ヘアドネーションに興味はありますか?
こんにちは、プリンセススクゥエアーLGBTs2代目担当、ワカクサです。
皆さまはヘアドネーションをご存知でしょうか? ヘア=髪、ドネーション=寄付、つまり「髪の寄付」のことです。日本のNPO法人JHD&C(ジャーダック)では、次のような目的でヘアドネーションを募っています。
2022年のメキシコでは、メタルバンドのライブイベントで髪の毛を寄付すると入場料が無料になる、という企画で音楽フェスが開催されました。
ところで、私が初めてヘアドネーションに関する情報を知ったのは1990年代のテレビ番組でした。「寄付できる髪の長さ」「脱色(ブリーチ)や染色(カラーリング)していないこと」など、当時の条件が紹介され、実際にウィッグを着用する子どもの様子を見る中で、私が思ったことはひとつ。
「髪がないことでいじめられる、っていう方がおかしいんじゃないの? 髪があることが当たり前、っていう前提を疑わないといけないんじゃないの? いいことしてるふうだけど、髪があることが”普通”で、髪がないことは”よくない”っていう発想が気に入らない」
確か中学生か高校生の辺りです。私の「社会でスタンダードとされている価値観や基準に異を唱える姿勢」はこの頃には出来上がっていたようです。
さて、そんなことを思いながら今回、私自身はがん治療に当たって、ばっさりヘアドネーションしてきました。髪が長いと入院中に不便だから、という理由もありますが、あえてヘアドネーションしたのは、「とは言え、ウィッグを必要とする人がいるなら、役に立てればいいな」という思いからでした。
”普通”や”当たり前”から外れることでいじめを経験したり、人間関係が上手く行かなかったり、進学や就職に困難を抱えることを、私を含めたLGBTsはたびたび経験し、知っているのです。そして”普通”や”当たり前”に振舞おうとして努力して疲弊しきることも。
「オカマ」「おとこおんな」「ホモ」といった言葉を投げかけられないように、過剰に男らしく肩で風を切るように歩いてみたり、過剰に女らしくフリフリの服を着てみたり、興味もない男性や女性と付き合ってみたり、私は”普通”や”当たり前”であろうと努力した結果、自分を捻じ曲げ続けて来たのでした。
だからこそ、今、目の前で”普通”や”当たり前”でありたい子どもたちを否定できないな、と思うのです。彼ら彼女らが人生を歩むうちに「髪がないことはおかしいことじゃない」と考えることがあるかもしれない。けれども、それまでは少しでも心穏やかに過ごしてほしいのです。
大人である私たちの考え方もさまざまです。「現実にいじめられて困っている子どもがいるなら、ウィッグで隠すのは悪いことじゃない」という人も、「ヘアドネーションを進めることで、髪がないことはおかしい、というメッセージになってしまうから、自分はしない」という人もいます。
私自身は、今後がんの治療で髪が抜けたりなくなったりすることがあっても、ウィッグは使わないだろうと思います。それでも、ヘアドネーションは機会があれば続けて行こうと思っています。私のような心持ちになるにはまだ早い子どもたちがいる。そんな子どもたちに安心して治療に当たってほしい。そして大人になって、少し振り返って考えてみてほしい。”普通”や”当たり前”とは何かを。
今現在、大人である皆さまはどう考えますか? どんなアクションを起こしますか? 皆さまの選択を応援するために、プリンセススクゥエアーは今後も発信を続けていきます!