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【キャリアの処方箋】戦略コンサル出身者はスタートアップで活躍できるのか?(キャリア面談書き起こし)

こんにちは。Professional Studio広報担当です。
弊社はスタートアップスタジオ/VCを運営するXTechグループ企業で、スタートアップ業界に挑戦する方のキャリア支援を行っています。

スタートアップ業界は変化のスピードが非常に速く、最新の情報を得るのに一苦労する方も多いのではないでしょうか。
近い業界にいたり、数社でキャリアアップを繰り返してきた方でも、スタートアップ業界へのキャリアチェンジはなかなか実像が見えてこないのではないかと思います。

本noteは、転職を検討する相談者さんから実際に寄せられたキャリアの悩みに対して、上場スタートアップ創業期で人事、戦略コンサル、キャリアコンサルタントとして数百名以上のキャリア支援経験があるProfessional Studio代表(市川)が回答していく連載企画です。

スタートアップ業界に精通するプロとして、候補者と同じ目線でキャリアプランを一緒に考えていきます。

💡 今回のキャリア相談者:Aさん🧑‍💼

・30歳男性
・有名私立大学卒業
・新卒で総合商社に入社し、主に消費財のトレーディングや海外買収先に出向し出資先にて経営企画として予実管理に3年ほど従事
・海外有名ビジネススクールでMBA取得
・現在は外資系戦略コンサルティングファームにて、大企業向けの経営戦略策定、DX、新規事業開発などを支援

🙋‍♂️💬回答するキャリアコンサルタント

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Q.キャリアパスについて
スタートアップの経営レイヤーに転職するには、どのような経験を積んでおくと良いでしょうか?

"将来は事業会社、特にスタートアップ企業で経営レイヤーに挑戦したい思いがあります。しかし現職のコンサルティングファームはドキュメントワークが多く、自分で意思決定をする機会も少ないため、経営に必要なスキルが身についているか不安です。経営レイヤーへの挑戦にあたり、どのような経験を積んでおくといいでしょうか?"

A.まずはひとつ、事業に活きる専門性を身につけることをおすすめします

前提として、経営は良く総合格闘技に例えられます。
経営では以下のような、幅広い業務への対応が求められるからです。

・Vision / 戦略策定
・推進 / マネジメント
・稼ぐ(セールス / マーケ / CS)
・プロダクト / サービスづくり
・ファイナンス(資金調達 / コスト最適)
・組織づくり(採用 / 社員のパフォーマンス向上)

上記の項目を経営者一人ですべてこなす必要はないのですが、複数人の経営陣で互いの得手不得手を補完しあい、各ロールを穴埋めしていくことが求められます。
たとえば代表がエンジニア出身のプロダクトに強い人材なら、稼ぐ力があり組織づくりが得意なCOOと、ファイナンスに強いCFOが必要、といったイメージです。

そのため経営人材は、上記の領域のどこかに強み/専門性が必要です。
加えて、他の領域にもキャッチアップできるだけの基礎知識/スキルを持つ、いわゆる「T字型人材」であることが求められます。

コンサルティングファーム、特に戦略ファームは幅広い業界に触れられる一方で、ドキュメンテーションワークも多い側面があり、上に資する深い実務経験が積めない、専門性が身につかないケースが多いです。
なので、ファームからいきなり経営レイヤーへの参画を考えるのではなく、まずは事業会社に移り、上記いずれかの領域の強みをしっかり磨く必要があるでしょう。

Q.転職のタイミングについて。
昇進を待ってから動くか、今すぐ転職すべきか迷っています

"マネージャー昇進が近いのですが、マネージャーに上がってから転職すべきか、今すぐにスタートアップに挑戦すべきか悩んでいます。将来スタートアップの経営層に食い込んでいく上でどちらが良いでしょうか?"

