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差別のにおい。

半世紀近く前に父の仕事の関係でおふらんすに住んでいたことがある。切れ長の一重の目にまっすぐな黒髪の遠い国からやって来た女の子に周りの子供達は概ね好意的だったけれど、時々そのいかにも東洋的な容貌をからかわれたことはあった。+

+休み時間に、金髪で薄い瞳色の男子が自分の両目の端をぴっと横に引っ張り、「〇〇〇」と私に向かって言ってからかった。中国人を蔑視する言い方だ。私は子供心に、日本人にも中国人にも失礼だと思った。

+学校以外でも、形を変えても本質は同じの扱いは受けたことがあり、あの気分の悪さは今でも肌に沁みついている。見た目が違うから、フランス語がまともにしゃべれないから、というだけで見下されてしまうあの理不尽さ。

あれから時代は変わって考え方も進んだはずだけれど、本当は臭いものにふたをしているだけで、今でもふとした時にその蓋が取れて、私にはあの時感じた気持ちが一気に蘇る。子供の時の強烈な体験だから、私はその匂いに人一倍敏感だ。

臭いにおいは元から立たなきゃダメなのよ。古いけど。

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