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【文房具】お気に入り万年筆にカートリッジを装着するまで(おまけの方が長いです)
先日、万年筆のワンポイントシリーズでもお話ししていたのですが、大好きな万年筆のインクが切れました。
雑誌のコラボ万年筆だったので、同じ色が入手できないことは分かっていたのですが、少々残念…!!
実際に使用した最後のワンポイント達。
カートリッジ代用品
万年筆のインク残量が少なくなってきていたので、雑誌の万年筆が入っていた袋にも記載があった代用品メーカーのものを切れる前に入手しておきました!
日経Womanの2023年11月号オリジナル ローラ アシュレイ 万年筆の代用カートリッジは下記の通りです。
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推奨品番:OHTO(オート)FCR-6, Pelikan(ペリカン)TP/6
実際に購入したものご紹介
実際に購入したものがこちら。
(おまけで、他の万年筆用のコンバーターも一緒に…これは次回ご紹介します)
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色味はブルーブラックとロイヤルブルーの2色
どちらも青好きとしては楽しみです
パイロット PILOT 万年筆コンバーター CON-40
こちらは手持ちのインクボトルから充填する用です
前回のインク色に近いのはブルーブラックだと予想していますが、カートリッジは使用途中で交換する訳にはいかないので、どちらの色を先に試すか悩みます…
その悩む時間もまた楽しいですが…
(そして、この悩んでいる時にはまだ知らなかったのです…このPelikanのブルーブラックは初心者には要注意なインクだったということを…)
パッケージ詳細
よく見掛けるパッケージの表だけではなく、裏から側面まで全面を残します。
Pelikan 4001 Tintenpatronen Ink Cartridges ~Blue-Black~
ブルーブラック
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ドイツ製なのでドイツ語と英語のパッケージです
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複数の言語で記載されています
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表から縦方向で見ると左側面です
この写真の横で4.1cmのため、字はかなり小さ目です
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表から縦方向で見ると右側面です
メーカー名とカートリッジの種類、色味の記載があります
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こちらもメーカー名とカートリッジの種類、色味の記載があります
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メーカー情報が掛かれています
Pelikan 4001 Tintenpatronen Ink Cartridges ~Royal Blue~
ロイヤルブルー
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先程のブルーブラックと同じシリーズではありますが、パッケージが全然違います
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…"Erase"?!
公式ページを覗いたら、何と4001シリーズではこのロイヤルブルーだけとのこと
ペンのようなもので消しているのですが、専用の溶液を使えばということなのでしょうか?
実際には洗うと落ちる水溶性、ということを記載したページを見掛けました
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表から縦方向で見ると左側面です
こちらも横で4.1cmのため、字はかなり小さ目です
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表から縦方向で見ると右側面です
メーカー名とカートリッジの種類、色味の記載があります
先程のブルーブラックとはメーカー名とカートリッジの種類、色味の記載は左右逆転です
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こちらもメーカー名とカートリッジの種類、色味の記載があり
先程のブルーブラックとはメーカー名とカートリッジの種類、色味の記載は左右逆転です
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メーカー情報が掛かれています
同じシリーズを購入したものの、パッケージが大分違うので、公式ページを覗いてみました。
丁度ブルーブラックの在庫について記載がなかったのですが、恐らく現状の最新パッケージはロイヤルブルーのもので、ブルーブラックは一つ前のシリーズか、特殊パッケージということになりそうです。
詳細は下記にてご確認ください。
Pelikan 4001® TP/6Large ink cartridge for all Pelikan and many other cartridge fillers
Available colours: black, blue-black, royal blue, dark green, pink, red, turquoise and violet
Royal blue ink is erasable and washable
6 ink cartridges per case
ロイヤルブルーのみ水溶性インクで、洗濯で落ちるとのことのようです。
お手入れも簡単になるので、初心者にはおススメの色味ということが分かりました。
実際に装着
迷った結果、ロイヤルブルーに決定。
(ブルーブラックの話はまた後程…)
使い切ったカートリッジを外し、いざ新色…
と思ったところ、
…あれ?…入らない?
慌てて、空になった前カートリッジと新しいカートリッジの上部を目視確認。
穴が大きく開かず、再度力を込めてカートリッジを装着にトライ。
どうにかはまりはしたのですが、前のカートリッジほど安定感がなく、斜めに刺さってしまったような印象。
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写真でも少し斜めに刺さっている様子が確認できます。
使用している途中でカートリッジが外れて大惨事にならないだろうか?という一抹の不安はありつつも、インクを試したい気持ちもあり、試し書きをすることにしました。
試し書き
せっかくなので、いつものワンポイントシリーズの続きです。
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最初は少しかすれている状態で描いてしまいましたが、段々とインクが安定してきました。
前回のブルーブラックとの比較
今まで使用していた雑誌コラボのローラ アシュレイ 万年筆のブルーブラックと色を比較します。
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下段が先代の雑誌コラボ ローラ アシュレイ 万年筆ブルーブラック
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色味は現状殆ど差異がないように見えます
これは嬉しいです…!
