NPO高知市民会議/尾崎昭仁さん
2024年9月20日&27日放送
今回のお客様は、認定特定非営利活動法人「NPO高知市民会議」の事務局長・尾崎昭仁さんです。「NPO高知市民会議」は、自分の得意分野を社会に生かしたい、ボランティアに参加したい、仲間を集めて社会活動をしたい、なにか社会貢献をしてみたいなどの個人や団体の活動を支援することを目的に1999年に設立された団体です。
▶ 何気なく参加したイベントで人生が一変!
子どもの頃は、外で元気に遊ぶ、やんちゃでいたずら好きな男の子だったという尾崎さん。身近にいる人たちや、その時々で関わった人たちの仕事に憧れやすい純粋な子どもでした。
高校3年生の頃に担任の先生の紹介で第1回の【とさっ子タウン】に当日ボランティアとして参加。その何気ない行動が、その後の人生を大きく左右することになったのです。
【とさっ子タウン】は子どもたちが市民となって街の運営をしていく“こどものまち”と呼ばれる取り組みの一つで、2009年から高知を舞台に開催されています。今年で15年目を迎え、コロナ禍の休止を除くと13回目の開催となりました。
高校3年生の頃にこの【とさっ子タウン】にボランティアとして参加した尾崎さん。当日は木を使った製品づくりをする《木工工房》というブースで子どもたちに木工の指導をしたそうで、子どもたちのキラキラした瞳を前に「ただただ楽しい2日間」を過ごしたそうです。
また一方で【とさっ子タウン】の運営に関わる実行委員の大学生や社会人の姿にも目を奪われたそうで、自らも楽しみながらテキパキと動く姿に憧れを抱いたそうですよ。
第1回【とさっ子タウン】が開催されたのは尾崎さんが高校3年生の夏。その頃は進学を考えていなかったそうですが「自分も大学生として、とさっ子タウンに関わり続けたい!」と思って進路を変更。夜間の短期大学に進学し、地域づくりを勉強しながら実行委員として【とさっ子タウン】にずっと関わり続けました。
その後、2012年に【とさっ子タウン】の主催団体の一つである「NPO高知市民会議」に入職。その後は事務局担当として【とさっ子タウン】に関わり続けました。ボランティアから始まって、実行委員、そして事務局担当。第1回から15年間関わっているわけで、もはや《ミスターとさっ子タウン》と言って差し支えない、そんな尾崎さんなのです。
▶ 今年のとさっ子タウンは?
2024年8月17日~18日に高知市文化プラザかるぽーとで開催された今年の【とさっ子タウン】について教えていただきました!
今年は492人の子どもたちが参加。お仕事ブースでは48種類の仕事を体験してもらいました。新しい仕事としては、カーショップやゲームクリエイターの体験ブースが登場!そのほか、女の子からはお花屋さんやビューティーサロン、男の子からはダンボール工房や建築デザイナー体験ブースなどの人気が高かったようです。
また店だけでなく、社会のしくみの一つとも言えそうな仕事もあります。例えば、お仕事体験をしたい人が最初に行くのがハローワーク!ここではたくさんの求人票の中から好きな仕事を見つけて申込を行います。【とさっ子タウン】でのお仕事体験は一つのお仕事につき1時間。アルバイト感覚でいろんなお仕事を体験してもらいます。
お仕事をすると給料がもらえます。【とさっ子タウン】内の通貨はトス!働いて得たトスで買い物をしたり、遊びに使うことができます。お仕事をした人たちに給料を支払ったり、預金を預かる銀行のお仕事もありますよ。
他にも街を守る仕事として警察署や消防署があったり、街のみんなのために働く郵便局や清掃局、市民から税金を集める税務署もあります。また街の代表を選ぶ市長選挙や議会議員選挙もあり、選挙運営を行う選挙管理委員会の仕事もあります。市長や議員が決まれば議会を開いて街の運営について活発な議論を展開。みんなで協力しながら自分たちの街をより良いものにしていくことができます。
いろんな仕事を体験して一日たっぷり楽しめる【とさっ子タウン】。実は職業体験以外の目的もあります。
① 高知ならではの仕事や文化を楽しく体験!
高知といえばお酒文化!はし拳道場ではお座敷遊びが体験できるほか、高知の街を走る路面電車や、ひろめ市場ならぬ「くいしんぼ市場」など、街の至る所に高知らしさが散りばめられています。高知の魅力を楽しく体験することで、生まれ育った地域に対して誇りを持てるきっかけづくりをしたいと考えています。
② 子どもたちのコミュニケーションが生まれる場づくり!
【とさっ子タウン】には幅広い年齢層(小学4年生から中学校3年生)の住む地域も違う子どもたちが市民として参加しています。そういった子どもたちが仕事や遊びを体験しながら、協働やコミュニケーションを取ることで子どもたちの視野や世界が広がるきっかけになるのではと感じています。また専門家として社会人が、運営スタッフとして高校生・大学生が参加しています。自分たちよりも、ずっと年上の人たちとのコミュニケーションが出来るのも【とさっ子タウン】ならではです。
③ 社会の仕組みに関心を持つきっかけ作りの場!
