為替変動による元本割れを防ぐには投資期間が何年必要か。ドル円ワーストケース
為替は影響を与えるパラメータが非常に多く、予想は困難と言われています(FXはやめたほうがいい理由でもあります)。為替は値動きを予想するよりも、過去実績からワーストケースだけを考えることが無難です。
いつを起点とするか
どこを起点として見たらいいかは難しい問題ですが、政策金利の増減などはインフレ率によって定まるので自然な景気変動によるものと見ていいと考えられます。逆に、為替変動それ自体を目的にした政策、即ち人為的な為替変動があるならそこを起点として見たらいいのではないでしょうか。ドル円レートは人為的な介入が行われたことが過去にあります。85年のプラザ合意により、一気にドル円は二倍程度円高になりました。
ドル円は政策金利の比率が強く影響する
ドル円はそれぞれの中央銀行の政策金利の比率が大きな影響力を持っているようです。最近では日米ともに政策金利が0%に近かったのは13〜16年の時点です。この期間を平均すると、だいたいドル円が115円程度で推移しており、このくらいの金額が平衡がとれている程度なのだということがわかります。
為替変動による最大損失
プラザ合意以降に相場が落ち着いたのを87年とすると、ドル円は
最大 158円(90年)
最小 77円 (11年)
となっています。
これの中間が117円となり、日米の政策金利がともに0%だった頃とだいたい一致しますね。
為替変動による影響は最悪で
77 / 158 = 0.48(倍)
になることがわかります。
投資を始めてから元本割れリスクのある期間
投資をスタートしてから、為替の動きが不利な時期に資金を引き出すと、元の投資額よりも損失が出てしまうことがあります。つまり、元本割れと呼ばれます。逆に、投資を始めてからしばらく経ち、インデックス・ファンドの利益が為替の変動による損失を上回るようになれば、元本割れのリスクはもはや心配する必要がなくなります。
外貨建てインデックス・ファンドではこの期間が重要になります。
例として、オルカン(全世界インデックス ACWI)で計算をしてみます。
ACWIは平均利回り6%です。
1/0.48倍になる期間を計算すると、
$${x=log(1/0.48)/log(1.06)\\x=12.85}$$
となり、約13年もかかってしまうことがわかります・・・。
もう少し楽観的に見て為替変動額が25%としても
$${x=log(1/0.75)/log(1.06)\\x=5.04}$$
約5年かかります。
為替変動分を計算してみると、オルカンは元本割れリスクのある期間がとても長く、短期間のうちに資産を必要とする人(高齢者など)にはとてもおすすめはできないことがわかります。
次の記事では、主要なインデックス・ファンドの利回り、為替変動による元本割れリスクのある期間の比較を行っています。