今後もこのロイヤルブルーは愛用させていただきます
おまけの要注意Pelikanブルーブラックについて
さて、途中で出てきたPelikanのブルーブラック。
こちらは初心者には要注意のインクだったと書いたのですが、その理由が
古典インク
実際にどのようなことが起こるのか、下記にnoteのクリエイターである"のださん"の記事を引用させていただきます。
何と…大事な大事なペン先(ニブ)の金メッキが剥がれ落ちてしまったとのこと。
しかも、注意すべきは、要注意のブルーブラックではなく、今回装着したロイヤルブルーで引き起こされた大惨事だという点です。
大事な万年筆をご覧になった時の状況を我が身に当てはめてみたら、同じく床を転げ回りそうです。
(まだ金ニブなど高級品は持ち合わせていませんが、このローラーアシュレイのペン先でも傷んだら驚愕です)
のださんが載せていらっしゃるカートリッジはパッケージが私の購入したものと違うため、一概に同じとは言えませんので、念のため、のださんが購入されたパッケージの詳細を探してみたのですが、なかなかこのパッケージの背面画像が見つけられず….
一先ず、オンライン販売のページではこのような記載を発見しました。
Model Number:PELIKAN 301176
Manufacturer:Pelikan
Capacity:0.7 ml
Cartridge Size:Standard International Short
Diameter - Max:7.0 mm
Fluorescent:No
Ink Color:Blue (Royal Blue)
Ink Composition *:Dye-Based ←染料インク
*:Types of Pens: How to Pick a Pen with the Right Ink | JetPens
原文(ドイツ語)
Tintenpatrone für Pelikan- und viele andere Füllhalter
befüllt mit Pelikan 4001-Tinte
Farbe königsblau löschbar
英語
Ink cartridge for Pelican and many other fountain pens
filled with Pelikan 4001 ink
Colour royal blue erasable ←消せる
パッケージこそ違いますが、消せるといった点などで見ると今回ご紹介したパッケージのものと基本仕様は同じようです。
万年筆インクの種類
ここで、万年筆インクの種類を確認です。
万年筆のインクは下記の3種類があると様々なページに記載があります。
・染料インク
・顔料インク
・古典インク (没食子-もっしょくし-インク)
染料インク
色材に染料が使われていて、水に溶けやすい。
水に濡れるとにじみやすくて、光に弱く退色 (色あせ) するので、文章の長期保存には適していない。
ペン先で詰まったインクを洗い流しやすく、万年筆内部のトラブルは起きにくいので、万年筆のメンテナンスをしやすい。
最も一般的なインクで、色のバリエーションが豊富にある。
モンテグラッパのインク、パイロットの色彩雫、セーラー万年筆の四季織などは染料インクである。
顔料インク
色材に顔料が使われていて、耐水性、耐光性に優れている。
ペン先および万年筆内部で詰まったり、固まってしまうこともある。
しばらく使わない場合やインクを入れ替える場合は、ペン先と首軸をインククリーナーキットできれいに洗浄する必要がある。
染料インクと比べて色のバリエーションが少ない。
セーラー万年筆のストーリア、プラチナ万年筆の水性顔料インクなどが顔料インクである。
古典インク (没食子-もっしょくし-インク)
染料インクに鉄分と酸性分を加えて作られたインクである。
初めは染料の青色で、時間が経過すると染料は退色するが、鉄分は酸化して黒くなり用紙に定着する。
耐水性・耐光性に優れていて、文章の長期保存に適している。
ペン先や万年筆の内部でインクが乾燥したり固まると、洗浄することが困難になる。
ペン先と首軸の金属リングの腐食を防ぐために、インク吸入後はペン先と首軸をきれいに拭く必要がある。
染料インクと比べて色のバリエーションが少ない。
ペリカンのブルーブラック、プラチナ万年筆のブルーブラック、クラシックインクなどが古典インクである。
引用させていただいたこちらの説明にもありますが、Pelikanのブルーブラックは古典インクであり、金属を腐食します。
Pelikanの4001シリーズは、上記にもあるようにシリーズは同じでも同じ種類のインクの色違いという訳ではありません。
調べる限りでは、下記のような種類となっているようです。
染料ベースのインク:
ブラック、レッド、ピンク、ブラウン、ターコイズ、バイオレット
古典ベースのインク:
ブルーブラック、ロイヤルブルー(染料との記載も散見)
ん?ベース?
