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#28 「診断書にまつわるモヤモヤ」

産業保健もやもやハレハレ

この番組では、産業保健についてモヤモヤするけれど、身近に語れる人がいない!そんな孤独な産業保健職と一緒に、現場にありがちなモヤモヤを3人のパーソナリティと共に深掘りしてみます。


「診断書にまつわるモヤモヤ」のもやもや🌥️

よーた 今日のテーマは「診断書のモヤモヤ」です。来たよ〜診断書!笑

いが いえーい!

みずえ みんなあるでしょ?

いが 診断書発行ビジネス的なものがちょっとだけ巷を騒がしているので、テーマを一般的な話に置き換えて、我々もしゃべってみたいなと僕が提案させていただきました!

よーた 具体的にビジネスじゃなくても診断書を出すっていうところのモヤモヤも全部ひっくるめて、ここでなんか話すって感じなんですかな?

みずえ うんうん、それがいいんじゃないかなって思うんだけど。いがさんも多分そのイメージだよね

いが そうそう。診断書のもやもやって多くない?

みずえ たくさんあると思うよ。急にこんなの出てきたとか、復職する時にこんなの出てきたとか、いろいろあるよね

診断書は誰のため?

よーた なんでさあ、診断書ってそもそも必要なんだろうね、誰のためのものなの?

いが そこからいきますか?(笑)  

みずえ よーたさんー、そこからいくか(笑)

よーた やっぱ、そこはすごい大事な気していて、インフルエンザの時の治癒の診断書とか、給付食の時の診断書とか、様々なシーンで診断書を会社が必要とするから、従業員は診断書を医療機関でもらうみたいな仕組みをやらざるを得ないわけじゃない

いが うん

よーた 診断書ってそもそもなぜ必要で、誰のメリットがあって、費用もかかるしその妥当性って何なの?って思うじゃない。だからそれはどうなの?と思って。診断書なんで必要なの?

いが 本当ですよねー

みずえ そんなの多分みんな思ってることだよね。別に休みたいなら休めばいいじゃんって思うし、働けないんだったらお金入らないよねって思うんだけど、みんなそう思ってなかったのかな

いが 僕が前にいた企業は、「稼働日で5日以上休むときは診断書の提出が義務」という就業規則になってましたね。なので、5日以上休むときは診断書をもらわなきゃいけないんだけど、例えば風邪で休むと2-3日目の一番しんどい時には病院受診せずに頑張ってた人が、4-5日目で「そろそろ5日超えるから診断書もらいに行かなきゃ」となって、会社に提出するために、元気な状態で受診して診断書を発行してもらうことになっちゃうんですよね。

みずえ そうよね

いが 不思議ですよねー

よーた 診断書って一言で言っても、みんな頭の中にも様々なシーンがあると思っていて。例えば、復職に関する診断書と、インフルエンザの診断書と、両立支援でのがんの診断書とか、それぞれが目的がちょっと違う気もしていて。いろいろなシーンで考えてみると、「診断書は誰のため?」って質問の解答としては、やっぱり結局は企業が管理したいからって理由が強いんだろうなって気はするけどね

みずえ うん、そうだね。

いが そうね。いわゆる「ずる休み」とか「詐病」の防止目的というのが大きいですよね。あとは、感染症であれば、感染拡大の防止という目的にはなってきますけど。でもまあーけっきょくは管理のためだよね

話し合ってやめてみる

みずえ 私さ、全然わかってないんだけど、就業規則でよくあるじゃない。そのさっきいがさんが言った「何日連続でお休みしたら、診断書持ってきなさい」ってやつ。あれって割と一般的というか、私の中では昔からある就業規則の一つだと思うんだけど、あれってどういうところから来たものなのかしら?やっぱ結核とか昔の感染症から来てるのかな?どなたかご存知ない?

