笑いと、父と、
「もうさ、高1だよ?」
録音したラジオの向こうから、
アラフィフのおじさんが熱く話す。
この春高校生になったばかりの娘の話。
『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に、
レギュラー放送当初からお世話になっている。
1番辛い時期に心の支えとなった番組。
2022年4月6日の回、
パーソナリティの佐久間さんの声が、
いつものようにイヤホンの向こうで跳ねる。
時間の出来たある日に箱根神社に行くと家族に伝えると、奥さんは仕事があり行けない。
一方、娘さんは「暇過ぎる」「神社好き」という理由で行く旨を伝える。
天邪鬼が顔を出してしまった。
朝早いから起きられないだろうと伝える。
会話を済ませ部屋を後にした父親。
「なんで行こうって言えなかったんだ」
と強く後悔する。
…と、娘さんについて熱くお話しになる。
佐久間さんのラジオは、
お笑いの色を帯びながら、
ごく日常の、
1人の父親としての「人間」を感じる。
「高1の娘に出かけようと言えなかった」
自分のエピソードに豪快に笑いながらも、
その声の奥に哀愁も潜む。
リスナーと一緒に日記のページを、
物語のページをめくっているように感じる。
「笑いにする」
ということがいかに難しいか。
相手を笑わせるため、
頭をひねらせてすぐにできる代物ではない。
どうすれば相手が笑うか。
面白い事実はないのか。
つまらない生活ではいけないのか。
色々と考えてしまう。
ふと思う。
佐久間さんは、
何より「自分を笑わせている」と。
自分のエピソードを、
これまでもかと笑う。
リスナーが彼を愛する理由なのかもしれない。
笑えりゃなんとかなる。
私は彼にそれを教わった。
何かうまくいかないことがあれば、
笑えば良い。
誰よりも自分を1番に笑わせるのが、
笑いの醍醐味なのかもしれない。
佐久間宣行のオールナイトニッポン0
https://www.allnightnippon.com/sakuma/