と思われた方、私もです。
あちらこちらと万年筆インクについてのページを拝見してきたのですが、初心者向けページだと、先にも記載した通り、インク種は染料インク、顔料インク、古典インクの3種類という記載があるということでお腹一杯になっておりました。
実際には、全てのインクがこの3種類のいずれかに必ず分類されるという訳ではなく、染料インク+古典インク のように複数調合して作られていることもあるようなのです。
これはPelikan社だけではなく一般的に行われているとのことで驚きました。
よって、今回装着したロイヤルブルーのカートリッジも実は古典インクが含まれているので、金属に要注意。
短期間で使い切り、お手入れすることが重要となってきます。
ただ、驚いたのは、古典インクでありながら水溶性であり万年筆に優しいという点。
何だか相反するようなイメージがありますが、これもメーカーさんの努力ということでしょうか。
万年筆のインクに限りませんが、インク種を混ぜているメーカーさんの例で見つけたのがFaber-Castell。
私の中では色鉛筆のイメージが強いメーカーさんです。
実際に染料インクと顔料インクについて公式ページに記載がありましたのでご紹介します。
気になるインクのpH
○○ベースということが分かっても、実際にpHはどれくらいなの?万年筆を傷めてしまうかどうかだけが知りたい!という方もいらっしゃるかと思います。
情報を探していたところ、心強いページを発見しましたので、是非覗いてみてください。
(インクの調合(配合)が変わる可能性もありますのであくまでご参考程度に)
こちらは、ビンテージの万年筆用にインクを選ぶ時には酸性度が重要ということに焦点を当てた実験結果ページ。
ほとんどのメーカーは、パッケージにpH値を表示していないことから自力でテストし、万年筆インクpHテスト一覧、酸性度の高いインク一覧などを作成しています。
因みにこの中の酸性ダントツ1位インクが、
Pelikanのブルーブラック…!!
何とpH2.1ということで、レモン並みの酸性度!!
これはあっと言う間に金属がダメになりそうですね…納得しました。
こちらのページにはpH中性の万年筆インクについても一覧(pH6.5~pH8.6)がありますので、大事な大事な万年筆には、是非pH中性のインクをお選びください。
そして、上記のページに引用されていたページでも気になる内容を見つけましたのでご紹介します。
先程のページでは酸性度について言及していましたが、こちらのページでは中性ではない、ということでアルカリ性度についても見解を述べていました。
日本のインクは化学組成が異なるため、アルカリ性になり、ヴィンテージの万年筆に悪影響を及ぼすといった内容で、PILOTのiroshizuku<色彩雫>が挙げられていました。
ただ、このページはあくまでヴィンテージもののペンに対してまとめているページで、そもそも昔の万年筆と現代の万年筆では、本体素材自体が別もので作られているとのことをご留意ください。
PILOTのiroshizuku<色彩雫>を使用したい場合には、PILOTさんの推奨万年筆を購入すれば何も問題はないはずですのでご心配には及びません。
インク関連動画あれこれ
おまけのおまけで動画を備忘録。
インク沼にはまっていらっしゃる方達は、こういう動画をご覧になりながら楽しんでいらっしゃるのかしらと妄想中です。
このAn Ink Guy氏、日本のインクはやってないかな~?なんて思っていたら、しっかりPILOTのインクなどもまとめていらっしゃいましたので、気になる方は是非。
"Pilot 100th Anniversary Bishamonten Red Fountain Pen Ink"って何?!と日本人の私が驚きました。
PILOTの創立記念万年筆特設サイトはこちら。
100周年のところに動画にある"毘沙門天"があります。
少し話が逸れますが、An Ink Guy氏の実験動画の中で"bleach solution"を使っているところがあり、え、漂白剤?と思い、また情報を探してみました。
アートインク専用漂白剤とかではなく、本当によく見る漂白剤を使われてアートにする方もいらっしゃることが分かりました。
科学….インクの使い方に驚くばかりです。
最後に
本編よりも、おまけの方があれこれ情報を探してボリューム満点な備忘録となりました。
インクに限らずですが、あれこれ情報を読んで、その後忘れてしまうこともあるので、今後も知っていること知らないことも合わせてまとめていきます。
…さて、今回買ったブルーブラックのカートリッジ(未使用6本)はどうしたものでしょうか(笑)
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