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ものづくり補助金の功罪 ②ハックされる補助金編

前回のおさらい


 前回の記事では、
①:ものづくり補助金の概要
②:ものづくり補助金の政策としての過失
についてご紹介しました。

 本項では、ものづくり補助金をさらに稚拙な政策たらしめた、
①:お粗末すぎる事業計画書
②:怪しいコンサルとメーカー達に制度を骨抜きされるまでの道筋
について、詳しく考察していきます。

大学生レベルのレポートで1000万円を獲得する

 前回の記事では、ものづくり補助金のことを「事業者がお買い物をしたら1000万円もらえるというヤバすぎる補助金」とご紹介しました。

 一方で、
 「とはいえ、補助金申請の事業計画書なんて、専門家しか書けない難しい文書なんでしょ?国の審査だから丁寧に審査して、本当にお金を必要としている事業者に適切に分配できていたのでは?」
といった声も聞こえてきそうです。

 断言します。

 ものづくり補助金で採択された事業計画書は、「一夜漬けの大学生のレポート」レベルです。

 しかも、計画書の中身はコピペだらけなので、より正確には「大学の単位すら取れなそうなレポート」と言い換えてもいいでしょう。

 数字の誤植、稚拙な言葉遣い、達成不可能な目標設定で埋め尽くされた、紙クズのような事業計画書がどんどん採択され、1000万円に生まれ変わって行きます。

サラリーマンの皆さんであれば、こんな疑問を持つのではないでしょうか?
「そんな酷い事業計画書、誰が書いてるの?資格を持った人が書いてるんじゃないの?」

ばっこする"補助金コンサル"

 皆さんは「補助金バブル」という言葉を聞いたことがありますか?
 サラリーマンの皆さんのほとんどが聞いたことがないと思います。

 ものづくり補助金が"お金ばら撒きフェスティバル"であることが次第に判明すると、新たな仕事が生まれました。

 その名は"補助金コンサル"です。

 中小企業の代わりに事業計画書の作成や補助金の申請手続きを行い、1000万円をもらう手伝いをする仕事をする代行業者のことを言います。
 これらの代行業者は補助金が採択されると、補助額の10-15%ほどをせしめました。仮に1000万円の補助金が1件採択されると100-150万円ほどが彼らの元に流れます。

 ここまで説明すると、皆様はお分かりでしょう。

①"補助金コンサル"が粗悪な事業計画書を大量に申請する。
②ザル審査を繰り返す中小企業庁ものづくり補助金事務局がそれらを採択する。
③"補助金コンサル"が大儲けする

 というスキームで、ものづくり補助金は"補助金コンサル"にハックされてしまいました。チャンチャン。


バブルにほくそ笑む"補助金コンサル"のイメージ

"補助金コンサル"とメーカーの協力体制

 とはいえ、皆さんも「"補助金コンサル"はどういう人がやっているの?」「そうは言っても、行政書士や中小企業診断士のような国家資格のひとがやっていたんじゃないの?」といった疑問を持つと思います。
 "補助金コンサル"の内情がどのようなものかは次回の記事で詳しくご紹介しますが、私の回答をひとことで表すなら"Not at all."です。

 代わりに本稿では、"ものづくり補助金のハック"を加速させた、「補助金コンサルとメーカー(ベンダー)の協力体制」について言及しようと思います。

 これまで本稿では、ものづくり補助金のことを「1000万円が(ほぼ)無条件でもらえる夢のような制度」と紹介してきましたが、唯一にして最大のボトルネックがあります。それは

1500万円分の買い物をしないともらえない

 という点です。
 逆にいえば、中小企業が1500万円分のお買い物をして一番儲かるのは誰でしょう?
 そう、そのお買い物を中小企業に卸すメーカー(ベンダー)です。

 ということで、"補助金コンサル"は1500万円レベルの高額商品を扱うメーカーと協力体制を構築し、彼らの営業網を駆使して大量の案件を獲得しました。

まとめ

 ということで、今回は"ものづくり補助金がどのようにハックされたのか"という道筋をご紹介しました。
 依然として皆様は、
 「中小企業庁はなぜそんなガバガバな審査をしていたの?」「実際にどういう事業計画が採択されたの?」といった疑問をお持ちかと思います。それらについては次回以降の記事で改めて詳しく解説していこうと思います。

当社の紹介

さて、これまでの記事を読んでいただき、

 「そんな簡単にお金がもらえるなんてずるい!似たような補助金があるなら、私も応募したい!」
「面白そうな世界だ…もっと詳しく知りたい…」

といった感想をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

 そんな皆様は、ぜひこっそり弊社のメールアドレス(info@primeseed.net)までご連絡ください。現行制度での応募は終了しましたが、石破内閣で新しい予算が編成されれば類似の補助金は復活する可能性は十分にあります。

 「政策として不適切である」から、「おトクな制度を使ってはいけない」ということは全くありません。
 糾弾すべきは自民党政府の失策であり、日々必死に事業を営む皆様は積極的に使うべき制度です。

ウェビナーのご案内(11/6 19:00から)

 来たる2024/11/6(水)の19時から、Prime Seed合同会社主催「賢く健全に補助金制度を活用する」ウェビナーを開催いたします。
 本記事よりもより踏み込んだ、具体的な事例をご紹介した上で、石破政権下で補助金制度はどのような改革が見込まれるのかといった、最先端の情報についても共有させていただきたいと思います。

 どなたでも("補助金コンサル"さんも笑)ご参加を心よりお待ちしております。

こちらのリンクから、ご参加を受け付けておりますので、お気軽にお申し込みください。

 「ものづくり補助金以外にも使える補助金があるのかな…」といったご相談ももちろんお待ちしております。
 以下に当社のホームページのリンクを記載しておきますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

Prime Seed合同会社 代表:宗片吉史
メールアドレス: info@primeseed.net
Webサイト: https://primeseed.net


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