【プリズンライターズ】刑務所からのポエトリー・8月
アイスクリーム
フラフラ 歩くのもやっと 敵 味方の判別もつかない
こんなになるまで放っておいたの 自分なのに ずっと 誰かのせいにしてきた
この夜 明けないで 僕たちは暗闇の中でしか 獣になれない
狼の皮をかぶった犬
たった一人の人に スーパーマン そう言われること 嬉しくて
そう言われ続けるため フラフラでも 歩いて 歩いて 歩いた
道は どこまで永遠に続く 一本道
ヒッチハイクの仕方もわからない 行きついた名も知らない 公園のベンチ
寝そべって 月の中に見えた 僕がたどりつく未来
カラカラに乾いた 目の前にあらわれた 泥だらけの水
それでも啜る選択しかない
雨は僕らの怒りと悲しみの涙 隠してくれた
壁を突き破った どこからも吹くはずのない 風が
風が 僕をそっと包んでくれた たった一つの 冷たくて甘い アイスクリーム
グラグラ揺れる道 駆けて拳振り上げる前に 掌重ねる喜び知った
暴力に振りまわされるより 愛に振りまわされ 隠さなくていい涙 知った
放つにおい 変わったよ
キレイな蝶が寄ってきてくれた
今 いま 雨あがりの空に咲く 太陽 好きになれた
僕は何も特別な存在になる 必要ないこと あの日の温もりで 気づいた
カタツムリ
10年前 石を蹴って帰った通学路
今はもうあの路(道)には石はない
そんなこと知ってても 捜してしまう
殻を破ったと思ったらまた壁
マトリョーシカの世界
いつもの路(道)で転んでしまった足元を見たら 違う靴をはいていた
そりゃそうだよな 足元も見えなくなってたのだから
駅前の電話ボックスがなつかしくて
あの頃はよく寒さをしのぐ秘密基地だった
空に舞い上がる 悲しみ振りはらって 細い最後の糸を たぐり寄せ
カタツムリが残した足跡のように 僕も足跡だけは残したい
今日も日記を書こう
変えるべき未来のために 想いを形にするために 約束を果たすために
お日様の下でキラキラ輝く そんな足跡を…
前ばかり見ることに夢中になって 気づかなかった
もうこんなとこまで来てしまったのか
あんなに進みたいと願った時 足はいうことをきいてくれなかったのに
本音と建前が簡単に分けられない
不器用な僕は 何度も同じ穴に落ちてしまい
バカだなって 笑われる
肝心なのは その穴から はい上がることが できるかということ
でなければ また挑戦することすらできない
何があっても 未来を見て 前に進み続けることを辞めない
あのカタツムリのように
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