新興宗教「崇教眞光」総本山に行った話
岐阜県高山市に本部を置く、崇教眞光 (すうきょうまひかり) にお邪魔した。この教団は全世界で100万人の信者を抱えている大規模な新興宗教である。
※2024年8月時点の情報なので、行く方は注意してください
崇教眞光 (すうきょうまひかり) とは
崇教眞光は、手かざしによって魂を清めることができ、その業 (わざ) は簡単な修行によってすべての人ができるようになると主張する教団である。 (参照: はじめに)。
創始者は岡田光玉 (本名: 岡田良一) 。『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』によれば、岡田光玉は元々は世界救世教 (静岡県熱田市) の信者であったそうだ。
実は、岡田光玉を教祖とする教団は崇教眞光の他にもう一つある。「世界真光文明教団」(静岡県伊豆市)である。この2つの教団は、光玉の死後に分裂したものである。光玉の養女である岡田恵珠 (けいしゅ) を正当な後継者とする派閥が崇教眞光であり、当時の教団幹部であった関口榮 (さかえ) を正当な後継者とする派閥が今の世界真光文明教団である。
いざ参拝!
高山駅から車で10分かからないほどの距離に崇教眞光の巨大施設があった。敷地内にはかなり広い駐車場があったので、そこに車を停めた。バスで向かうことも可能だ。
敷地内には、「世界総本山(元主晃大神宮)」と「第二神殿 (愛和館)」の2つの施設があった。総本山のほうは改修中で入館はできなかったが、第二神殿のほうには参拝・見学することができた。
第二神殿の外観を言い表すなら、「とにかく大きい」「とにかく白い」だった。この大きさで、汚れがひとつ見つからない白い建築物にはなかなかお目にかかれない。建設されたのが4年前の2020年秋なので、最近塗装し直したのか、それとも念入りにに清掃されたのかもしれない。
入口には、警備隊または軍隊らしき恰好の若い男性が待機していた。近づくと声を掛けられ、一言二言雑談したあと、笑顔で中に案内された。残念ながら撮影ができるのは外側だけで、内部の写真を撮ることはできなかった。
ロビーには巫女の姿をした女性が受付をしていた。特に事前の連絡はなかったが、受付で姓名と入館時間を記帳するだけで入館させてもらえた。
ロビーを抜けると、祭典用のホールがあった。かなり広く、8000人ほどを収容することが可能だそうだ。前方には、神道式の建物 (「おやしろ」と呼ばれていた) が高い位置に配置されていた。例えば、下の画像の上半分のような神社建築を参考にしているような構造だった。
ホールの中には、一人だけ巫女姿の女性がいた。その女性から一通り教団の歴史や教義ついての解説を受けたあと、質疑応答の時間を頂いた。私の質問に対して、非常に丁寧に説明してくださった。ただし、分派したことについてや、もう一方のほうの教団 (世界眞光文明教団) についての話題は一切触れられなかった。
一通り話終わった後、巫女の女性の後に続き参拝を行った。大枠は神道式の参拝方法に近いが、拍手の数、礼の数などが違っていた。
概して、崇教眞光の方は友好的に接してくれたので、よい印象を持った。こちらのプライベートに踏み込んだり、論破しようとしたり、勧誘することはなかったのでそこに関しては安心してもよいだろう。しかし、見学者によい印象を持って帰ってもらうほうが教団にとってはメリットなので、ある意味でこれは当然である。「新興宗教の信者と会ってみたら意外に優しそうだった」という話はあるあるだ。それゆえ、教団関係者と接した時の印象で、教団自体の安全性・正当性を判断しないことが重要だ。
光ミュージアムへ
帰り際に、「光ミュージアム」という教団と関わりがある博物館の割引券を頂いた。「光ミュージアム」は施設から車を走らせて10分ほどの距離にあった。通常1000円で入場できるが、100円割引してもらった。
古代文明をイメージした作りになっており、規模の大きさと荘厳さに圧倒された。展示室のほとんどは特に宗教色の強いものではなく、教育施設としての側面のほうが強かった。
しかし、最上階にある「岡田光玉顕彰記念室」のみ崇教眞光の教義を前面に押し出すものだった。そこでは、岡田光玉、岡田恵珠の遺品や言葉などが展示されていた。また、教団の公式上の歴史が細かく記述されていた。教団独自の用語が特に説明もなく使用されていたので、一般客向けというよりかは、信者向けの展示であると考えられる。
興味深いのは、ここでもやはり岡田光玉の亡き後の分裂についてや、もう一方の団体 (世界真光文明教団) についての言及がなかったという点だ 。
展示室を進んでいくと、岡田光玉の黄金の立像がただ一つ配置される部屋と繫がっていた。そこだけひときわ異様な雰囲気の空間だった。
なぜ宗教団体は見学者を受け入れるのか
実はこの教団に限らず、一般の見学・参拝を受け入れている新興宗教は多い。例えば、先ほど紹介した世界真光文明教団や、天理教なども、積極的に見学者を受け入れている。
宗教団体が一般の見学者を受け入れる理由としては、入信者獲得が挙げられる。しかし、もし仮に入信者獲得に繋がらなかったとしても、イメージアップを行えるという意味で、見学者の受け入れはその教団にプラスに働く。ゆえに、私のようなただの冷やかし観光客であったとしても、見学者を受け入れることにはメリットがあるのである。
宗教見学に関する注意点
宗教施設見学は学びも多く非常に面白いが、一方でリスクもある。もし宗教施設に行くことになれば次のことに注意するべき。
1. 事前調査を忘れずに
例えば以下のことについてはあらかじめ調べておくほうがいい
その教団の危険度はどれくらいか。どのような評判が立っているのか
見学者を受け入れているか / 予約・申し込みなどの手続きは必要か
実際に見学した人の口コミ
個人情報はどれくらい求められるのか
2. 個人情報の取り扱いに注意
教団施設に見学をすると、名前・住所などの個人情報を求められることが多い。そのため、個人情報を利用されて勧誘されるリスクは十分に考えられる。例えば、個人情報を求められるところには行かない、求められてもお断りする、リスクを覚悟して行く、などの対応が必要だろう。
3. 表面上の情報だけを信じない
当たり前だが、どんな教団も見学者に対していい部分だけを見せようとする。つまり、自教団が安全でかつ正当であると思わせるような情報しか私達は知ることができない。もちろん、嘘も多く含まれていると思ったほうがよいだろう。そのため、教団が提供する情報だけを信じず、第三者が発信している情報を入手したほうがよい。
4. 失礼がないようにする
トラブルを起こさないためにも、失礼な振る舞いはしないほうがいい。特に気をつけるべきは、無意識に相手の信仰を馬鹿にするような発言をしてしまうことだ。あくまでも自分は部外者であるという意識を持っていたほうがよいだろう。