キノコ型の影は母とわたしを繋ぐ
天気の良い日中、ちょっとした用事で道を歩いていたら
道路にうつる影、そのシルエットが母にそっくりだった
母はわたしが記憶する母である時から亡くなるまで、ずっと同じ髪形をキープしていた
前髪カールのセミロングである
前髪カールは内巻きでなくて、センター分けにして左右に外上向き(伝われ!)
家ではいつもピンク色のカーラーを巻いていた
なつかしい…
8年ほど前に亡くなった母
自慢のふさふさツヤツヤの黒髪が抗がん剤の影響で抜け落ちてしまい、その後生えてはくるのだけど、もう昔のようには戻らなかったことを
ずっと悔やんでいた
目鼻立ちがはっきりしているので、ショートヘアも似合うのに
ウィッグを使いながら定番のヘアスタイルを最後まで変えなかった
髪質や輪郭などに遺伝があるのだろう、姉もそうだけど
わたしもそっくりだ(顔は似てないし前髪カールもしてない)
その影を見て思わず笑ってしまった
わたしは今44歳
母が44歳の時、わたしはいくつだったかな、と考えた
母とは30歳差だから、14歳
ちょうど今の長女くらいだ
あら~わたし若い…(精神的に)
まぁでも母だってこんなもんだったんかもね
ちょうどこの間娘に話した当時の話
携帯電話がなかった時代
中学校の入学式に車で行く途中、持ち物のことで何か学校に確認したいことができた
自宅まで帰るには微妙な距離、急いでいたのもあった
すかさず車を道端に停め、知らないお宅へ行き、電話を借りる
昔はどの家庭でも大抵玄関先に固定電話があり(我が家は母の好みでダイアル式だった)知人に貸したり借りたりは普通だったなぁと思う
タウンページはぶ厚すぎるから、地域の電話帳もあった
10円を払ったり断られて払わなかったり ラジバンダリ
その時は事なきを得てそのまま入学式に向かったのだが、これを記憶してるということは中学生のわたしにとって「それやる?!」的な出来事だったのだろう
しかし今となっては有事には他人に電話かしてください!!くらい全然できるほど度胸のある母になっている
ああ、まだまだ若いとはいえ、歳を重ねてきている
命が果てるまでに
やりたいことが全部できるだろうか
そうふと思った
やりたいことなんてできたらまた次に新しいやりたいことができて
結局全部やり切るなんて無理だ
小さなやりたいことをやり、積み重ねながら
わたしのこれからの人生のメインパートを占める大きな「やりたいこと」へつながっていくといい
今日も今日やりたいことをやっていく