A.スタートアップとコンサルではマネジメントスタイルに大きく違いがあるので、コンサルファームでのマネージャー経験の有無はスタートアップでの評価にはあまり関係がないです

結論から申し上げると、スタートアップ企業から見た際に、現職の昇進の有無はあまり関係ありません。
これは、コンサルティングファームのマネジメントと、事業会社のマネジメントに大きな違いがあるためです。

スタートアップ企業は採用力が高くないケースが多く、人の能力は玉石混交かつ、期限のない長期目線でのマネジメントが求められます。

一方、コンサルの場合は一定レベル以上の均質的な人材が集まっています。
また、マネジメントもPJベースでゴール、マイルストンも明確なので、短期的なプロジェクトマネジメントが求められます。

このようなマネジメントスタイルの違いがあるため、コンサルティングファームのマネージャーが事業会社でも即戦力かと問われると、スタートアップ経営者はNOと答えることがほとんどです。

逆に、コンサルファームでの経験が長すぎると、第三者/評論家目線が無意識に身に付いてしまう点を気にされるケースも多いです。

例えば、以下のような発言をする方はスタートアップからは向いていないと判断されます。

"この事業モデルは営業勝負だよね"
(→営業組織の構築/運営が以下に大変かを理解していない)

"このドメインはTAMが小さいし、儲からなそう"
(→表面的に外から見て儲かりそうな領域はすでに大企業がやっている。例えば名刺管理のSanSanに明確な市場はあったか?)

これにより「まず動いてみて、後から精度を上げていく」というリーンな働き方へのアジャストに苦労する方が多く見られます。

コンサルからスタートアップに感覚を切り替える、いわゆる"ブレインウォッシュ"の時間が必要になるので、スタートアップ企業の経営者からはマネージャーよりも、むしろ3-5年目の若手を要望されるケースが多いです。

Q.スタートアップから見た際のコンサル人材の市場価値/評価について

"スタートアップから見た際にコンサル人材が評価されるポイント、逆に評価されないポイントを教えてください"

A.ハイレベルなGeneralistとしての働きが期待される一方、専門性不足や事業理解の薄さなどが懸念されます

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上の図は、スタートアップから見たコンサル人材に対する評価です。

ご覧のとおり戦略コンサルティングファームの方は、企業からはハイレベルなビジネスGeneralistとしての期待が高いです。

具体的には、学習能力/事務処理能力の高さ、大手企業向けの顧客折衝力、現状把握/課題整理/構造化力、ハードワーク耐性などが特に評価されます。

一方で、実務における専門性不足、事業理解の薄さ、メタ認知のズレなどは、懸念材料としてよく挙がるポイントです。

Q.ポジションについて

"コンサルティングファーム出身者が活躍しやすいポジションを教えてください"

A.事業開発、経営企画、CFO、VC/アクセラレーターなどがあります

戦略コンサルティングファームの方は、以下のポジションで活躍していることが多い印象です。上の図と併せてご覧ください。

・事業開発
セールス、マーケティング、CSなどマルチロールが求められるポジション

・経営企画
経営者の懐刀/参謀として、全社課題の特定/解決を幅広く担うポジション

・CFO
根拠を示しながら、大きな成長ストーリー、妥当な資本政策を投資家に伝え、企業側に有利な条件で資金調達をしていくことが求められるポジション

・VC/アクセラレーター
第三者視点で市場性/事業性/チーム/戦略を評価しながら、スタートアップへの投資や投資後の支援を行うポジション

Q.ポストスタートアップのキャリアとは?

"スタートアップに挑戦した先のキャリアは、どのようなケースがあるのでしょうか?"

A.大きく3つで、①自身で起業、②CXOとして転戦、③コンサルとして支援側に回る、といった3パターンを選ばれる方が多いです

スタートアップに挑戦し、経営層もしくはマネジメント層まで上がった方のネクストキャリアとしては、主に以下3パターンがあります。

① 自身での起業
② CXOとしてさまざまな企業を転戦
③ コンサルティング、社外取締役、投資家

①は、スタートアップでの経営レイヤーに近いポジションでの経験をもとに、自身のやりたい事業に挑戦するパターンです。
スタートアップは自身が創業した後の姿です。スタートアップを経験しておけば、自身でスタートアップを創業した際も経営において起きうる問題を予知できます。
そのため、1周目の起業家よりも成果を出しやすいといえるでしょう。

