは
「定(These)」、「反(Antithese)」、そして「合(Synthese)」と言われています。
訳すると、
今最も流行しているもの(定)をベースに
その真逆であるもの(反)を提案し、
その二つの良いところを合体させる(合)
ということです。
유퀴즈언더블락 インタビュー(3:00 ~)
彼女はこの「定」、「反」、「合」の公式を利用し、
たくさんのグループをヒットさせました。
その結果、一般社員で入社した彼女はSM Entertainmentのクリエイティブ総括取締役まで出世し、前例のない大成功を手にします。
03. NewJeansのお母さんになる(ADOR時期)
NewJeans - Hype Boy
SM Entertainmentで大きい成功を手にした彼女ですが、
過労とストレスをにより2019年、SM Entertainmentを退社します。
そんな彼女に手を差し伸べたのははBigHit Entertainment(現:HYBE)のバンPDでした。
ミンさんはHYBEに入り、ADORという新しいレーベルをランチング、
さまざまなオーディションを通して自分が本当に作りたかったグループをプロデュースします。
それが「NewJeans」です。
NewJeans - Cookie
NewJeansのデビューを一言で言うと、「センセーション」でした。
メンバーの年齢が15歳、16歳と異例の若さだったこともありますが、
K-POP特有の高音ボーカルも、露骨なセックスアピールもなく、
本当に15歳、16歳の少女らしくてピュアな姿で、今まで聴いたことがない不思議な雰囲気の楽曲を持ってきたのです。
音楽的には、
韓国のインディーズで独特なサウンドの楽曲で注目されていた「250」、
グループ「XXX」のメンバー「Frank」,など、
韓国の音楽マニアやヒップホップファン達の間で有名だったプロデューサーを起用したり、
高音のロングトーンで歌唱力とパフォーマンスを見せることに本気だった
「IVE」、「LESSERAFIM」、「ITZY」のようなグループとは真逆のコンセプトで
高音メロディーもない、ビブラートもなくピュアな歌声など、
当時人気だったの女性アイドルの「反」、そのものだったのです。
強めのコンセプトが人気だった当時、
まるで隣に住んでそうなNewJeansのありのままの姿に多くのK-POPファン達は夢中になってしまいました。
NewJeans - NewJeans (Jersey Club)
NewJeans - Ditto (Jersey Club)
有能な音楽プロデューサーを起用したため、
NewJeansの楽曲はレトロや感性を持ちつつも、トレンドの最前に立っている楽曲を発表することができました。
Lill Uzi Vertの「Just Wanna Rock」から始まった「Jersey Club」をK-POPシーンに初めて発表したのもNewJeansであり、彼女達の成功によりK-POPはもちろん、多くのJ-POPアーティストやアイドルまでこの「Jersey Club」ブームに乗るようになりました。
アートディレクターであって、プロデューサであるミンさんは
NewJeansを通して新しい流行りを作り出します。
中でもNewJeansのグッズはとても大きい人気を得ました。
「Power Puff Girls」、「村上隆」、「Fragment」の「藤原ヒロシ」など、さまざまなブランドやアーティストとのコラボを通して,グッズに止まらず、ファッションアイテムとしても愛されるさまざまな商品を発売しました。
その結果、NewJeansのグッズがファッショントレンドアイテムとして紹介されたりするなど、トレンド=NewJeansという公式をたてました。
ミン・ヒジンさんは、
NewJeansはもちろん、さまざまな彼女の作品を通してアートディレクターの大事さ、コンセプトの大事さを証明し、K-POPシーンで大きな足跡をのこしました。
現在はHYBEとの争いなどで休みをとっているようですが、明確に言えるのは
彼女がプロデューサーとして、そしてもう一人のアーティストとして見せてくれた素敵な作品はまだ生命力を持って僕達の心を動かし続けていることです。
今の彼女を取り巻く争いが無事に解決し、
また彼女の新たな作品に出会える日が来ることを願います。
NewJeans - Right Now