BAR Craps/塩田貴志さん
2023年3月24日&31日放送
今回のお客様は、高知市帯屋町「DANDYISM TOSA BAR Craps」オーナーバーテンダーの塩田貴志さん!
▶ 縁あってバーテンダーに!
今から40年以上前のお話 ─。公務員試験に合格し、就職までの間、暇を持て余していた塩田さん。とある飲食店でチーフバーテンダーとして働いていた同級生から「ちょっと東京に行きたいので少しの間、アルバイトとして手伝ってくれないか?」と言われ、それを快く引き受けます。
しかしその同級生は東京へ行ったまま帰って来なくなり、また一方ではバーテンダーの仕事が徐々に楽しくなっていたこともあって、塩田さんは決まっていた就職先に断りを入れてバーテンダーとして働き始めるのでした。こうして天職とも言えるバーテンダーの仕事に就いた塩田さん。まさに導かれるように今の仕事に辿り着いたんですね。
その後、バーテンダーとして数々の経験を積み、1990年、高知市帯屋町に「DANDYISM TOSA BAR Craps」をオープンした塩田さん。
《 表したいのは土佐の心意気、大切にしたいのは土佐のおもてなし 》をコンセプトに、一人一人に合わせた丁寧な接客とサービスを心がけています。
お店は徳屋ビルの地下1階と2階にあり、地下1階はカウンター15席、地下2階は個室風テーブル3卓。高知県産のフルーツを使ったカクテルは、お客様に大好評です。
『 DANDYISM TOSA BAR Craps 』
【住 所】 高知市帯屋町1-2-8 徳屋ビルB1&B2
【営業時間】 月~木 20:30~翌 2:30
金・土 19:30~翌 2:30
日・祝 20:30~翌 1:30
【電話番号】 088-824-2771
▶ 高知初のクラフトジンづくりへ!
長きにわたって高知の素敵な夜を演出してきた塩田さんが高知初のクラフトジンづくりに取り組み始めたのは2020年。きっかけは、塩田さんも所属している土佐学協会で理事を務めている長崎雅代さんが「土佐の酢みかん文化を楽しむ会」というイベントを企画し、塩田さんも土佐の酢みかんを使ったカクテルで参加したことでした。
高知県にはユズやブシュカン、直七、橙など、果実を食すのではなく、搾りかけて使う香酸柑橘類がたくさんあり、それらを総称して“酢みかん”と呼んでいます。このイベントの中で、それら“酢みかん”の果汁を飲んで当てる【利き木酢】という企画があり、参加者の一人から「次に開催するときにはジンを使って、利き木酢をしたいね!」という声が挙がりました。それを聞いた塩田さんは「非常にいいアイデア!ただそれなら高知産のクラフトジンが必要ではないか?」と思うようになります。
その後、塩田さんは土佐学協会の理事長を務めている司牡丹酒造の竹村明彦社長を訪ねます。司牡丹のある佐川町にちなんで【マキノジン】という名前を付けたクラフトジンの構想を話すと竹村社長は二つ返事で協力を約束。ベースとなるお酒として「大土佐」という焼酎を紹介してくれたそうです。この「大土佐」は半分日本酒の香りがして、半分が焼酎という面白いお酒。これなら世界に通用するジンが出来るかもと思い、「大土佐」をベースにしたクラフトジンづくりが始まりました。
実は、司牡丹酒造は牧野富太郎博士と非常に縁の深い酒造会社。実際にクラフトジンづくりに入ってから分かったことですが、ジンを蒸溜するための蒸溜機を置いていたのは牧野博士の生家である造り酒屋「岸屋」の跡地だったそうです。こんなエピソードを聞いてしまうと、もう【マキノジン】以外の名前は考えられないですよね。
▶ ジンの原料には土佐のボタニカル大集合!
いま全国各地でクラフトジンづくりが盛んに行われています。ジンは蒸留の際に、ジュニパーベリーやボタニカル(ジンの原料となる植物)の成分を加える点が大きな特徴ですが、クラフトジンづくりは自由度が高く、尚且つ地域のボタニカルを使うことで地域色を打ち出しやすいのが魅力です。
そんな中、塩田さんが【マキノジン】のキーボタニカルとしたのは、牧野富太郎博士にゆかりの「スエコザサ」!牧野博士が奥様の名前から命名したことで有名な植物で、ササは漢方でも生薬として使われています。
また「スエコザサ」以外にも、土佐のボタニカルを多数使用しました。
南国にしがわ農園の「有機グァバ」、ファームベジコの「イエルバブエナ」と「レモングラス」、そのほかに「仁淀川山椒」、「ブシュカンの果皮」、香り付けには碁盤などに使われる「榧の木」の削り節を使い、ナチュラルでウッディな香りに仕上げました。
【マキノジン】完成までの軌跡を、松田雅子さんが動画でまとめてくださっていますので、興味のある方は下記動画をご覧ください♪
▶ 世界に通用するジンが完成!
その後、全12種類となるボタニカルの配合比率調整や、蒸溜試験、試飲を繰り返して、遂に【マキノジン】が完成!香り高いシトラスフレーバーとウッディな香りに満ちあふれ、土佐料理にも合う食中酒としても最適です。
【マキノジン】はアルコール度数が45度、700ml瓶で販売されていて、ラベルにはスエコザサを手に少しおどけた表情を見せる牧野博士のイラストが使われています。イラストの元になったのは60歳を過ぎた頃に撮影された博士の写真。晩年になるにつれてどんどん有名になっていった博士にあやかって、自身もこれから世界に打って出ていく!という心意気が表れたラベルになっています。
塩田さんのお店「DANDYISM TOSA BAR Craps」では、【マキノジン】を使ったオリジナルカクテルを提供しています。
■ マキノジン酢みかんリッキー
■ マキノジン土佐文旦ソルティドッグ
■ マキノジン酢みかんスカッシュ
■ マキノジン文旦珈琲 など
MAKINOGIN公式webでは、これらのレシピも公開しています!
自宅で作って楽しむも良し、「Craps」でじっくり味わうも良し。
【マキノジン】の美味しさを心ゆくまでご堪能ください♪
▶ 今後の夢は?
牧野富太郎博士をモデルにした NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』が、いよいよ4月3日(月曜日)からスタートします!牧野博士の出身地である佐川町や、植物採集をした越知町・横倉山、また牧野植物園をはじめとする高知の花々にも大きな注目が集まりそうです。
そんな中、塩田さんが中心となって作り上げた【マキノジン】も話題になること間違いなし!高知県民としては、その美味しさと共に、今回ご紹介した開発秘話も多くの方に伝えていってほしいところです。まだ飲んだことがないという方は、ぜひ召し上がってみてくださいね!
最後に塩田さんの今後の夢や目標を伺いました。
■【マキノジン】を世界に通用するクラフトジンに育て上げたい!
■『International Wine and Sprit Competition』で入賞したい!
インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(略称:IWSC)はイギリスで開催される酒類の品質を競う競技会のひとつ。
世界中のワイン、スピリッツ、リキュールを対象に、品質と優秀さを評価・紹介することを目的に1969年に設立された歴史と権威あるコンクールです。
塩田さんの夢は、その中のジン部門で【マキノジン】を入賞させること。
バーテンダーとしての40年以上にわたる経験と、酒類や食品に関する豊富な知識、更には関わる人々と共に注ぎ込んだ熱い想いは誰にも負けません!
近い将来、海外から嬉しい声が届くことを期待しています。