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ヴァイオリニストのKikoさんからの電話

夫の一回り年上の従兄が神奈川県川崎市の溝の口のマンションに住んでいました。

マンションのバルコニーが広くて、夏の花火大会の時は綺麗な花火が観れるので、毎年花火大会には彼は友人をたくさん呼んでいました。

私と夫も招待していただき(娘たちを連れて行った年もありました)、新宿から浴衣を着てお邪魔したりしてました。

ワイワイとビールを飲んだり、持ち寄ったお摘まみを食べたりしながら、知らない人達ともお喋りし、花火を堪能する。夏の素敵な時間でした。

Kicoさんとはその場所で知り合いました。夫の従兄は一回り年上なので、従兄の友人がたもみな一回りくらい私達より年上でした。

Kikoさんは夫の従兄の友人の奥さん。

ヴァイオリニストで、地元で小さな弦楽団を主宰してらっしゃいます。

その方が、私を一目みて気に入ってくださり、「そよ風のようなまりりん」と葉書を下さいました。

私はその頃ヴァイオリンを始めて一年くらい。Kikoさんは雲の上の憧れの存在。それから時々、ふたりで食事をしたり映画を観に行ったりするようになりました。

毎年、Kikoさんの弦楽団のコンサートには呼んでくださり、夫と出かけました。
夫の従兄が病気で亡くなり、Kikoさんの旦那様も病気で亡くなり、、
Kiloさんご自身も病気になられ、この何年間かずっと会っていませんでした。

そのKikoさんから今朝、電話がありました!
お元気そうな声。
「来月、四年ぶりにコンサート開きます。良かったらヒデちゃんと来てね!」

行きます!
とっても嬉しい。

四年前、弦楽団のコンサート。Kikoさんはコンサートマスターのヴァイオリン、Kikoさんの旦那様はチェロ奏者でした。
旦那様は癌を患い、面影がないほど痩せてらしたのに気丈に最後まで演奏されました。チェロを弾く真っ直ぐな背中は神々しいほどで、音色には奥様への愛が溢れていました。

そのしばらく後に旦那様が亡くなられ、Kikoさんも体調を崩されました。仲の良いご夫婦だったから本当に辛かったことだと思います。

「Kikoさん、よく立ち直られて、、」
「はいはい、すっかり立ち直りましたよ。でも、まりりんさんだったらもっと時間がかかっただろうな、、。ヒデちゃんはほんとに優しいから。」

「そうかしら、この前なんて、後に残すのが心配だから俺より先に死んでくれなんて言うんですよ!」
「ほらほら、それがヒデちゃんの優しさ。普通男の人は自分の最期を看取って欲しいから自分より長生きしろって言うのよ」
「そっかあ。やっぱりヒデちゃんは優しいんですね。」
「そうよ。まりりんさんはずっとヒデちゃんに守ってもらって生きてきたから綺麗な心のままでいられたのよ。それはとっても貴重なこと。いつまでもそのままでいてね。」

有り難いKikoさんのお言葉。
私は全然綺麗な心じゃないんですよ。

恨み辛みでどろどろした心なんですよ。。

来月、Kikoさんのコンサートに夫婦で出かける約束をする。

もう何回、Kikoさんのコンサートに夫と出かけたかな。
夫の従兄さんも来て、帰りに一緒に食事をしたこともあったなぁ。従兄さんはアナウンサーだったから、よく通る声で、チェロの友人(Kikoさんの夫)が舞台に上がると「よっ、待ってました!」なんて掛け声をかけて会場が一瞬シーンとしたっけ(笑)、、寄席じゃないですよ~(汗)

Kikoさんのご主人が亡くなる前の年に元気な従兄さんも急な病で亡くなられ、もう花火大会をバルコニーからみんなで観ることもなくなりました。

ほんとに人生、何があるかわからない。

私は今日は今からヴァイオリンのレッスンに出かけます。雨が降りそう。
今日のレッスンは
「人生のメリーゴーランド」

ほんとに人生は楽しく哀しいメリーゴーランドみたいです、、
モナカ、タルト、お留守番よろしくね。






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