よーた 難しいね…でも、基本的に何日以上休んだ場合に診断書を出しなさいっていうのは、いわゆる疾病性の確認を事業者ができないために、その疾病性があるかないかを示しなさいよっていうところだと思うんだよね。ロジック上はね。ただ歴史的な背景は正確にはちょっとわかんないけども、

みずえ そうね。それもちょっと知りたいな。うんうん、なるほどね。

よーた でも管理するっていう企業側の思いで診断書をやることによって、様々な弊害もやっぱり起こってるんだよね

みずえ 弊害?

よーた まず一つは、従業員に自己負担させてますよね。いや、会社の命令にもかかわらず従業員がその診断書に関して費用を負担するって。やっぱりロジック上は結構難しいなと思うよね。会社のルールにのっとってやってるから

みずえ 確かに

よーた 一方で、インフルエンザの診断書を出しなさいよみたいなルールがあったとしても、もう撤廃するみたいな動きもあったりするじゃない。僕も何社か、診断書を出す意味があんまりない休復職に関する部分は、診断書提出をなしにしたよ

みずえ もうちょっと詳しく聞きたいけど、どういう議論でそうなっていくの?産業医一人がそう思ったからって動かないなと思ってて、、

よーた そう、動かない。でも大抵、感染症に関する規定っていうのは作ってあるのよ。例えばインフルエンザであれば解熱48時間か5日間か、多分ルールは決めてるはず。で、それが例えば結膜炎だったらとか、様々な感染症に関する規定をまずは作ってて、その規定に応じて動いてもらうことをやる。で、その規定を変えることを考えると、衛生委員会を活用して「今診断書が必要というルールがあるけども、これってあまり意味ある感じじゃないですよね?」っていうところからディスカッションしたり、人事に事前に話をして、「オペレーションが複雑になるので、ここを取りやめませんか」という形で手順を踏んだ上でやっていくことが多いよね

みずえ あ、提案をしてってことね。

よーた そうそう

みずえ でもかなりあの細かい手順必要そうだね、今聞いてるとw  今さらっとおっしゃったけど結構いろんな考え方とか、、

よーた まあそうね。でも、コロナの時もそうだと思うんだけど、始めるときとか新しいものはすごいディスカッションするけど、やめる時ってそんなにやらないんだよね笑 始めるのは難しいんだけどやめるのは結構簡単。なんでかと言うとオペレーション上楽になるから。そんなに負担じゃないんだよねw  まあ、とはいっても手順を妥当性とともに説明していくっていうのは、人事の人たちとやっぱりすり合わせしとくことも含めて、あっていいのかなと思うけどね。

管理のための診断書をやめてみる

よーた 逆にコロナの時とかってどうしたの?診断書って必要としてたんだっけ?そもそもいがちゃんはコロナ感染症のときどうだった?

いが コロナの時はインフルエンザと同じで、薬の処方内容とか検査キットの結果を出せばオッケーだったね。受診したことが証明できればOKとか、陽性であることが証明できればOKみたいな感じだったと記憶してますね。初期は診断書だったのかもしれないですけどね

よーた うん、なるほどね

みずえ そういえば「診断書を求めないでください」とかもあったよね。保健所とかが混乱もするし

いが そうそう、治癒証明も求めるなってなってましたね。

みずえ あったねー

いが 今ネットで見ても、やっぱり「診断書は仮病防止」って書いてあるから本当に一部の仮病でズル休みする人の防止のためにルールがどんどん厳しくなっちゃったみたいな、そういうことなんじゃない?
それが当たり前のように広まってしまったけど、本当は診断書がなくても休めるルールのほうが僕はいいと思いますねー