【とさっ子タウン】は実際の社会をコンパクトに作り上げた架空の街。仕事をすること以外に、税金を納める、選挙・投票をする、遊ぶ、学ぶ、話す、なんでもできてしまいます。一人ひとりの目線で思ったことや感じたことを伝え合い、協力し合い、カタチにしていくことで進化する「じぶんたちのまち」なのです。
▶ 子どもも、大人も楽しい!
今年は492人の子どもたちが参加した【とさっ子タウン】。ボランティアで参加する学生や、仕事を教える大人も含めるとかなり多くの人数が集まる大きなイベントです。なので事前の準備も大変なのです。
8月の本番が終わると翌月にはすぐに振り返り会を行い、翌年の開催に向けての検討がスタート!70人の実行委員が月に一度集まっていろんなアイデアを出し合い、1年間かけて次回開催の準備をしていきます。スタッフの皆さんも楽しみながらじゃないとやっていけませんね♪
運営側としてずっと関わり続けている尾崎さんに【とさっ子タウン】に関わることのやり甲斐を教えていただきました。
“こどものまち”の取り組みは全国各地で行われていますが、これほど大規模に、これほど長く続く例はなかなかありません。尾崎さんをはじめとする関係者の熱意と、土佐人ならではの世話焼きの気質が【とさっ子タウン】継続の秘密なのかもしれませんね!
▶「NPO高知市民会議」って?
尾崎さんが勤めている認定特定非営利活動法人「NPO高知市民会議」についても教えていただきました。
「NPO高知市民会議」では、主にNPO法人やボランティア団体、町内会等の地縁組織などを支援する活動を行っています。また中間支援組織と呼ばれる立場で、行政や企業、NPO等を繋ぎ、活動を広げる役割も持っています。日頃は、高知市が1999年に設置した「高知市市民活動サポートセンター」の指定管理者として、施設の管理・運営を行いながら、市民活動に関する各種事業を行っています。
【とさっ子タウン】以外の主な事業としては…
■【わいわいくじら】の発行
黄色い表紙が目印の【わいわいくじら】は賛同企業のご協力を得て「NPO高知市民会議」が発行している情報紙。夏休みと春休み前の年2回発行し、子育てやこどもに関わる活動を展開しているNPOの情報などを掲載しています。お子さんを持つ方々にはすっかりお馴染みの【わいわいくじら】は高知市内の小学校を通じて全戸配布、幼稚園、保育所にも配布しています。
■【こうち未来基金】の設立
高知県内のNPOや市民活動は慢性的に活動資金の確保に課題を抱えています。「NPO高知市民会議」ではそんな現状を変えていくために、高知県内の企業や県民が地域社会の課題解決のために自ら資金を提供し、そして循環させていけるように、県民による県民のための基金【こうち未来基金】を設立し、その運営を行っています。
■【こうちNPOアワード】の運営
「NPO高知市民会議」20周年記念事業の一環として、高知県内で活動する社会貢献団体を資金面から支援することを目的に創設した【こうちNPOアワード】。このアワードを通じて、社会を変える市民のチカラが満ち溢れる市民社会の実現を目指しています。【こうちNPOアワード2024】への応募については、2025年1月22日締切で受け付けています。
「NPO高知市民会議」では、今後も市民活動団体の繋がりの創出、コミュニティファンドの運営、防災の普及啓発、子育て支援、若者の活動支援などを行い、中間支援団体としての役割を全うしていきたいと考えています。引き続き「NPO高知市民会議」へのご支援・ご協力をお願いいたします。
▶ 今後の夢は?
高校3年生の頃に【とさっ子タウン】の当日ボランティアとして参加したことをきっかけに、NPOや市民団体の活動に興味を持ち、現在の仕事へと導かれるように進んできた尾崎さん。「NPO高知市民会議」に入職してからは12年になりますが、いま改めて振り返ってみると、「自分はこういった裏方の仕事が性に合ってるなあ」と感じるそうです。
縁の下の力持ちとも表現される裏方の仕事ですが、尾崎さんは『自分ができる最善を尽くしながらも、遊び心を忘れない』をテーマに、日々の業務にあたっているそうですよ。
最後に尾崎さんの夢を伺いました。
■【とさっ子タウン】を末永く継続していくこと!
尾崎さんの原点ともいえる【とさっ子タウン】は今年で15年目!参加してくれた子どもの数は、のべ4千人を超えました!その子どもたちが高校生や大学生になり、今では運営スタッフになってくれるようになりました。この良い流れが途切れないよう、末永く【とさっ子タウン】を継続させていくこと。そして、ゆくゆくは参加していた子どもが事務局職員として「仕事」として関わってくれると嬉しいと語ってくださいました。
自分が歩んできた道を、次の人にも辿ってきて欲しい!そう思えるのは、自身の仕事にやり甲斐を持ち、それが社会の役に立っていることを実感しているからと言えると思います。【とさっ子タウン】という『仮想のまち』からいろんなことを学んだ子どもが大きく成長し、今度は次の子どもたちを支える─。そんな素敵な循環が当たり前に行われていくような、そんな高知県になることを願っております♪
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