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同性パートナーシップ制度をどう使う?(前編)ー当事者の思いも十人十色ー

自治体による同性パートナーシップ制度が各地に広がっていますね! この制度は次のような目的で整備されてます。

「パートナーシップ制度」は、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、自治体が独自にLGBTQカップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。
受けられるメリットは、病院で家族と同様の扱いを受けられる、公営住宅への入居に家族として入居可能、生命保険の受け取りにパートナーを指定することができる、民間の家族割などがあります。

みんなのパートナーシップ制度


この制度を利用するには大きく2つの方法があります。二人の関係を宣誓するものと、公正証書などで二人の関係を証明するものです。

現在、多くのパートナーシップ制度はパートナーシップ宣誓とも呼ばれ、パートナーシップの関係を2人が宣誓し自治体が「確認しました」という受領証を渡すものです。自治体の要綱(法令に反しない範囲で取り決めた行政のマニュアルのようなもの)で実現されていて、比較的簡単に導入することができるため急速に広まっています。
また、渋谷区のように条例でルールをしっかり作っている自治体では、「任意後見契約に係る公正証書」と「合意契約に係る公正証書」などの公的な書類を必須として、区がパートナーシップ証明書を発行します(条例型のほうが強制力が強いと言われています)。

みんなのパートナーシップ制度


公益社団法人MarriageForAllJapan - 結婚の自由をすべての人に によると、同性パートナーシップ制度の人口カバー率は10月1日時点で89%となっています!→こちら

「それって同性婚が達成されたのとほぼ同じじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの制度は法律婚ほどの強い効力はありません。例えばゲイカップルの食卓を中心に描かれるよしながふみの漫画『きのう何食べた?』22巻には、主人公である筧史朗の友人のゲイカップル、小日向大策・井上航が結婚式を挙げた後の打ち上げで、こんな会話がありました。

「あとねー俺達 籍入れましたから 俺の本名 小日向航になったからね」
「あっ 結局 養子縁組したんだ・・・」
「しましたよー都のパートナーシップ条例なんて緊急時の手術の同意取れんのも都立病院のみとかただのポーズじゃん 話になんないよ!! まあもともと俺は国のやることなんかに最初っから何の期待もしてませんし 打てる手がこれしか無いんだったら打つよね!」

そうなんです、結婚式を挙げて周囲の人が二人を「カップル」「ふうふ」として認識して祝福してくれても、同性パートナーシップ制度では相続の対象にはならないし、「家族」として受けられる支援も限定されます。

じゃあ養子縁組はどうなの? というと、同じく『きのう何食べた?』18巻で、「シロさん」こと筧史朗と恋人の「ケンジ」こと矢吹賢二がこんな会話をしています。

「お前が俺の養子になれば 俺に何かあった時 家族であるお前に必ず連絡が行くし手術の時の付き添いとかもスムーズにできるよ? あと何と言っても他人が遺産もらうより養子になってる方が相続税が圧倒的に安いです!!」
「何よ 結局お金なの~~!? しかもそれ 俺のもらえるお金がちょっと多くなるってだけでしょ!? そんなのどうでもいいよ 養子縁組はやっぱりイヤ!! だって・・・だってさ・・・っ」

「俺 2時間サスペンスで見た事あるもん!! 一度でも養子縁組をしちゃった者同士はその後その関係を解消したとしても絶対に結婚する事はできなくなっちゃうんだよ!? って事はさ!! もし!! もしよ!? もし将来 同性婚が認められて男同士でも結婚できるってなった時 俺とシロさんが養子縁組しちゃってたら俺達 結婚できなくなっちゃうって事じゃない! やだよそんなの!! 大体 俺 家族って言ってもシロさんと親子になりたいわけじゃないもん・・・」

漫画からの引用とは言え、法律関係や美容師の仕事をきっちり取材しているよしながふみの作品です。この会話、すごくリアル。それぞれの状況の中で、どんな思いでどんな制度を使うか、使わないか、自分たちにとっての最適解を模索する様子は身につまされます。

同性婚に比べて課題の多い同性パートナーシップ制度ですが、次回「社員のためにこの制度を活用したい」とご相談くださったある企業さまのお話をご紹介したいと思います。お楽しみに!

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