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Mr.Andrew、小旅行に出る②。

 前回からの続きです。

■ Mr.Andrew、ついに汽船の客となる。


□ 松山観光港

 2月21日(金)20時46分。
 松山観光港ターミナルに到着。

 待合ロビーに足を踏み入れると、既に多くの乗船客が集まっている。
 個人的には「おそらく閑散としているだろう」と思っていたから、とても意外だった。

ターミナルの待合ロビー
ご覧の通り、発見のための列ができています。

 さっそく旅客名簿に記入して、行列に並ぶ。
 この時間に出港する船は、小倉行きのフェリーしかない。
 だから、ここに集まっている人々は皆、同フェリーの乗客というわけだ。
 すぐにワタクシ行堂の順番が来たが、すでに予約を済ませていたので、すぐに乗船券を発券してくれる。

 発券してもらった頃合いで、乗船時間の21時00分を若干過ぎていた。
 さっそく2階に上がって、搭乗橋を進んで行く。
 小倉行きのフェリーは、ターミナルから最も離れた岸壁から発着する。
 長い搭乗橋すらも、今宵の私にとっては旅情をたかぶらせてくれる舞台装置である。

まだまだ続いていく。
「まだもう少し続いていて欲しい」という、天邪鬼な願望も・・・。

□ そろそろ、旅の理由を。

 今回の旅でこのフェリーを選んだ理由は、とても簡単。
 このフェリーが往復する松山・小倉航路が、来たる6月30日をもって廃止されてしまうから。
 いまは『フェリーくるしま』1隻で1日おきの運航となっているが、昨年6月までは同型船『フェリーはやとも2』を加えた2隻で毎日運航していた。
 昨今の燃料価格の高騰そして乗客数の減少に加えて、フェリーそれ自身の老朽化が重なって、廃止の決定に至ったというわけ。

http://www.matsuyama-kokuraferry.co.jp/image/pdf/20241227-1.pdf

 彼女は1987年完成の38歳だが、国内フェリーの中では相当老齢の部類に入る。利用客が常日頃から多ければ、補助金を利用しながら新造船建造を決断したかもしれないが、安定的な利用者が見込めないのに、莫大な費用をかけて代替船を整備する決断は難しいだろう。

 近年の国内フェリーは大型化が進み、かつ旅客設備も豪華になっている。
 一方で、1980年代末期に建造された彼女は、シンプルこの上ない内装で、現代の新型船には見られない風情が味わえる。
 彼女が現役でいられる晩年に、それを堪能したいと思った。

□ 喧騒溢れかえる船内

 搭乗橋をもうしばらく歩を進めていくと、遂に行き止まりが見えてきた。

この表示が出ると、乗船口が近い。
搭乗橋の窓から間近にその姿を拝める。
ついにたどり着いた!

 乗船券と引き替えに乗船証を手渡されて、いよいよ乗船する。

この雰囲気がたまらなく好きだ😆

 ギャングウェイから乗船すると、一旦車両甲板に案内される。

右端に写る階段を下りて、緑色の床である車両甲板に立つ。

 『蒲田行進曲』に出てきそうな階段が、いかにも昭和臭が漂い、たまらない😆

車両甲板からの階段を上ると…、
シンプル!
奥のワインレッドの壁と天井照明がいかにも昭和らしい。

 エントランスも飾りっ気のない、いかにも”昭和の客船”といった感である。
 それにつけても・・・、
 週末+廃止が近いせいか、エントランスや休憩スペースは乗客でごった返している。ここまでお客さんが多いとは、さすがに予想外だった。

 「普段からこんな感じやったら、廃止にならへんかったやろうな」

 そう思うと、複雑な気持ちだ(・ω・)

 エントランス周囲では、そこら中で各自持ち寄った弁当を広げている。
 そう、彼女には食堂がない。
 売店にはカップ麺やおつまみ類などを売っているが、ご飯類はない。

小倉到着前の、人気が無いときに撮影。
カウンターの間接照明で演出している。

 かくいうワタクシ行堂、売店で御船印とカップヌードルを購入。
 カップヌードルなんて普段は買わないが、エントランスで皆カップ麺を頬張っている。
 これを見たら、イヤでも買わないわけにはいかないだろう(」°ロ°)」

松山市駅のセブンで買ったマルエフ+ワンサードと。

 彼女に乗るのは、これが最初で最後だろうから、少し無理して1等A室を予約した(さすがに特等A室はやめといた(-_-;))。

 特等A室をご覧になりたい方は、下の動画が大変参考になります。

フェリー旅の動画といえば、我らが崇拝するエンイチさん😆

 "無理して"というのも、特等・一等客室を一人で利用する場合、一人分の運賃に加えて、貸切料金を支払わないといけないためだ。
 ワタシが支払った運賃は、以下のようになった。