みずえ 私もそう思うけどね

よーた 2つあるよね。1つは、そもそも日本の文化が、ダメな人のためにルールを全部寄せていくのよ

みずえ ズルは許さないみたいなことでしょうw

よーた そこでルールを決めちゃうから、みんながもう高コストになっちゃってんの。そのせいで効率が悪くなってる

みずえ そうだよねー、わかる笑

よーた その悪い人のために全部ルールにしてきたから。それは、別でやればいいじゃんって思うことが1つ目。2つ目は、別にズル休みしようが、一定を超えない限りにおいて、本人が休みたいなら休ませりゃいいじゃんと思っていて。っていうか、成果でちゃんと評価しろよと思ってるわけよ。だって、本人の出す成果・パフォーマンスでやらない限り、結局ずる休みしてるかどうかなんて、在宅勤務したらもうわかんないわけで。永遠にその問題も出てくるから

みずえ うん

よーた だから、そこから脱却しないと無理だよね。永遠に監視しないといけないから

みずえ 確かに監視の文化があるね。

よーた 管理しすぎなんだよねぇ

みずえ よーたさんエンジンがかかってきた笑

よーた インフルエンザとは別で、復職の際はむしろ診断書出せってことが多いよね

みずえ まあロジックがそうだもんね。働くことを免除してもらうために、働けない理由を診断書という形で述べ、働けない理由がなくなったらなくなりましたっていうことを証明しなさいってことだもんね

よーた そうね。あ、でもね、俺は、休職する時は別に求めないかも。それは会社の命令でやってるから

いが ほうほう

よーた 基本的にあなた働けないですよっていうことをなんらかのルールの中でやったりするから、もちろん診断書出る時も多いけど、必ずしも必須じゃないと思う

診断書絶対主義

みずえ いがちゃんが今回のテーマを出してくれたじゃん?この辺りでいっぱいもやもやがあるのかなと思って。

いが 1つには診断書の効力が強すぎる。診断書要る・要らない問題もそうだけど、結果的には診断書にめっちゃみんな引っ張られるんだよね

みずえ うんうん

いが 産業医が入っていれば診断書の取り扱いとか、変な診断書が出ないような仕組みができているからいいと思うんですけど、そうじゃないと診断書に書かれていることに、みんな引っ張られてしまって、いわば「診断書絶対主義」みたいな。診断書が異常なぐらいな効力を発揮してしまうのってモヤモヤするよね

よーた 診断書を出す精神科の先生たちは、従業員の方からの情報でしか当然ながら判断できないわけで、その中で本人が「いや、働けません!」って言ったら、それは当然「働けません」って書くよねとも思うわけで

みずえ うんうん、そうだと思う

よーた いがちゃんの言うとおりパワー強いよね

いが 強い強い

よーた 診断書に書かれている専門的な意見は、もちろん尊重しますよ。なんだけど、結局働けるかどうかに関しては専門ではないので、私たち側が当然それを判断するべきだっていう形で人事と一緒に考える必要性はあるよね

安全にコケさせてみる

みずえ 事例性と疾病性ってよく言うじゃない?そういうのって私は当たり前になってきてるのかなと思ったんだけど、実際はそうでもなさそうなの?

いが うん、そうでもないでしょう。あとは、医者の診断書に書いてあることを、医者である産業医が解釈するときにはまだいいと思うんですけど、看護職がそれをひっくり返すときってありません?

よーた そうね、あるある。よく聞く

みずえ え、どういうこと?

いが 保健師の方は、診断書を見て「いや、絶対これ復職出来ないでしょ」って思ってるんだけど、産業医や人事担当者がなど全員復職に賛成だったりして、戸惑ってるっていうのはシーンとしてはよくあるよね。特に、その産業医がそんなに知識もないシチュエーションとか。復職できない状態にもかかわらず、復職可能という診断書で上がってきた、というやつ。

みずえ あー

よーた 診断書至上主義の人事担当者からすると復職させようとするし、産業医も復職でいいんじゃない?みたいなことを言ってる。でも、保健師は「いや、絶対無理でしょこれ」みたいなのがわかってるっていうシチュエーションね。その時に覆すことできるかっていうと、それはきつそうだよねとは思う。

