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産業保健師が知っておきたい PDCAサイクル
「PDCAサイクル」という言葉を聞いたことはありますか?
これまであまり馴染みがなかったという人も、ぜひ覚えておきたい言葉です。
なぜなら、ビジネスの場では常にこのサイクルで事業や業務をより良いものにしていくことが求められ、「健康経営」についてもこのPDCAサイクルを循環させていくことが経済産業省のガイドブックでも求められているからです。
また、保健師の仕事全般においても企業ではPDCAサイクルの実行が求められます。
<「PDCAサイクル」の概要>
「P」「D」「C」「A」はそれぞれ「Plan」「Do」「Check」「Action」の頭文字です。
ビジネスの場ではよく「PDCAを回す」という言い方をします。
なぜそのような表現がされるかというと、「サイクル」という名前からも想像できるように、下図の通り「Plan」「Do」「Check」「Action」は途切れることなく環状になっているからなのです。
では、それぞれの要素が何を意味するのかを見ていきましょう。
このように絶えずPDCAサイクルが回ることで、業務が常に現状に即していてより良いものに改善され続けながら実行されている状態を作り出します。
変化の激しいビジネスの現場では、一度計画を決めても時間の経過とともに現状からかけ離れて行ってしまうことも多くありますので、常にこまめにPDCAサイクルを循環させることを意識しながら業務を行いましょう。
<「PDCAサイクル」の実践例>
例えば“健康診断結果の集団分析をおこない、それに基づいた健康改善・健康増進の取組みを実施する”という保健師の仕事についてPDCAを回す場合で見てみましょう。
① Plan
集団分析のおこない方、予測される複数の結果に対してそれぞれのおおまかな取組み概要を計画する。
② Do
実際に集団分析を実施し、結果に対する健康改善・健康増進の取組みを実行する。
③ Check
A:まずは、つまづいている点はないかを確認。例えば、分析の結果が当初の想定から大きく外れている場合には、現状に即した健康改善・健康増進案を検討する
B:計画通りの健康改善、健康増進案を実施して実際の効果があったかを確認する
④ Action
③でAに該当する場合には、改善案をもとに次の「P」へとつなげる
③でBに該当する場合には、効果があった場合にはさらに良くする案をもとに効果がなかった場合には新たな改善案をもとに次の「P」へとつなげる
この場合、“集団分析をおこなう”と“分析結果に基づいて健康改善・健康増進の取組みをする”という2つの業務に分けてPDCAを組み立てても良いでしょう。
今年回したPDCAは必ずしも来年の健康診断結果では適さない、またはより良いツールや方法が出てくることもあるでしょうから、やはり常に新鮮なPDCAを回す必要があります。
ただし、「PDCAを回す」と口で言うのは簡単ですが、実際に回してみると難しいものです。
最初は先輩社員に付いて教わるなどしながら、実際に何度か実践してみましょう。
そうすると、PDCAのどこでつまづきやすいかなども経験することができます。