アフリカキカク

下窪さん編集の『アフリカ』6月号に私のエッセイ(?)を載せてもらいました。
去年は本当に睡眠障害やらなんやら、自分の中で自粛期間中での生活バランスが崩れてかなりキツかったのですが、そのことを中心に文章を書くことができたうえに、本として残すことができたので、振り返ると、貴重な経験ができたなと思えます。

そして、順調に睡眠障害が治りつつあります。(一瞬でも心配をおかけして申し訳ないです)
現在はかなり現実生活と睡眠とのバランスがとれてきて、夢の内容を鮮明に思い出すことも少なくなってきたのですが、それでも私にとって睡眠時にみる夢は(思い出せる範囲で)現実と同じほどに大事な記憶です。

載せてもらった文章は、文章教室でのテーマ、『2020年の夢』に沿ったものを下窪さんに直接メールで送ったものです。
「作文を送りつけるならタダですよ?」という下窪さんの言葉に乗っかり、恐る恐る送ってみたところ、「いいですねえ…」という返事が一言返ってきて安堵したことを思い出します。(確か今年の2月頃だったと思います)
訂正も加筆も本格的にはせず、気楽に読める文としました。『アフリカ』読者の方がさっと目を通して満足できるほどの軽さとして読んでもらえたら本望です。
というのは綺麗事のようで、単純に、長文がわたしには書けないのです。

若干のネタバレになりますが、作中の登場人物として出てくる同級生のしゅんとの思い出は夢の中だけではなく、現実でも楽しいものばかりが記憶にあります。
彼は当時流行りだった「瞬足」という靴を履いていて、それを見たとき私はゲラゲラ笑いました。走り方も独特でした。そんないじりがいのある彼は年齢があがるにつれて足が速くなり、中学ではリレーの最終選手として選ばれ、大会で優勝しました。

しゅんが私の後ろの席だった時、ふと振り返ってみると、彼は何やら黒い物体を一生懸命に練っていました。それは消しゴムのカスをまとめて作り上げた練り消しで、最初は本当に小さなものだったのが、数週間すると手のひらほどの大きさに成長していて度肝を抜かれました。その集中力やら粘り強さやらに感動したのですが、また数日後に振り返ってみてみると、練り消しが最初のようにとんでもなく小さくなっていて、何故かと問うてみると「母親に捨てられた…」とボソリと話したのでまた爆笑したのでした。

彼は小学低学年の頃は野菜が苦手で、一口食べただけで吐き戻すほどだったのが、高学年になった頃、やっと食べられるようになり、給食を完食した後、隣りの席で小さな声で「やった…!」と喜んでいたのも思い出せます。

小学6年生の運動会では、「ソーラン節」を踊るのが決まり事のようだったのですが、私としゅんだけは、別に「ソーラン節」以外の踊りでもいいのではないかと手をあげたことがあり、クラスその他全員は、「ソーラン節」ではないとダメだと思うということで、見事に惨敗しましたが、その時だけやんわりとした彼との絆を感じたり感じなかったり。

しかし、そんな彼も私と同じように年をとっているわけで、あの純粋な男の子が今はどんな人間になっているのだろうと考えます。

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今回の『アフリカ』の表紙は切り絵でつくられたカメで、そのゆったりとした、のろのろ歩きだけれども確実に前進してゆくカメの姿をしゅんに見立てて考えたりします。私とは全く正反対のような性格の彼が、これから出逢うことはなかったとしても、私の記憶にたたずんでいることに感謝の気持ちが湧いてきます。

それにしても、文章教室で顔を合わせたことのある、三浦さん、UNIさんの本格的な文章を冊子で続けて読ませてもらってクラクラしました。肩身が狭いです。
下手の横好きとして文を書いている私を見出してくださった下窪さん、noteを始めるきっかけとなった三浦さん、憧れの田島さんのインタビュー、爆笑必死(かが屋だけでもう笑える)のエッセイを書く犬飼さん、その他、『アフリカ』で関わることのできたみなさん、ありがとうございます。

アフリカキカク (冊子は500円で買えます)

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