同性カップルの破局率は高い? 真相と背景について考えてみました(前半)
漫画『作りたい女と食べたい女』(ゆざきさかおみ)の最新第5巻(こちら)で、主人公である野本さんと不動産企業に勤める天貝さんが、同性カップルが賃貸住宅を探すに当たっての課題について、こんな会話をしていました。
この会話に登場するネット記事、私自身も聞いたことがあります。検索しても見つからないので詳しい内容が分からないのですが、私がこの記事の話題を聞いたときに考えたことは主に2つありました。
ひとつは「同性カップルは本当に破局率が高いのか?」 もうひとつは「破局って何だろう?」
まずは前提となる「破局」の内容について考えてみたいと思います。
1.中学時代の同級生
私の中学時代の同級生の一人は、頻繁に「彼氏と別れた」と報告してくる人でした。そして「今度はこの人を好きになったから告白してくる」と、月に1回は自分で告白イベントを企画する人でもありました。私は私で、「そんなに頻繁に人を好きになるものなのかな?」と思いながら、同級生の目に留まった相手の呼び出しを手伝うこともありました。主に「同級生から話があるらしいので、放課後、教室に残っていてください」と伝える役です。と思ったら2週間で「別れた」と報告が入ることも度々。
報告を受けて「ふーん」と応えると「理由は言わないからね」
「うん、わかった」と応えると突然泣き出して「言わないって言ってるでしょ!」
・・・というような、今思い出すと会話が成立していないことも多々ありました。この同級生には「好きな人がいる状況に身を置きたい」「告白してみたい」「破局して泣く経験をしてみたい」というシチュエーションへの憧れがあったのだろうな、と想像します。皆さまはこうした人間関係を「破局」にカウントされますか?
2.女子高に通っていた幼馴染
続いて、女子高に通っていた私の幼馴染の話です。その女子高の近くにはまた別の私立の男子高校があり、それぞれの学校の学生が同級生同士を引き合わせることがあったそうです。紹介されて初めて会った二人が「お前ら付き合えばいいじゃん」と言われて、「じゃあ付き合おうか」「そうしようか」と合意すると、その後2週間ほど電話やメールで連絡を取り合うのだそう。そして「やっぱり合わない」と思ったら「どうも合わないみたいだから別れよう」「そうしよう」で解散。
・・・という話を聞いた上で幼馴染から「最近、彼氏と別れたんだよねー」と言われたときの私の感想は「それって恋人関係って言うのかな?」「別れたって言うけど、そもそも付き合ってないのでは?」 皆さまはこうした人間関係も「破局」にカウントされますか?
3.私の考える「破局」とは
大人になって思うのは、中学時代の同級生も幼馴染も「お付き合いしましょう」という合意がある状態を「恋人関係」と認識していた、ということです。それは「お付き合いを止めましょう」という合意が「破局」であるということです。
このカウント方法だと、「これまで付き合った人の数」も「別れた回数」も「破局率」も、恣意的に操作可能じゃない? 中には箔を付けたいと思って、どんどん条件を緩めて数を増やす人もいるんじゃない?
というのも、私は「恋愛感情を持ち、精神的に親密な関係にある状態」を「恋人関係」だと考えているからです。そうした関係を作るには、ある程度の時間やお互いの情報の共有が必要です。そこから「破局」を説明すると「お互いの、あるいは片方の恋愛感情が無くなったり、親密でいることを止めたいと思う状況」になります。
過去の同級生や幼馴染の言う「付き合う」「彼氏」「恋人関係」「別れた」と私の考えるそれらには、大きな乖離がありますね。
4.「同性カップルの破局率」を信じていい?
さて、ここで冒頭の「破局」の内容について。「同性カップルの破局率は高い(だから安心して物件を貸せない)」説は、「破局」の認識によっていくらでも変えられる数字を元にしているため、信憑性は低いのではないかと思います。その中であえて「同性カップルは」と持ち出すところに、偏見や思い込みが滑り込んでいる可能性を考慮する必要があるかもしれません。
「とは言え、この話は一緒に暮らすような関係性が出来上がったカップルの話でしょう? 中学生や高校生の思う恋愛関係とは違うんじゃない?」というご意見もあろうかと思います。
ということで、次回は改めて「同性カップルは本当に破局率が高いのか?」を考えてみます。
日々を快適に過ごすために、住まいと暮らしのアイデアを、引き続きお届けして参ります。「こんなテーマを取り上げてほしい」といったご意見がありましたら、ぜひお寄せください。
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