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かめのこ農園/岡本啓伯さん

2024年2月23日&3月1日放送

 今回お迎えしたのは、土佐市宇佐町でピーマンのハウス栽培をしている「かめのこ農園」の岡本啓伯さんです!

■ 岡本啓伯(おかもと・ひろのり)さん
土佐市出身。キュウリやメロンを栽培するハウス園芸農家の長男として生まれ、県立実践農業大学校を卒業したあと家業に入ります。当初は昔ながらの慣行栽培を行いますが今から20年ほど前に 県からの勧めもあって「天敵農法」に取り組むようになり、農薬をほとんど使わず、生でも食べられる苦くないピーマンを生産していらっしゃいます。

〔 ピーマンを持って来てくださいました! 〕

▶ 宇佐の自然に育まれて

 宇佐の豊かな自然の中で生まれ育った岡本さん。小学校から帰ったらランドセルを投げ捨てて山に登ったり、海へ釣りに行ったり、友達と三角ベースの野球に興じたりと、勉強よりも遊びに夢中の幼少期を過ごします。

 一方でハウス園芸農家の長男としては家業を継ぐのが当たり前と考えて、中学校を卒業した後は高知園芸高校(現春野高校)へ進み、その後は伊野町の高知県立実践農業大学校で学んで家業に入りました。

 家業に入った当初は、昔ながらの慣行栽培(肥料と農薬を使った一般的な栽培方法)で主力となるピーマンのほか、メロンやスイカを栽培していたそうです。宇佐の温暖な気候の中で美味しい作物を育てていたんですね。

〔 ハウスでのピーマン栽培 〕

▶ 天敵農法にチャレンジ!

 その後、奥様と出会って結婚し、3人のお子さんにも恵まれた岡本さん。今から20年ほど前に大きな転機が訪れます。いちばん下の娘さんにアトピーの症状があったことから[食の改善]に取り組み、農薬を使わずに育てた野菜を中心としたメニューに切り替えたところ、その症状が劇的に改善!この素晴らしい取り組みを他の皆様へも広げていきたいと考えた奥様が「これからは消毒をかけずに栽培したい!あんたやったら出来る!」と言い出し、そんな願いを託された岡本さんが「天敵農法」に取り組み始めることになるのでした。

 「天敵農法」とは作物につく害虫を、その天敵となる昆虫を使って抑え込む農法で、これまで害虫の駆除・防除に使っていた農薬をほとんど使わずに済むという利点があります。

 例えば「かめのこ農園」で栽培しているピーマンには、アブラムシやコナジラミ、アザミウマ(スリップス)などの害虫がつきます。これらを駆除・防除するために導入したのが【天敵昆虫オールスターズ】

カメノコテントウムシは体長1センチほどの日本最大級のテントウムシ。アブラムシやハムシをエサにしています。

②アリの姿に似たクロヒョウタンカスミカメはコナジラミやアザミウマ類を捕食する土着の天敵昆虫です。

タイリクヒメハナカメムシは体長2ミリほどの小さなカメムシの仲間で、休眠が浅く、冬季の短日条件下でも活発にアザミウマ類を捕食します。

④きれいな薄緑色をしたタバコカスミカメは捕食能力がとても高く、コナジラミやアザミウマ類の駆除・防除に効果を発揮します。


 岡本さんはこれらの天敵昆虫を野外で採取して、増殖用のビニールハウス(通称・天敵ハウス)で飼育・養殖しています。もともと釣りが好きで、目当ての魚がどんなところに潜んでいるかを探るのが好きだったこともあり、昆虫の生態を研究し、その昆虫が好む環境を探して採取に活かしています。

 ちなみに天敵昆虫を販売している業者もいますが、購入した昆虫は害虫の捕まえ方が下手なことが多く、やはり野生の昆虫がいちばん!現在は4棟ある天敵ハウスで害虫を捕まえるための英才教育をしているそうですよ。

 そんな岡本さんが実践している「天敵農法」を紹介した動画が、コープ自然派のYouTubeチャンネルにアップされています。ご覧ください!
 ↓ ↓ ↓

▶ 天敵農法の楽しさを伝えたい!

 高知県は全国的に見ても「天敵農法」の導入率が高い先進地。農薬をほとんど使用しないので環境にも人にもやさしく、農薬散布の労力も減らせる利点があり、県でもこの取り組みを推進しています。

 そんな高知県においてでも、天敵ハウスを4棟も持って天敵昆虫の増殖に取り組んでいる岡本さんの活動は珍しく、「かめのこ農園」には県内外からたくさんの方が見学に訪れるそうです。

 岡本さんは農業に従事する方はもちろん、実際に野菜を召し上がる消費者の方(特に子どもさん)に農園を見てもらいたいと思っています。実際に関西圏の親子を招いて農園を紹介することもあるそうで、昆虫大好きな子どもたちは興味津々!実際にピーマンが栽培する姿を見て、これまで少し苦手だったピーマンを美味しく食べられるようになった子どもも多いそうですよ。


 岡本さんが仕事をするうえで心掛けていること・意識していることは…

■ 人がやっていないことをやる!
■ 人のためになることをやる!


