まるふく農園/楠瀬健太さん
2022年9月23日&30日放送
今回のお客様は、ハーブ専門農家「まるふく農園」の楠瀬健太さん!
▶ 家業を継ぐつもりはなかったのに…
高知市福井町には昔から花卉農家が多く、楠瀬さんのお家もダリアや芍薬などを中心に花の栽培をしていました。記録に残っている範囲だけ数えても楠瀬さんで6代目!福井町で農園をしているから「まるふく農園」という屋号なんだそうですよ。
ハーブの栽培を始めたのは楠瀬さんのお父さんの代になってから。友人にフランス料理のシェフをしている方がおり「ハーブがなかなか手に入らないので作ってもらえないだろうか?」との相談を受けて、1985年頃から本格的なハーブ栽培を始めたそうです。
当時は小学生だった楠瀬さん。ハーブの記憶は、畑から帰ってきた父親の匂いの記憶だったそうで、時にはミントのいい香り、またある時はパクチーの強烈な匂いだったとか。(この匂いの記憶が将来を決めることに!)
その後、高校に入って将来の進路を考える時期になりますが、当時は家業を継ぐ気は全くなく、ファッションや音楽に興味があったことから高知を出たい一心で関東の大学に進学し、経営の勉強をします。
ハーブとは無縁の生活をしていた楠瀬さん。大学在学中にお父さんから、ハーブの老舗である「カリス成城」に挨拶に行って来たら?と言われ、深く考えることもなく挨拶に行くことに。すると、創業者である高知出身の会長さんが凄く喜んでくれて「明日からどう?」といきなりアルバイトのお誘いを受けます。流れに身を任せて「カリス成城」でアルバイトをすることにした楠瀬さんですが、そこはやはりハーブ農園の息子!ハーブの香りを嗅いだ瞬間に実家でのいろんなことを一気に思い出し、やはり自分はハーブが好きなんだなと思って、卒業後の就職先として、この「カリス成城」を選ぶことになるのでした…。
こうして「カリス成城」で約6年間勤務したあと、今から15年前に高知へ戻って家業に入った楠瀬さん。頭で考えるのではなく、ハーブの香りに誘われるように家業に入ったんですね✨ 実にいいお話です♪
▶ たくさんのハーブを栽培!
高知市福井町にある「まるふく農園」では、楠瀬さんご夫妻に、ご両親、妹さんの5人で年間100種類以上のハーブを栽培しています。
一口にハーブといっても、その種類は様々。あなたはハーブの種類をいくつ言えますか?
「まるふく農園」のハーブが元気なのは、お父さんが試行錯誤の末に辿り着いた“炭素循環農法”のお陰。農薬や肥料を使わず、キノコの廃菌床など炭素率の高いものを土に混ぜて、微生物の力で発酵型の土をつくっています。
しかも出荷するのは、楠瀬さんが厳選した旬のものばかりなので、自然のパワーに溢れたハーブばかりなのです。ここが出荷先や販売先から高い評価を受ける理由なんですね。
▶ 食用だけでなく、花材としても!
これまでハーブは食用として使われることが殆どでしたが、最近では葉っぱの形の面白さ、お花の可憐さ、そしてその香りから、ブーケやリース用の花材としての需要が高まっています。
ハーブブーケをつくるきっかけになったのが、東京でカフェで営む友人だったそうで、隣接するお花屋さんと一緒にイベントを企画した際に、食用としてのハーブだけでなく、面白い葉っぱや、カワイイお花などを持って行ったところ、これが大好評!派手すぎず、それでいて抜群の存在感を醸し出すハーブブーケに需要を見出し、花材として出荷するようになったそうです。
現在は「まるふく農園」のオンラインショップでも販売していて、毎月注文してくれる県外のお客様もいるそうですよ。
そして写真だけでは分からないと思いますが、このハーブブーケ、凄くいい香りがするんです。楠瀬さんはこの香りも重視!ハーブブーケをつくる際には、季節感と香りのバランスを考えてつくっているそうです。
詳しくは「まるふく農園」オンラインショップをチェックしてください♪
▶ パンや焼菓子も大人気!
「まるふく農園」ではハーブを使ったパンや焼菓子もつくっています。
こちらは楠瀬さんの妹さんが主に担当していて、週に一度、毎週金曜日に高知市福井町の「まるふく農園」にて販売しています。
天然酵母のパンや、農園のハーブをたっぷりと生地に混ぜ込んだパン、ハーブやジャムにあう食パンやバケットなど、香り豊かなパンは大人気!またハーブを乗せて焼いたクッキー《お花畑クッキー》は見た目も可愛くてプレゼントにもピッタリです。こちらも要チェックです!!
▶ ハーブコーディアルって?
「まるふく農園」では、オリジナルブランド【M'MATOKA(マトカ)】を立ち上げて、ハーブコーディアルの製造も行っています。
ハーブコーディアルは旬のハーブやフルーツをシロップなどに漬け込んだイギリスやオーストラリアの伝統的なドリンク!【M'MATOKA】では、キューバ発祥のカクテル「モヒート」をノンアルコールで楽しめる「モヒートアンバー」を販売しています。
【M'MATOKA】のハーブコーディアル「モヒートアンバー」は、キューバのミントであるイエルバブエナや、スペアミントなどフレッシュハーブをたっぷり使ったハーブシロップ。水や炭酸水、お湯などで5~7倍に希釈してお召し上がりください。
もちろん、これにアルコールを入れてもOK!ホワイトラムやウォッカ、ジンなど、お好みのお酒を30mlほどプラスして氷をたっぷり入れたグラスに注ぎ、フレッシュハーブを添えると、実に雰囲気満点!!
興味のある方は【M'MATOKA】オンラインショップをチェック♪
▶ 今後の夢は?
最後に楠瀬さんの今後の夢や目標を伺いました!
■ ハーブが特別な植物ではなく、生活のすぐそばにある植物になっていってくれるよう、地道に伝える活動をしていきたい!
「まるふく農園」がハーブ栽培を始めた1985年頃と比べると、ハーブという言葉は随分と身近になってきました。しかし、依然「ハーブ」という総称で呼ばれることが多く、個別の名称で呼ばれることは少ないのではないでしょうか?例えばキャベツやレタスは野菜だけれど、それぞれの名前で呼ばれますよね?楠瀬さんは、ハーブがもっと知られるようになってそれぞれの名前で呼ばれるようになると、今よりもっと身近な存在になると考えています。
そのために、ハーブを生産するだけでなく、いろんなところに出かけて話をしたり、ハーブに接してもらえるようキッチンハーブの苗を販売したりもしていきたいとお話しいただきました。
楠瀬さんは「ハーブに限らず植物を育てるのはそんなに難しくない」と言います。草花に触れることで心が安らぎ、日々の水やりの時間もきっと良い時間になるはずです。ぜひお庭やベランダで挑戦してみてください。
ハーブ王子こと、楠瀬さんの活動にも注目していきましょう!