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【受刑者からのメッセージ】A23さん

現在、ほんにかえるプロジェクトでは、全国30箇所の刑務所、約200名の受刑者の更生をサポートしています。受刑者会員に、ほんにかえるプロジェクトに入っての感想を聞きました。
感想を寄せてくれた、プリズンライターズの投稿者でもある受刑者からのメッセージをnoteでもご紹介いたします。
私たちは、この方達の思いに励まされて活動を続けています。

ほんにかえるプロジェクトHPより

「他人は変えられない」「自分は変われる」
「あなたはあなたです」「大丈夫あなたにはできる」
この言葉にどれだけ励まされ自信になったか…


私は「ほんにかえるプロジェクト」が創設された頃からの初期メンです。
この8年間大変お世話になりました。

入会のきっかけは同囚から「アマゾンで本を購入してくれたり無料で本を送ってくれる団体がある」と聞いて活動の主旨も知らず安易な気持ちで手紙を送ったのが始まりです。
当時はまだ会員も少なく、すぐ入会出来た事は今となってはとても幸せな事でした。というのも受刑生活12年間でP.J(ほんにかえるプロジェクト略)の支援が大きな影響を受けているからです。

私は学歴もなく、学生時代から勉強は出来ず、頭も良くありません。
なので刑務所内でバカにされたり、いじられる事もあり、それがとてもコンプレックスでありました。
そのコンプレックスを無くす為、多くの資格取得にチャレンジをしてきました。当所で取得できる資格は、高卒認定、簿記、危険物取扱い責任者があります。この資格取得のバックアップしてくれたのもP.Jでした。
その中でも特に思い入れがあるのは簿記2級です。
私にとって2級はとても難しく、多くの時間勉強をしましたが2度不合格でした。
P.Jからはテキスト、問題集を送って頂き、それを何度も繰り返し解き、理解が深まりようやく、3度目の正直で合格する事が出来ました。2級での2度の不合格は資格試験での初めての挫折だったのでとても思い出として残っています。

P.Jの支援には文通もあります。入会当初は汪楠さんと多くの手紙のやり取りをさせて頂きました。
当時の私は、人生経験も社会経験も乏しく人付き合いも苦手で人間関係に悩んでいました。受刑者は一癖も二癖もある人ばかりです。色々とストレスも溜まり愚痴や相談を書いてました。
汪さんの返信には厳しい言葉であったり、諭す言葉であったり色々な言葉が書いてありました。しかし否定する言葉は無く必ず肯定してくれる言葉がありました。
「他人は変えられない」「自分は変われる」
「あなたはあなたです。」「大丈夫あなたにはできる」
この言葉にどれだけ励まされ自信になったか。
今でも印象に残ってます。

その後、汪さんに私には社会との繋がりが大事と言われボランティアスタッフさんとの文通を薦められ、現在も文通をさせて頂いてます。
私はボランティアスタッフさんとの文通でも同囚の不満、刑務所の不満を書いてしまい、相手方からは厳しく、はっきりと「認知の歪み」と指摘されました。悪いのは全て他人、自分は正しいという傲りがあったのだと思います。
その事に気付かされ、その指摘を素直に受け入れる事ができました。

P.Jの支援を受けていると私は「心が満されていく」のを強く感じます。
それは本などの物でもありますが、一番は私も含め会員1人1人の事をちゃんと考えてくれている、寄り添ってくれている事だと思います。
特にそう思った出来事がありました。

以前P.JがTVのドキュメンタリー番組の密着取材を受けた事があり、それを見ていた時の事です。
受刑者会員からの手紙を読むシーンがあり、その手紙は私の「簿記試験に落ちた報告」の手紙でした。手紙を読んでいた汪さんは自分の事のように残念がってくれて「ダメだったのか」と言いながらがっかりする様子を見てとても嬉しく感じました。

それからP.Jには「ガチャ本」というシステムがあり、スタッフさんがチョイスしてくれた本が送られてくる事があります。
そのチョイスが絶妙で私の好みを知っているかの様です。これは偶然かもしれません。しかしチョイスしてくれるスタッフさんは読む人が少しでも楽しんでくれるようにとその人の事を考えて選んでくれている。
これも寄り添いの1つで私達の事を考えてくれている証拠です。
私はこの「ガチャ本」にはスタッフさんの思い、メッセージが込められているような気がしてなりません。その本には「何かを得なさい、学びなさい」という思いを汲み取るように本を読ませて頂いています。

