生まれてしまった
赤ちゃんの時の記憶って皆さんございますか?
わたしはわりとある方だと思います。
生まれた瞬間、
生まれてしまった!
という気持ちがしたのです。
重い病気を持っていたからかもしれません。
そのせいか、わたしはいまだに毛布に頭からくるまって眠ります。
そうでないと眠れないのです。
不安なのです。
一時期に比べれば随分安心できるようになったと思います。
ですが、どうしても生まれてきてしまったことに
いまだに納得していません。
生まれてしまったからには、生きなくてはならない?
そんな気持ちは全くありません。
ですが、自ら死を選ぶ、ということもまた罪深いことです。
そんな気持ちで生きてきたわたしは、なんとなくダラダラと生きていました。
自分の人生なんだか、
誰の人生なんだかわからない、
楽しくも嬉しくもない道を、仕方なく歩くでもなく、見つめて立ち尽くしていました。
どこかで誰かわたしを導いてくれないかしら。
白馬に乗った王子様ではないけれど、
わたしを乗せていってくれないかしら。
そんなふうに思って生きていました。
そもそもこんな体で生まれたくなかったんだという気持ちでいっぱいで、
なんで歩かないといけないの?
と偉そうに思っていました。
でも、このお借りしたイラストの通り、
自分が歩かなくては人生は始まらないのです。
始まらない人生のまま立ち止まってい続けることもできないのです。
引きこもっていても親はいずれ亡くなります。
そう仲のいいとも言えないきょうだいに、何かしてもらおうだなんて思いもしません。
そんなのまだ先だと思って生きていると、いろんな人が
あなたそんなんじゃこの先どうするの?
と聞きたくもない、答えたくもないことを言ってきます。
ゴッホが耳を切り落とした気持ちも分かるというものです。
しかし人生、心太のように押し出されて、歩き出さなければならない時は必ずやってきます。
そう、昔矢沢永吉さんが言っていましたが、本当にそうでした。
そしてわたしは自分の人生を歩き始めたのです。