 「天敵農法」という[野菜と昆虫と人間による知恵比べ]を楽しみ、その壮大なストーリーを多くの方に伝えていきたいと頑張っています!!

▶ 美味しいピーマンを召し上がれ!

 「天敵農法」で栽培したピーマンは農薬や化学肥料をほとんど使っていないので、ピーマン特有の苦みが少なく、野菜本来の甘みが感じられます。実際にスタジオへお持ちいただき、生で丸かじりさせていただきましたが、とても瑞々しくて美味しいピーマンでした。

 「かめのこ農園」では15年ほど前からミネラルを多く含む室戸の海洋深層水を使っていて、香南市赤岡町・赤岡青果市場を経由して流通するものには【ミネラルピーマン】というブランド名が付けられています。海洋深層水を使った【ミネラルピーマン】は日持ちがするのが特徴!購入されたお客様からは「冷蔵庫に何日も置いているのに全く腐らない。何か悪いものでも入っているのではないか?」という電話をいただいたというエピソードもあるそうです。(もちろん悪いものは一切使っていません✨)

 またピーマンには豊富な栄養があります!

◎ピーマンに多く含まれる[カロチン]には活性酸素の働きを抑制する作用があり、老化やガンを防いだり、免疫力を活性化してくれます。

◎[ビタミン]も豊富で、中くらいの大きさのピーマン4個で一日の必要量を摂ることが出来ます。

◎緑ピーマンの色素である[クロロフィル]には抗酸化作用があり、抗酸化ビタミンの効果を補い、ガンを防ぐ効果があります。


 岡本さんにオススメのピーマンの食べ方を教えていただきました。

①スティック状に切ってオリーブオイルと塩をかけ、冷蔵庫で一晩おくと、甘みが出て美味しい! これは「土佐料理司」の方に教えてもらったそうで、酒のつまみにもピッタリとのことです♪

②短冊状に切ってラーメンに入れるのもオススメ!ネギの代わりにピーマンを使うとシャキシャキの歯ごたえで美味しさがアップするそうですよ♪

皆さんもピーマンをたくさん食べて健康な生活をお過ごしください!

〔 ピーマンを使った美味しい料理 〕

▶ 娘さんご夫婦と一緒に!

 少子高齢化が加速する中、一次産業では後継者不足が叫ばれています。また新規に就農したい方にとっても、資材高騰による初期投資がネックになっており、農業の維持には課題が山積しています。特にハウス栽培に必要なビニールハウスは1棟建てるのに2千万円ほど掛かるそうで、新規就農者にとっては高いハードルとなっています。

 そんな中、岡本さんは、後継者不足などで廃業をする農家さんの中で、まだ使える設備を持っている方からビニールハウスを借り、さらにその農家さんを雇ってノウハウを教えてもらうといいのではないかと考えています。

 新規就農者にとっては設備の負担が減ると共に、ノウハウを教えてもらうことで初期の様々なトラブルを防ぐことが出来ます。また廃業する農家さんもまだ使える設備を有効活用してもらえるし、自らが培ってきた知識を次の世代に伝えることが出来ます。互いにWIN-WINな良いアイデアですよね。


 「かめのこ農園」では現在、岡本さんの娘さんである昌子さんと、お婿さんのマチューさん(from フランス)が一緒に働いています。✨

〔 かめのこ農園の皆さん 〕

 昌子さんは「高知アンビシャスの会」の生産者部会・副部会長としても活動し、オーガニックに関するイベントにも積極的に参加しています!一方のマチューさんは農業未経験でしたが、非常に飲み込みが早く、何でも器用にこなし、オンオフの切替が上手だそうです!

 娘さんご夫婦は「天敵農法」に取り組む岡本さんの更に上を行く「完全無農薬栽培」を目指しているんだとか。難しいことにチャレンジするその姿勢は岡本さん譲り。まさに遺伝子が繋がれた形ですね。

▶ 今後の夢は?


 最後に岡本さんの今後の夢を伺いました。

■ 娘たちがやり易いように手助けしていきたい!


 土佐市でピーマン栽培を始めてから40年余り、「天敵農法」に取り組んでから20年ほどになる岡本さん。台風に伴う川の増水でハウス全体が水浸しになってピーマンがすべてダメになるなど、大変なこともたくさんありましたが、それでも続けて来られたのは、天敵農法やピーマン栽培の面白さ・奥深さに魅せられたことと、そして自分が作ったピーマンを「美味しい!」と言って食べてくれる消費者の方がいたからと語ってくださいました。

 これからも「天敵農法」の素晴らしさと、ピーマンの美味しさを多くの方々に広めていってください!

【 放送プレイバック 】📻✨
★ 2月23日(金)放送 ⇒ 
コチラ から!
★ 3月01日(金)放送 ⇒ 
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