LGBTsならではの資産形成とは? 専門家に聞いてみました!
資産形成とは、将来のために必要な資産を、貯蓄や投資を活用して築いて行くことです。「結婚に当たっていくらお金が必要かな?」「子どもが私立の学校を希望したら?」「家を買うとしたら?」「老後に備えておきたい」など、ライフイベントと共に「資産」のことを考える機会はありますね。
今回は「LGBTQあるいはそうかもしれないと思う方々の、キャリア(仕事への思い)・人生設計」を応援する社会保険労務士・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナーの永井均さん(こちら)にお話を伺いました。
ーー永井さんは以前、東京23区にお住まいだったことがあるそうですね。
永井:はい、僕は四国のとある県で26年間、障害がある方の就労支援の仕事をしていました。その頃は自分のセクシュアリティについては完全にクローズドにしていました。しかし人生で一度は中野区に住みたいという思いがあり、早期退職して中野区に引っ越したんです。
ーー中野区は永井さんにとって特別な場所だったんでしょうか?
永井:当時、中野区はゲイがたくさん住んでいると言われていたんです。実際に中野区にはLGBTsの当事者団体がたくさんありました。僕も多くの仲間に出会い、友達もできました。
同時に、2018年の中野区の同性パートナーシップ制度の設立にもかかわり、社会をより良くする行動について考える機会にもなりました(※中野区同性パートナーシップ制度は2023年4月に拡大改正予定。詳細はこちら)。
ーーその後、社会保険労務士・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナーの資格を取られて2020年に大阪府堺市で開業されました。どんな思いがあったんでしょうか?
永井:LGBTsが人生にかかわる相談事を聞くのに、自分のセクシュアリティをオープンにせずに話すのは難しいですよね。だから僕はLGBTs当事者が安心して利用していただけるような相談所を作りたいと思い、事務所を開設するに至りました。
ーーLGBTsならではの資産形成について教えていただけますか?
永井:実は、LGBTsであってもなくても、資産形成のノウハウは変わらないんです。資産形成は性別やセクシュアリティにかかわらず、同じ土俵で考えることができると思いますよ。
ーーそうなんですか!?
永井:はい、だからその点については、まず自分の収入と支出をちゃんと把握すること、その上で毎月定額を自動的に給与天引きする形で貯金することや、家計簿の見直し、例えば毎月必ず支払わなければいけない固定費、住居費・光熱水費・通信費などですね。それらをチェックして、長期的なライフプランの中でいつどんなお金がどれくらい必要かを考えておくことなど、一般的な資産形成の考え方で対応できるんです。
もちろん、性別による経済格差の問題はあります。レズビアンカップルの方がゲイカップルより世帯収入が低い傾向があるのも事実です。しかし先人たちがそれでも資産形成してきたように、LGBTsならではの資産形成というふうに考える必要はないと思いますね。
ーーそういったお話なら、一般的なファイナンシャルプランナーでも相談に乗ってくれそうですよね。街中にある「保険の相談」といった看板を掲げているお店でも大丈夫なんでしょうか?
永井:大丈夫ですよ。こんなこと言うたら僕の仕事がなくなってまうけど(笑)。ただ、資産形成の土俵に乗る前に、LGBTsならではの課題があると僕は思います。例えばシスジェンダーでヘテロセクシュアルの男性なら、結婚後は「家族のために、子どものために、仕事を頑張ろう」というモチベーションで働く人も多いかもしれません。
でもLGBTsの場合、そういったライフイベントが少ないことや、差別やハラスメント等による生きづらさや働きづらさもあります。そしてこれらはLGBTsが仕事を継続していく上で転換点になりやすく、就労が不安定になりがちです。キャリアの継続性にかかわるんですね。
だからライフプランニングだけでなく、LGBTs当事者として、ライフプランニングを支える仕事の相談にも乗りたいと思って、社会保険労務士とキャリアコンサルタントの資格も取ったんです。
次回、引き続き永井さんに、LGBTsならではのキャリア形成についてお話を伺います。
永井均 ながいキャリア社労士事務所→こちら
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