17,400円(一等A・大人一名)+8,700円(貸切料金・大人一人×50%)
 合計・・・26,100円

 けれど、結果的に正解だった。
 大部屋・ザコ寝に抵抗があるなら、多少無理してでも個室の方が、変に気を遣わなくて済む。

 ガラガラなら大部屋でも良いけど、それならそれで航路維持には大きなマイナスだし、難しいところですな・・・(・x・ ) 。oO

 まして、その日はほぼ満員だった。
 赤の他人と間近で眠るのに抵抗がある向きには、昔ながらの大部屋主体の彼女は、いささか辛いかもしれない。

1等A室。
正面の赤い長椅子が、寛ぐのに丁度いい。窓越しに洗面台と衣装掛けが見えます。

 かく言うワタクシ行堂だが・・・、
 わずか7時間の船旅なのに、個室なんて本当に上等過ぎて快適です😌
 (他人に一切気を遣わないで良いのは、本当にありがたい)
 ただ唯一贅沢を言うなら、部屋に冷蔵庫が無い。
 買ってきたビールは、ぬるくなる前にスグに呑んでしまわないといけない😅

□ いよいよ出港

 老嬢・汽船『くるしま』号は、21時55分に定刻通り松山観光港を離岸。
 フネの出港風景は、高揚感と共にどこか切なさも感じるのは自分だけだろうか。

離岸するときは、あっという間。
もう、この光景を見ることはないだろうな・・・。

□ Mr.Andrew、全裸になる!

 出港の余韻に浸っている場合ではない。
 風呂に入らないといけないからだ。
 しかも、21:00から22:30までの一時間半しか開いていない。

 『フェリーくるしま』には、面白い特徴がある。
 男女それぞれ、風呂が2つあるのだ。

 ひとつは、特等・一等区画にあるもの。
 そしてもう一つは、二等区画の風呂。

特等・一等区画入口に掲示されている案内板
”ご遠慮”だから、禁止というわけではないか・・・。

 「出港直後やと、風呂も混んでるやろうな😒
 そう覚悟して紳士用浴室に入ると・・・、
 なぁんということでしょう。
 脱衣所に誰もいないではありませんか。

 「てか、脱衣所狭いな。カゴも2人分しかあらへんし・・・」

 ともかく、誰も入っていないと分かったから、俄然テンションが上がる。
 急いで部屋に戻って、タオルと着替えを持って浴室に突入する。
 そのまま、纏っていた服を全て脱いで、風呂の扉を開ける。

 「・・・普通の風呂やん😐

 大浴場のつもりでいたら、普通に大きな浴室だった。
 今日日のフェリーだと露天風呂を備えたものもいるから、それに比べるとたいそうこじんまりとしている。
 一般配置図を見る限り、二等の大浴場もそんなに広くないだろう事が想像できる。

 結局、ワタクシ行堂が入浴している間、誰も入ってこなかった。
 ゆっくり湯船に浸かって、風呂を出た。

□ 船酔い、大丈夫でしょうか?

 乗り物酔いを心配される方も多いと思います。
瀬戸内航路のフネは基本的に大きく揺れない
しかし・・・、全く揺れないわけでもない
 不安であれば、事前に酔い止め薬を服用した方が良いかもしれません。

 ただ、あまり神経質にならなくて大丈夫だと思います。
 気にしすぎる方が、かえって良くないかもしれません。

 あと、瀬戸内海を航行するフネは、携帯の電波も比較的充分に届く。
 松山・小倉航路はわずか7時間で、翌朝5:00に到着するから、スマホをいじっている暇はほぼないと思われる。

出港して直ぐに寝ないと、翌朝に響きますからね・・・。

船酔いよりも、睡眠時間の心配をした方が現実的です😐

 風呂から上がり、ようやくひと息つくことができる。
 松山市駅脇のセブンイレブンで購入したおつまみとビールをようやく堪能できる。

「カップ麺に加えて、買いすぎでは?」って?
心配ない。全て船内で完食したから。

□ まだ船旅は始まったばかり。

 少しだけ本を読みながらくつろいでいると、隣の部屋から若い女の子の声がめっちゃ聞こえてくる。そして、話の内容もほぼ完ぺきに聞き取れる。
 部屋の壁がとても薄い。
 すなわち、大きなイビキ+ゲップ+屁の音も要注意です(´д`)

愛読書の一つ。
以前福山にあったヴィレヴァンで購入。

 そんな心配をするヒマはない。
 翌朝が早いのだから。
 もう寝よう。

 次稿に続きます。

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行堂嶐 『あんどうりゅう』
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