言い訳
たとえばあなたが隣にいたとして
震える肩になんて声をかけたらいいかと考えた時
どうしてもあなたの顔が思い浮かばない
笑った顔や泣いた顔
怒った顔や驚いた顔
思い出そうとしても次々と頭から抜け落ちていく
本当はあなたに何も言いたくないんじゃないかと
無視してしまいたいんじゃないかと
ちょっとした言い訳が頭をよぎる
そんな僕をあなたが見たとして
なんて声をかけてくれるだろうか
あなたの顔が記憶から抜け落ちた僕に
たとえばあなたが目の前にいたとして
零れる滴を目の当たりにして逡巡 した時
どうしてもあなたの影の気持ちには気づかない
迷いや後悔
憎しみや悲しみ
的を射ようと矢を放っても答えは見事に目の前を通り過ぎていく
本当はあなたを疎んじているのではないかと
慟哭して拒絶したいんじゃないかと
ちょっとした言い訳が頭をよぎる
そんな僕をあなたが見たとして
なんて声をかけてくれるだろうか
あなたの影にも気づけない僕に