2015年頃の中国で配信されてその後に影響を与えたりしたアニメ作品その2
タイトルがnoteの表示には長過ぎるとアドバイスをいただいたので変えましたが、その1の続きになります。
2015年頃はまだ日本のアニメ配信に関する動きが良くも悪くも活発だったこともあってか当時の話題作にはその後の中国オタク界隈に対する影響があるような作品も多いので、最初に考えていたよりも書く内容が多くなりそうです。
とりあえず前回に引き続き作品の紹介を。
2015年は3月末に中国の政府機関である文化部(当時)により
「未成年を違法な犯罪に誘導する未成年を暴力やポルノ、テロ活動、公序良俗を危険にさらすことをさせる内容のアニメ作品を提供した疑いがある」
として日本のアニメがアップロードされている動画サイトに対する取締りと規制が入り、更に6月になると日本のアニメ作品の具体的な名前が挙がっているブラックリストが発表されました。
ブラックリストの作品に関しては私のブログの昔の記事などもよろしければご参照ください。
中国の動画サイトの日本アニメ配信規制、ブラックリスト38作品が確定した模様
ブラックリストの中にはファンサブなどの非正規ルートで拡散されていた作品だけでなく、「進撃の巨人」、「寄生獣」、「東京喰種トーキョーグール√A」、「ソードアート・オンライン」、「PSYCHO-PASS」といった正規ルートでの配信が行われている人気作品も含まれていたことから当時の中国オタク界隈も関連する業界も大混乱となりました。
このブラックリストに挙がった作品の中には「ソードアート・オンライン」のようにその後「復活」した作品もありますが、「進撃の巨人」のように実質的に中国では扱えない状態になってしまった作品もあります。
そしてそんな状況の下で中国国内向けの配信が始まった作品に関しては、作品の内容と共に規制の記憶も刻み込まれるような事態になっていた模様です。
おける日本のアニメ配信、オタク文化の中心地の一つになっていきます。
・血界戦線
「血界戦線」は規制の動きが出てからは中身に加えてタイトルが問題視されたのか、配信の際には「幻界戦線」という中国語タイトルに変更されてしまいました。
当時の中国ではこの無理矢理ごまかしたようなタイトル変更が逆に話題となり予想以上の注目を集めることになり、それに加えて
「規制されて配信が消えてしまうかもしれない!いつまで視聴できるか分からない!」
という空気もあってか、初動からかなりの視聴者を集めることになりました。
そして内容に関してもバトルシーンのクオリティが高く中国の視聴者好みの群像劇だったこともあり、中国のオタク層にとってはかなり好みに合う作品と受け止められたようで、新作アニメ枠として順調に人気を集めシーズンのダークホース作品の一つといった扱いになっていったそうです。
この「血界戦線」は良くも悪くも当時の規制の影響が最も分かり易い形で出ていた作品と言えそうですし、中国の規制によるタイトルの変更に関してある種の代名詞的な作品として現在の中国オタク界隈でも度々名前が挙がるような作品となっています。
ただ当時の中国オタク界隈では、規制の影響で人気になったことに関して複雑な気持ちになってしまうファンの方が少なくなかったという話もありました。
・食戟のソーマ
「食戟のソーマ」は料理に対するお色気混じりの派手なリアクションが特徴の一つですが、中国の動画サイトにおける配信ではやはりそこが問題視されたのか、当時の配信ではお色気シーンになると画面が真っ暗になる規制が入ってしまったそうです。
しかし当時の中国オタク界隈はまだアニメ配信の規制に慣れていなかったこともあり
「作中のエロバカ的な演出が規制されてしまった!」
というのが第一話からかなりの勢いで話題になり、その後も
「どこが規制されたのか」
ということに関する議論が中国オタク界隈では盛り上がったそうです。
中国国内で配信される日本のアニメに対する規制や修正に関しては最近も「ダンダダン」の規制の多さが話題になっていましたが、「食戟のソーマ」は中国における正規配信においてかなり早い時点で規制の多さや残念さが大きな話題になった作品でもあるとかなんとか。
また作品の人気や話題性の持続に関しては当時の中国のネットにも広まっていた美食ブームとそれに関する話題の増加による後押しも影響していたようで、現在の中国オタク界隈における日本の料理事情や「日本の中華料理」に関する基礎的な知識やイメージは「食戟のソーマ」から来ているものがかなりあるのでは……といった話も聞こえてきます。
長くなってしまったのでまた次回に続きます。
今回挙げた作品以外の当時中国国内で正規配信されていた作品に関してはブログの方の記事もよろしければご参照ください。