
あれから2年、許された場所。
今年の8月は後半ほぼ寝たり起きたりの日々が続いておりました。これは夏が苦手な私でも予期しなかったこと、そしてこれまでにもなかったことです。7月の半ばから酷暑の中の外出が続きやや夏バテ気味だったのは確か。ダラダラとよくもない、悪くもないような体調が続いているところにワクチン接種をしたところ、体のいろんなところに反応してしまったようでした。
そういえば「夏はあんまり力まないようにね。秋になると必ず、自然と頑張らねばいけない状態が来るからね。」と夏の初めにH先生にも言われていたっけ・・・
今までの私でしたら「休んでなんかいられない!」と思うところでしょうが、動きたくても動けない、まるで強制的にお休みを取らされていたような8月も終わりを迎えています。残暑は続くものの少し高くなった空と、涼を運ぶ夜風に、季節の動きを感じ、ちょっと安心感もおぼえております。
そんな8月でしたが、HIMEMIYAのお仕事の方では新たなパートナーシップを結ばれたり、新企画がどんどん立ち上がっております。日本屈指の太鼓メーカー様が営業活動を担ってくれることも正式に決定し、京都の町屋大工さんともご縁をいただいております。秋に開催される展示会への三度目の出展も正式に決定し、前回の展示会でご縁をいただいたメーカーさんと共同で、あるシステムを開発することもスタートしております。
いずれも私自身が動いて事を起こしているのではなく、「こんなのどうかしら?」と提案したことをまわりが動いて形にし始めている。。。そこに何より「おかげの力」を感じ、感謝するとともに、やっと自分のポジションとやるべきことがつかめつつある、そんな状況です。
まあまあ、自分に合格点をあげてもいいかな?
さて、HIMEMIYAが「エアー鉋」なる機械を手に入れたのはちょうど2年前の8月末でした。「現代の名工」を筆頭にした、今では現場棟梁をそつなく務めてくれるウエちゃんたち宮大工集団と滋賀まで機械を受け取りに行ったことを昨日のように思い起こします。
一歩一歩、迷い、戸惑いながら進めてきた「エアー鉋」のお仕事ですが、このたび西宮門戸厄神東光寺様の「延命魂(根)」の美観再生に携わらせていただく運びとなりました。
「延命魂(根)」は、高野山奥の院、弘法大師御廟の近くにあった、高さ60m、樹齢800年の老杉の根で、生命を全うしたときに高野山金剛峯寺から西宮門戸厄神東光寺様にお下げされたもので、「人々の祈りと神仏の魂がこもった霊木」と言われ、延命や病気平癒にご利益があるとされてきた神聖なる存在です。
「多くの人が触ることもあり、劣化部分が見られる。どうか美しさを取り戻してほしい。」というご依頼から現地調査にお伺いいたしました。細部まで拝見したときに、何よりもその年輪が描き出す曲線、しかも劣化してもなお美しく荘厳な姿に経てきた長い年月と人々の信仰の思いに圧倒されました。
ご神仏の魂が宿り、霊木として生き続けている「延命魂」を手掛けさせていただくことは、おこがましいのですが「神仏のお許しをいただいた」と言うことのように思え、畏れながらも大変光栄に思い、準備を整えております。
2年経ってたどり着いた場所。
御神仏からのご褒美であり、「この道を極めていきなさいね。」と言う新たなチャレンジ、そう覚悟を促されているような一つの奇跡のようにも思えております。
どちらかと言うと「ここで満足してないよね?これがスタートだってわかってるよね。」とにこやかに微笑みながら語りかけてくれているような。。。
「延命魂」の施工はHIMEMIYAのInstagramやFB、Twitterなどでもお知らせして参りたいと思っております。ご住職にそのお許しをいただいたところ「どんどん書いて、どんどん知らせて!」と背中を押していただきました。こんな身に余るような寛大なご対応も、御神仏が運んでくれたご縁に間違いありません。
そして私自身の歩みを後押ししてくれるのはいつも温かいお心で見守り、励ましてくださる皆さま。それには感謝の思いしかございません。そのお心にかなうように、一層の研鑽を重ねてまいりたいと思っております。