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増加する自治体の「パートナーシップ制度」:みなとマリアージュ制度の例

2020年、全国の自治体で同性カップルが利用できるパートナーシップ制度を導入した自治体は大幅に増加しました。なんと、2020年11月末の段階で、65自治体が導入! 2019年の導入自治体数が31自治体だったことを考えると、倍以上に増えています。

その中でも、2020年4月、プリンセススクゥエアー芝公園店のある港区で始まったパートナーシップ制度は、全国でも少ない「条例型」の制度です。今日はパートナーシップ制度の一例として、こちらの「みなとマリアージュ制度」をご紹介します。


そもそもパートナーシップ制度って?

自治体によるパートナーシップ制度について、簡単におさらいします。戸籍上同性のカップルは、いわゆる「結婚」ができません。結婚式を挙げたり、一緒に暮らすことはもちろんできますが、法律上の「結婚」ができないために法律上「配偶者」「家族」とみなされず、そのためにたくさんの不便なことが起こります。

「結婚」には変えられないものの、その不便を少しでも減らそうと、自治体ごとに「あなたたちふたりは結婚と同等の関係にあるカップルですよ」という証明書を発行する動きがあります。これが「パートナーシップ制度」です。

パートナーシップ証明書を持っていれば、例えばパートナーが緊急搬送された時、病気で入院が必要になった時、「家族割」や「住宅ローン」など配偶者がいることで有利な条件になる民間サービスなどで、配慮されやすくなります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。



条例型と要綱型のパートナーシップ制度


パートナーシップ制度は少しずつ自治体によって特色が異なります。
大きく二つに分類するならば「条例型」「要綱型」です。

港区の制度は、全国でも少ない「条例型」。要綱とは異なり、条例の改正が必要となることから実現までに時間も手間もかかります。また、当事者の手続き上も、公正証書の作成が求められるなど、煩雑です。そのかわり区内に住む市民や事業者に対してある程度の強制力を働かせることができます。

みなとマリアージュ制度は、このうち「条例型」の制度となっています。


みなとマリアージュ制度の特色

みなとマリアージュ制度は以下の三つの特色があります。

●パートナーシップ合意契約書の公正証書または私文書認証が必要。
●上記契約書には、区の標準様式を利用することができる。
●公布されるマリアージュカードには、戸籍名だけでなく通称名も利用できる。

一つ目の特徴のうち「公正証書」だけでなく「私文書認証」も認めているのは、全国でも珍しい例かと思います。「私文書認証」を利用すると、公正証書よりは一部効力が落ちることもあるのですが、作成の費用を安く済ませることができます。

また、二つ目の「標準様式」があることも、安心して利用できるポイントです。
「契約書って言われてもどう作ったらいいのかわからないよ…」という方も、標準様式の内容を見て、さらにより自分たちらしい項目を付け足したり、書き換えたりすることができます。標準様式は、現在は区役所などで配布されているようです。

参考:必須項目一覧

https://www.city.minato.tokyo.jp/jinken/documents/keiyakushohissujiko.pdf

三つ目のマリアージュカードに通称名が使える点は、通称名で日頃生活しているトランスジェンダーの方も制度を利用しやすいポイントです。

上記のような特徴とメリットのある「みなとマリアージュ制度」。港区にお住まいの同性カップルさん、またはこれから港区へのお引っ越しを検討されている方は、是非利用を検討してみてください。

みなとマリアージュ制度詳細:



公正証書(または私文書認証を受けた契約書)を作っておいた方がよい理由

みなとマリアージュ制度で必要な「パートナーシップ合意契約書」の公正証書(または私文書認証を受けた契約書)は、例えばパートナーシップ制度のない自治体にお住まいのカップルさんや、公正証書が不要なパートナーシップ制度を利用しているカップルさんであっても、作っておいた方がよいと我々は考えています。

あくまでパートナーシップ制度は自治体独自の取り組み。万一その自治体から引っ越してしまうときには、証明書を返還しなければなりません。もしかするとその自治体以外に旅行にいっているときに「万一のこと」が起こる可能性もあります。

「同性婚ができればこんな困りごとはなくなるし、わざわざ費用と手間をかけて公正証書を準備しなくてもよくなるのに…」という忸怩たる思いはありますが、作成しておくことでより安心に暮らすことができます。同性カップルが作っておくとよい公正証書の情報は、以下にまとまっています。是非参考にしてみてください。

住宅購入をきっかけに、こういった公正証書を作ることを考えられる方も少なくありません。弊社でも、公正証書作成のための情報提供やサポートを行っています。気になる方は是非お問い合わせくださいね!



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