もう少し、見た目に気をつかったら?
先週末くらいに、昔の客船の煙突について綴った。
本稿では軍艦の煙突について触れてみる。
(軍艦の話は初めてじゃね😐)
20世紀初頭。
英国海軍のライバルである、フランス海軍は色々迷走していた。
技術的には世界のトップクラスを走っていたが、理論が先行して実際に使い物になるかどうかは全く別問題だ。
それについてはさておき、そんなフランス海軍が同時期、世界初の艦種を生み出している。
装甲巡洋艦と呼ばれるものである。
■ 装甲巡洋艦
読んで字の如く、船体に装甲を張った巡洋艦。
「そんなん、軍艦に装甲を張るんは当たり前じゃろ😒」
いや・・・、
実は当たり前じゃないんです😑
長いフネの歴史において、軍艦が装甲を纏っていた時代はほんの一瞬。
少なくとも現代のほぼ全ての艦艇では、装甲を纏っていない。
1895年に世界初の装甲巡洋艦『デュピュイ・ド・ローム』を就役させる。
艦首が水面に向かって大きく突き出し、どでかい塔(ミリタリー・マスト)が前と後ろにそびえ、お世辞にも格好良いとは思えない😒
もちろん、見た目の格好良さが軍艦の性能に直結するわけではない。
ただ・・・、
フランス装甲巡洋艦はもっと進化(?)していくことになる。
■ じゃけぇ、「多ければ良ぇ」ってもんじゃ・・・。
『デュピュイ・ド・ローム』が就役した年にも装甲巡洋艦が計画され、1902年に完成したのが『ジャンヌ・ダルク』。
煙突が、3倍の6本に増えている。
なんか、違和感を覚えんでもない気がしますが、客船と決定的に異なるのは、これら艦艇の煙突は全て、ホンモノの煙突なのです。
(何を言ってるか分かるが、何を言ってるか分からない気が・・・😒)
敵艦と交戦するための軍艦では、基本的に余計なモノは搭載しない。
見栄えを良くするために煙突を増やすなど、言語道断。
■ とはいえ、お洒落ではない・・・。
続く『ゲイドン』級以降の装甲巡洋艦は4本煙突になる。
フランス海軍が、
「流石に、6本煙突は格好が悪いからな・・・😒」
と、周りの目を気にしたからじゃない。
『ジャンヌ・ダルク』よりも小型に抑えた設計にしたことで、ボイラーの数が少なくなったから。
しかし、1909年就役の『エルネスト・ルナン』そして最後の『エドガー・キーネ』級で再び6本煙突に戻る。
やっぱり、6本煙突にコダワリがあったとしか思えない・・・😒
(そんなわけ無いか・・・)
真面目に言うと、武装を強化しつつ外洋での作戦行動を容易にするため速力も増大させることを狙ったため。
それでも、他国海軍の艦艇の写真を見ても、6本煙突の軍艦はさすがに見られない(イタリア戦艦に1隻いたのみかな・・・)。
ほとんどが、多くて煙突は4本だ。
まれに5本煙突のフネがいるが・・・、
そう言えば・・・、
それの代表格も、フランスの戦艦だったのを今思い出したなぁ・・・😒
こうやって見ると、フランスにおいては「ボイラーの燃焼効率が思ったよりも宜しくないから、缶数を稼いで必要な出力を満たしたのかな😒」とヤボな想像をしてみたりもする。
振り返ると、高校生の時にこれら装甲巡洋艦の写真を初めて見たときに、
「なんで、どれもこれも、こんなにカッコ悪いねん・・・😑」
「フランスって、ファッション・芸術の国やろ・・・😒」
率直にそういう印象を受けたが、年を重ねて、酸いも甘いも色んな経験をしていくと、不思議なことに、こんな不格好な見た目でも妙な魅力・味を感じるようになる。
道理で、宮○駿センセイの作品でエッセンスとして取り入れられたりするのかな・・・😑
■ もっとヤバいのが・・・。
装甲巡洋艦の歴史は短かった。
1900年代に入るとイギリス海軍が巡洋戦艦なる新たな種類の軍艦を生み出した。
”巡洋戦艦”と聞くと、戦艦の新たなバージョンに思える。
しかし、元々の英語では”Battle Cruiser”。
「戦闘巡洋艦」と直訳されるから、どこまでも進化した、究極の巡洋艦である。
巡洋戦艦の特徴は・・・、
戦艦の火力と巡洋艦の速力を併せ持ったところにある。
まさに理想的な艦種だったが、欠点もある。
高速を発揮するために、理想的な船形と大出力の機関を多数備えないといけないので、戦艦よりも巨大になってしまうのだ。
戦艦よりも巨大ということは、それに比例して建造費用も高額となる。
そのくせ、戦艦よりも巨大で戦艦並みの火力を持っているのに、うかつに戦艦と戦うことができないという、致命的な弱点も併せ持っていた。
巡洋戦艦を保有した国は、イギリス・ドイツ・日本そしてトルコ。
たった、この4カ国しかない(トルコの場合は特殊な事情があった)。
意外にも・・・、
世界初の装甲巡洋艦を送り出したフランスは、計画・構想のみで終わってしまう。
実際に建造に着手したのは、ロシア帝国とアメリカ。
ロシア海軍のそれは、1隻は進水までこぎ着けたが、ロシア革命の混乱でとうとう完成させることができなかった。
そしてアメリカ。
この、アメリカ海軍が計画した巡洋戦艦が、色々とキワモノだった。
続きは、また書いてみようか・・・。
■ 今回使った主な資料
最後に、今回記事を書くにあたって参考にした資料を紹介します。
(写真はいつも通り、Wikimediaのパブリックドメインから利用してます)
一冊目は、まさしく『フランス装甲巡洋艦』という、そのまんまのタイトルの本である”FRENCH ARMOURED CRUISERS 1887-1932”。
もう一冊は、日本で艦艇関係の書籍といえば『世界の艦船』がその代表格だが、同誌を発行している海人社から発行された『フランス巡洋艦史』。
どちらもAmazonで購入できるようですが、やっぱり中古に限られるみたい・・・(;´Д`)
二冊目の『フランス巡洋艦史』は、ワタシが高校生の時に大阪・曾根崎の旭屋書店本店で購入した。
この当時の定価2,000円も、いまのAmazonでは中古5,000円となっている。
旭屋書店さんだけに限らず・・・、
僕が若いときには、尖った品揃えで何時間いても飽きない本屋さんがいっぱいあった。
それから20年近くが経って、そんな本屋さんが大分少なくなった。
時代の流れとはいえ、寂しいな・・・(; ;)ホロホロ
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