みずえ そうやって困ってる看護職が結構いるんじゃない?ってことね

いが そうそう。みずえさんはどうしてるんですか?変な診断書とか実現可能性の低い内容が書かれた診断書が来た時に、人事とどうコミュニケーションをとっているのかなって

みずえ そうだね。産業医がそんなに頑張ってないところっていう条件だよね。今の話だと

いが そうそう

みずえ それは二つあって。最初は段階は、まあ診断書に書いてあるし、人事もその通りにしようとしてるし、産業医もまあ診断書があるからオッケーみたいな感じなので、復職ですねってなるんだったら、なるでいいと思っています

いが うん

みずえ ただ、その代わり、「この状態だと復職してもこういうことが考えられそうですね。だから、打てる手は打っておきましょうか」みたいな合意形成は、本人も含め、上司も含めすると思う。で、そうするとやっぱりこけたりすることが多いじゃない?そうしたらやっぱそうだよねってことで仕組みづくりに翌年入るみたいなw

よーた そうねw

みずえ その二段階あると思う。最初からこれダメですよとかは絶対言わないな

いが 一回こけさせる?w

みずえ そうそう安全にねw  みんながいいって言うなら一旦復職させて、でもその代わり、復帰した後の再発予防が大事だから、フォローはどこかで入れませんかとか、月一面談しますか?とかそんな感じかな?

いが うん、なるほど

みずえ うん。でもやっぱ仕組みを作りたいよね

いが まあ仕組みでしょうね。やっぱりね。そんな気がいたします。

「診断書にまつわるモヤモヤ」のはれはれ🌞

みずえ まとめに入りましょう。一言ずつハレハレしてもいいし、しなくてもいいので、一言ずつお願いしようかな。誰かいける人〜?はい、いがさん!

いが なんかこの番組ハレハレさせなくてもいい雰囲気に最近なりつつあるのがちょっと怖いんだけどw

みずえ そこがモヤモヤする?w

仕組み化してブレさせない

いが 一言で言えば「仕組み化」だと思ってます。いろんなことが(診断書として)出てきた時にも、ルールや仕組みを作っておけば、診断書の取り扱いも変な方向にブレずに済むのかなと思いますので、そもそもなんで診断書が必要かっていうのも議論もありますが、全部いろいろ含めた「仕組み化」が必要だという私なりのハレハレでお願いいたします。

注意)
ここでいう「仕組み化」とは、復職基準の明確化、休職中の過ごし方のルール化、生活記録票や復職時の連絡方法などの帳票などのことを指します。

理解しながら仕組みを作っていく!

みずえ はい、ありがとうございます。よーたさんどうぞ!

よーた 診断書の持っている大きなパワーは、やっぱりみんな感じ取っているからこそ、診断書を本当に必要なシーンと必要じゃないシーンっでちゃんと考えていく。単に診断書があれば全部救われるわけでは決してない、って理解しながら仕組みを作っていくのがいいと思うんですよね。😉

いが 笑

みずえ ドヤ顔もありがとうございますw

診断書に対して反射で動かない!

いが 最後みずえさんお願いします。

みずえ 私は、「反射で動かない」。

いが おお

みずえ 変な診断書もあると思うけど、なんだこれって文句を言ったり、ダメ出ししたりしない。それを持ってきた人もさ、色々思いながらもお金払って持ってきたかもしれないんだから、そういう時に「何書いてるのよこれ」とか「この主治医変だね」とか言ったり動いたりしない。

よーた 大事!!。それでけっこう揉めるもんね!笑

みずえ うんうん笑 信頼関係も失われるじゃない。だから、そういうのは反射で何か言ったり行動しないことです。うん、以上です。

いが めちゃいい話!


みずえ そろそろエンディングのお時間となってしまいました。今日のエピソードはいかがでしたでしょうか?また次回お会いいたしましょう!

3人 またね〜!👋

音声ソース

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