例を挙げると、累計20億円の調達を果たし急成長中の株式会社10X代表の矢本さんは、スマービー社(現・ストライプインターナショナル)で事業責任者、メルカリを経て、10X社を創業しています。

②は、自身の経験を別のスタートアップで活かしていくキャリアです。
1社目のスタートアップでマネジメント層を経験し、次はもう少し創業に近いフェーズでCXOにチャレンジ、という転職をするケースが多いように思います。

例を挙げると、株式会社アンドパッドCOOの堀井さんは、新卒でエンジャパンに入社され、営業マネージャー、営業企画責任者、社長室長等を歴任後、当時10名程度のラクスルに入社し、取締役で活躍された後、創業期のアンドパッド社に参画して、取締役COOとして現在は事業成長を牽引されています。

③は、第三者支援サイドに回るキャリアです。
自身の経験をもとに個人でコンサルティングをしたり、外部CXOという形で複数社を支援したりするケースも増えてきています。

明確なトラックレコードがある方に関しては、複数社の社外取締役やエンジェル投資家などの形で関わることもあります。

Q.年収について

"自身の経験を踏まえると、年収はどのくらいになりますか?"

A.コンサルからスタートアップに転職した場合、今より年収を上げるのは難しいでしょう

スタートアップに転職した場合、基本的に今よりも年収を上げるのは難しいと思われます。コンサルティング業界は高単価で高負荷なため、年収水準が高い傾向にあるからです。

スタートアップの給与レンジ相場は、以下の図のとおりです。

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コンサルに近いビジネスモデルの企業やベンチャーキャピタルなど、コンサルの経験がそのまま活きるJOBへの転職であれば、管理職で1,000-1,300万、メンバーで800-1,000万程度までレンジが上がる可能性もあります。

それがスタートアップの場合、通常のソフトウェアスタートアップなら、管理職で800-1,000万、メンバーであれば600-800万のオファーになることが多いです。

しかし、スタートアップの給与水準は過去に比べて上昇傾向にあります。
また、事業が成長すればストックオプションで大きなリターンを得るチャンスもあるため、リターンを狙うのであれば早期参画を考えるのが良いと思います。

Q.働き方について
現職と同じ働き方にならないか懸念しています

"コンサルがハードワークな点も転職を検討している理由です。スタートアップでも同じような働き方になるのでしょうか?一定覚悟はしているものの、できればサステナブルな働き方を希望しています。"

A.働き方は改善されるケースが多いです

総論としては、働き方はコンサルよりもかなり改善されるケースが多いです。
特にスタートアップは、フレックスやリモートワークを推進している企業が多く、自身で働き方をコントロールしやすい環境になっています。
また、社会的にも健康経営が浸透してきている流れから、上場審査時に労務管理が厳しく見られるようになっており、上場を意識しているスタートアップでは、サステイナブルな働き方が求められています。

ただ、クライアントワークがメインの企業では、クライアントに引っ張られて引き続きハードワークになるケースもあります。
また、経営層に近いポジションや、大きなPJなど会社の勝負どころではハードワークになる場合もあるので、働き方を最優先と考える場合はスタートアップはあまりオススメしていません。

最後に

今回のキャリア相談いかがでしたでしょうか?

▼キャリア相談に関して
弊社では、スタートアップ経営幹部に挑戦したい方からのキャリア相談をいつでも受け付けています
キャリア相談を希望される方は以下よりお気軽にコンタクトください。
https://professional-st.studio.site/

▼自社メンバー募集に関して
また、弊社では創業メンバーも募集中です。もし以下にピンと来た方はぜひ一緒に働きましょう。お気軽にご連絡頂けたら幸いです。

・人材エージェントに新しい概念を提唱したい方
・創業期のスタートアップで0→1を経験してみたい方
・日本に経営幹部を溢れさせるミッションに共感頂ける方

▼コンタクト先
・HP:https://professional-st.studio.site/
・問い合わせアドレス : info@professional-studio.co.jp
・代表市川宛にSNS(Facebook/Twitter)でDM頂いても構いません


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