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「婚姻の平等」訴訟の行方と、私たちができること
こんにちは!プリンセススクゥエアーの笠原です。
先月、大阪地裁で、「婚姻の平等」(同性婚)に関する訴訟の判決が出ました。判決内容はとても残念なもので、今後の他の地域での判決や、高裁での控訴審がどうなるのか、行方が気になります。
約1ヶ月を経て、改めて大阪地裁判決を振り返ってみたいと思います。
大阪地裁判決の概要
元々、「婚姻の平等」、つまり、「同性間でも異性と同じように結婚できるようにしてほしい!」ということを訴える裁判は、2019年から全国各地で同時にスタートしています。
最も早く結論が出た裁判は、2021年春の札幌地裁判決でした。
同性婚を認めないことが「違憲」とはっきり明言された判決はとても画期的なもので、同性婚を望む当事者たちが嬉し涙を流したことは記憶に新しいです。
ただ、大阪での判決は、全く逆の結論となりました。
以下、毎日新聞の記事から骨子を引用します。
大阪地裁判決の骨子
・「婚姻の自由」を保障する憲法24条は異性間について定めたもので、同性婚を認めていない民法規定などは違憲ではない
・同性愛者が望みどおり婚姻できない重大な影響が生じている。法的承認の制度導入などで公認の利益を実現することも可能だが、国民的な議論が尽くされていない
・異性婚が享受し得る利益との差異は解消、緩和されつつある。立法府の裁量権の範囲を超えていると認められず、「法の下の平等」を定める憲法14条にも反しない
この「同性婚ができないという現在の状態は合憲」という判決と、その理由として「議論が尽くされていない」という点や「同性婚がなくても差異が解消されつつある」という点に失望した当事者は多く、今なお議論が続いています。
大阪地裁判決の問題点
判決の全文は、こちらから確認することができます。
こちらの全文を読んで特に気になったのは以下の点でした。
「婚姻制度」を、「自然生殖により子が生まれることにより子孫を残すことのできる関係に対して法的保護を与えるもの」としたところ
これは、現代の異性愛カップルにとっても好ましくない定義だと感じました。今や、子を持たない決断をしたカップル、不妊治療を行っているカップル、老齢のカップルなど、たくさんの「子を産まない関係」が世の中にはあります。そういった多様性すら無視した定義で、裁判所がこういった表現をされることには大きな問題を感じます。
「契約や遺言など他の制度を用いることで、結婚と同等の効果を受けることができる」とした点
実際には、確かに公正証書などでいざという場合に備えることができるとしても、婚姻した場合とは大きな差があります。配偶者控除も受けられませんし、遺言を作ったとしても遺留分を親族に取られてしまったりと婚姻の場合と同じ状況にはなりません。その他さまざまな法律に定められている「配偶者」として扱われることもありません。また、公正証書を作るには手間もお金もかかります。判決文の中でも、この後の部分で「異性カップルが享受し得る婚姻の法的効果に及ぶものではない」と書かれてはいるものの、この前段の表現にもやっとした方も少なくないと思います。
同性カップルと婚姻のできるカップルの利益の差を認めつつも、「婚姻類似の制度などで緩和することもできる」という言い方をしている点
確かに、海外には結婚に近い別の制度を定め、同性カップルでも利用できるようにしているところもあります。ただ、G7で同性婚を認めていないのは日本だけですし、世界の潮流として、「婚姻制度の中に、同性カップルも含める」というものがあるのは事実です。それに、LGBT理解増進法などの法律すら国会を通らない日本という国で、新たな同性カップルのための制度が作られる望みは薄いのではと感じます。しかも「制度を作るように」と国に促す言い方ではなく「こういう可能性もありますよ」と示すだけに止めた姿勢は「逃げている」と批判されても仕方のないところかと思います。
それでも残る一筋の光
ただ、全く光がないわけではないと感じたのは以下の点です。
憲法は「同性婚を禁じてはいない」としている点
異性カップルが婚姻を通じて得られる利益を、同性カップルが得られていないということが明言されている点
現在もたびたび、「日本では同性婚が禁止されている」「憲法を変えなければ同性婚は実現できない」といった誤った言葉を聞くことがありますが、今回の判決でもその点は否定されています。また、同性カップルが結婚できないことで社会的に困った状況に置かれているという共通認識は、否定できない状況になってきているとも言えるでしょう。
「議論が尽くされていない」といつまでも言い続けるのではなく、「不利益があるのであれば、早く解決するべき」という議論に早く移っていってほしいものです。
今後の展開と、わたしたちができること
これから、まだまだ全国各地の同性婚訴訟は続いていきます。
私たちにできることもいくつかあります。
同性婚訴訟を支援する団体Marriage for All Japanや訴訟をしている方々に寄付をすること
訴訟の傍聴にいって関心が高いことを示すこと
スケジュール:https://www.marriageforall.jp/plan/lawsuit/選挙でLGBTQsにフレンドリーな候補に投票することhttps://meter.marriageforall.jp/
SNSで同性婚に関するニュースをリツイートしたり、意見を伝えること
この記事を書いている私自身も、個人として寄付を行いました。
どんなことでも、まずは自分ができることから取り組んでいきましょう!
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