茨木市の同性カップルへの公正証書作成補助、なにがすごいのか
こんにちは!プリンセススクゥエアーの笠原です。
公正証書作成を行政がサポート
先日、こんなニュースがありました。
大阪・茨木市、同性カップルの公正証書作成費を補助 上限5万円(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
すごくいいサポートですし、福岡洋一市長の「行政として、ほかの方と同じように暮らせるよう可能な限り施策を展開する」というコメントに涙が出そうになりました。
法律上は「赤の他人」の同性カップル
現在日本では「同性婚」ができません。
法律上で結婚できないということは、どれだけ二人が仲が良くて長年一緒に暮らしていても、さまざまな場面で「一緒に暮らしているだけの他人」と捉えられてしまうということです。
病院などの命に関わる場面、家を買ったり手放したりするようなライフイベント、民間企業での「配偶者」向けのサービスを利用したい時、どちらかが亡くなった時など、本当にたくさんの場面で、パートナーが法律上の配偶者でないために悲しい思いをする人がいます。
そういった不利益は、「同性婚」が実現しない限りはあり続けるのですが、現状を少しでもよくし、配偶者として扱われる確率を高めるためにできることがあります。それが「公正証書を作成する」ということです。
公正証書とは
公正証書とは、公証役場で物事を証明する目的で作成される公文書です。遺言や借金など、一般市民同士の訴訟や争いを防ぐために作成されるものが多いです。
公証人という方が作成するのですが、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家の方がなります。作成された原本は公証役場に保管され、債権者には正本が、債務者には謄本が、それぞれ交付されます。また、作成プロセスも厳しく、法律違反がないか、作成者は本当に本人かなどを印鑑証明などを提出させきちんと確認した上で、作成されます。そのため、信頼性が非常に高いという特徴があります。
参考:
同性カップルが作成するべき公正証書
同性カップルが作成するとよい公正証書には、以下のような種類があります。
●パートナーシップ合意契約書(お互いがパートナー関係であることや万一別れた時の取り決めなどを書いたもの)
●任意後見契約書(パートナーが認知症や病気などで判断能力が亡くなってしまった場合に、財産管理などを行うことを定めたもの)
●死後事務委任契約書(パートナーが死亡時に葬儀やさまざまな事務処理を行うことを定めたもの)
●公正証書遺言(財産をパートナーに譲ることなどを定めたもの)
特に「合意契約書」「任意後見契約書」は住宅購入の際にも重視されます。住宅ローンを二人で借りる「ペアローン」を利用する場合、自治体のパートナーシップ証明書か、この二つの公正証書を求められる場合が多いです。
公正証書の課題
では、これらを作成しておけば、同性カップルは生涯安心なのでしょうか?
実は、公正証書にも課題があります。
●作成にお金がかかること(分量などにもよりますが、1つあたり数万円が必要です)
●公証役場に複数回行きながら作成する手間がかかること(メールなどを中心にやりとりできる公証役場もあるようです)
●あくまで二人の間を縛る証明書であって、第三者への法的効力はないこと(たとえば、公正証書があっても配偶者としてペアローンを組めない金融機関もありますし、病院などで提示しても「うちは法律上の配偶者にしか手術の同意を認めていません」と言われてしまったらどうしようもないのです)
お金も手間もかかり、そもそも公正証書を知らない方も少なくないというのは、平等性に欠けると思います。収入が少なく生活するだけで精一杯という方や仕事が忙しい方、情報を集めるのが得意でない方はこういったものを利用しにくいということです。
法律婚であれば、「誰もが知っている手段」であり、「婚姻届を出すだけで簡単に手続きができる」のに……とどうしても思ってしまいます。
だからこそ、行政が「公正証書を作成することで生活の安心感を高められますよ」「お金も補助しますので、どんどん作成してください!」と言ってくれる、大阪府茨木市の取り組みは本当に素晴らしいです! ぜひ、全国に広がっていってほしいですね。
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