私が最近とても心を満されるのはプリズンライターズの活動です。
私は文章を書くのも、人に思いを伝えるのも下手で苦手です。
そんな私の文章が採用され、多くの人に読んで頂き感想、コメントまで頂きました。
逮捕から13年が経ちますが社会との繋がりはほぼなく、社会では私の事など忘れる人が多く、死んだも同然の中でプリズンライターズに掲載された事で私の事を社会に知ってもらえ、存在を認めてもらえた事が何より嬉しいです。これは塀の中に居る人、誰もが思う事ではないでしょうか。

このように「ほんにかえるプロジェクト」は会員一人一人に寄り添い一人一人の事を真摯に考えてくれる団体です。
そのおかげで心が満され、余裕も生まれて行き更生に繋がるのだと思います。又、寄り添って、考えてもらえた事の優しさ、愛に直に触れ、その温かさに感動し初めて、他人に寄り添い、他人を思い遣る事が出来るのではないでしょうか。私を含め受刑者は自分勝手で他人を思い遣る気持ちが著しく低いと感じます。
それ故に罪を犯したのではないでしょうか。

しかし、P.J会員には他人への思い遣り、気遣いを感じる事があります。
会報「かえるのうた」や「プリズンライターズレポート」には会員からの手紙、コメントが記載され、文章には必ず感謝の言葉、スタッフさんを気遣う言葉が書いてあります。
以前、プリズンライターズ担当スタッフさんが腱鞘炎になった時は心配の声や気遣う言葉が沢山寄せられたそうです。
これもP.Jの支援を受け、優しさ、愛を感じた事で他人を思い遣る気持ちが芽生えた会員が多く居たのだと思います。
私も本当にP.Jには大変感謝しておりP.Jのスタッフさんの何か力になれる事はないかと考えています。こういう気持ちを芽生えさせてくれたのも、P.Jの支援のおかげです。有難う御座います。

これは私の持論ですが刑務所は更生する場所であり、更生させる場所ではないと思っています。
というのは、自ら更生の意志を生み、自己と向き合い、自己を見つめ直し全てを受け入れ、勇気を出して実行し努力をしていかないと人は変れません。刑務所は「更生しなさい」とは言いません。させる事もしません。
更生の手助けもしてくれません。更生の手助けを相談しても「外の人に頼みなさい」が決まり文句で、ここは閉じ込めて罰を与えるところです。なので全て自分次第です。
だからこそ本気で「変わりたい、人の道に戻りたい」と思う人がP.Jに支援を求めてくるのだと思います。
又、そういう人だからこそP.Jも真摯に向き合ってくれるのだと思います。

最近では刑務所でも教育に力を入れていますが、以前「被害者感情を取り入れた教育」のグループワークに参加した際職員から「あなた達に仮釈放を与える為にこの教育を受けさせる」と言われ、私なりに真剣に学ぼうとしていただけにバカにされた気持ちになりましたし、仮釈の為に被害者感情を考える教育ならば、受けなくてもいいと思いました。
こう言った事からも刑務所がいかに更生について償いについて真剣に考えていない事が分かりますし、だから再犯率も下らないのだと思います。

この8年間、P.Jが寄り添ってくれて私の事を考えてくれるスタッフさん、文通をしてくれているボランティアスタッフさんがいてくれて人の事を考える事、思い遣る気持ちが持てるようになりました。人として当たり前の事ですがそれが出来なかったから今ここにいます。人として当たり前の事が少しは出来るようになった事で自信が持て、今後の生活にも、社会復帰後の生活にもこの当たり前の事をしっかりやっていける気がします。

以上が私の「ほんにかえるプロジェクト」への感想、支援をしていただいた事で受けた影響です。
私達には今後厳しい社会に出ていく為、温かく厳しい社会の声が必要であり、寄り添ってくれる、優しさ、愛が、私達が変わるきっかけになります。どうか皆さん忌憚のない意見をお願い致します。

A23さんのプリズンライターズの投稿は下記より


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プリズンライターズ / ほんにかえるプロジェクト
【PRISON WRITERS】投稿へのサポートに関して/ 心が動いた投稿にサポートして頂けると有り難いです。お預かりしたお金は受刑者本人に届けます。受刑者は、工場作業で受け取る僅かな報奨金の1/2を日用品の購入に充てています。衣食住が保障されているとはいえ、大変励みになります。