単身のフリーランスが地方に移住して起きたパラダイムシフト
今回のコロナ禍で仕事やライフスタイルを根底から見直すことになった人は多く、もう東京一極集中って違うんじゃないの?という空気感がある中で、都心から地方への移住を具体的に考えてる人もいることでしょう
実際私の知り合いもここひと月の間に既に何人か移住済みですし、正に計画中の人もいます
そんな地方移住を具体的に考えてる人にとって参考になるかどうかはさっぱり分からないけれど、5年前に47歳で脱サラして東京から札幌へ単身移住した私が今言えることを書き散らしますね
私の場合、正社員として都内で25年間勤めていた大手レコード会社で早期退職者の募集があったので、それに申し込むという形で2014年の年末に47歳で退職しました
退職と札幌への移住はセットで考えていたので、退職を決めたと同時に札幌に下見に行き、不動産屋で相場を調べましたが最終的には知り合いの紹介で物件を決めました
実際に移住したのは2015年の5月末、ちょうどキッカリ5年前です
移住の動機は、退職してそのまま東京に居たら(不安から)中途半端な会社に再就職してしまいそうな気がしたのでその選択肢を半ば強制的に断つためです
退職は大きな決断だったので、後々「再就職するくらいなら辞めなきゃ良かった」系の後悔だけはしたくなかったんですよ
移住先を札幌にしたのはレコード会社の営業時代に1年間転勤していたことがあり、そこで暮らせるイメージが明確にあったし、私にとって多少の土地勘があり、コンパクトでも機能的には充分な都会でありながら豊かな自然にも囲まれた札幌以上に暮らし易いところは他にないと思っていたからです
LCCを使えば片道5000円程度で成田に飛べるのも大きな魅力で実際毎月一週間程度仕事絡みで東京に出向くダブルスタンダードとも言える生活を続けています
ちなみに名古屋にも2年間転勤していたことがあるけれど、食が全く合わなかった名古屋への移住は1ミリも選択肢にありませんでした
なので札幌で生活すること自体に不安はなかったけれど、仕事のアテは?と言うとこれまた全くありませんでした
東京で生まれ育った48歳、単身、無職、使える資格も何も無ければ愛想も無いくせに、世の中を斜めに見ることだけは長けているという実に厄介な女がノープランで移住する、というこれは今考えても我ながら相当無謀な人体実験だったと思います
で、そんなノープランな人間が試される大地・北海道であっという間に5年間試されたらどうなったかと言うとですね
相変わらず単身で、退職時に決意した「二度と就職はしない」という決意は守られていて実際早期退職以来バイトも含めてこの5年間1日も雇用されていませんが案外楽しく、そしてありえないほど自由に暮らしてるんですね
仕事は心理カウンセラーやジュエリー作家みたいなことを完全フリーランスで細々とやりながら毎日好きな時間に寝て起きて食べて近所の大きな公園を散歩して芝生の上でアーシングして、夜は時々仲良くなった地元の立ち飲み屋やロックバーに行くという相当ユルい生活を送っています
一番大きな変化と言えば、1年前に借りてたマンションをたまたま家主からの申し出でそのまま買い取りました
経済的にどうなってんの?と思われるかも知れませんがよく言われる通り、東京と比べたら地方都市の住居費は僻地じゃなくてもアゴが外れるくらい安いので札幌だと単身者用の中古マンションなら街の中心部でも国産の新車くらいの価格で買えてしまいます
私の場合、女性で単身、車の運転もしないので郊外で畑でも借りて、みたいな発想はなく転勤者が住むような街の中心部に住んでるんですが便利さで言ったら東京でもほぼ似たような条件のロケーションにいたのに家賃換算すると約3分の1くらいには減りました
札幌って7大都市くらいには入るのでそこそこの街の規模ではあるけれど、その中心に住むと札幌駅もススキノも大通公園も生活に必要な殆どの主要な施設は家から徒歩圏かせいぜい自転車で行けるので交通費もかかりません
とにかく街の規模感がちょうどいいんです
街の中心から山が見え、四季がはっきりしてて一年中美しく、何と言っても恐ろしく食が豊かなのは言うまでもありません
冬の寒さもこちらは住宅の機密性が良いので家は暖かいし、雪景色の美しさは他に変えられない価値だと思っています
でもまぁ家賃が安いとか食が豊かとかいう、地方ならではの街のスペックが良ければ誰でも楽しく暮らせるかというと、多分違うと思います
いや絶対違うと思います
結局はどこに暮らそうと人との関わり合い方が全てを左右するので
外から来た者は時に謙虚に、時に大胆に自分から入っていく姿勢をとらない限り、生活費が安くなったくらいで移住先が本当の意味で暮らし易い場所になることはないでしょう
特にフリーランスの場合、職場というわかり易いコミュニティを擁しにくいからそこが一番重要で、郷に入っては郷に従えというか「フジパン本仕込み」も北海道では「ロバパン本仕込み」になるくらいの変化を受け入れる柔軟さは必要です(どんな例えだよ
私は決して社交的ではないですが、幸い移住してからたまたま知り合った友人・知人達と適度な距離感で見守り合うような関係性を育てていくことが少しずつできてきたのでどうにかこうにかなってるんだと思います
移住して5年、面白いことに今では生まれ育って働き続けて48年も暮らした東京よりも北海道内の方が色んな職業の人たちと知り合い、交流するようになったので、以前より多元的に社会を見る目が育ちました
これは、心理カウンセラーとして書き始めたブログがよく読まれるようになったり、あらゆる職種の方を対象とするマーケティング塾に参加したことがきっかけで、SNSを積極的かつ極めて平和的に使えるようになったからです
移住により環境を激変させ、多元的なコミュニティーに参加する事で東京での会社員時代には知り得なかったし必要もなかった価値観を受け入れたり新たな関係性を少しずつ身につける事で
いつの間にか生きる上での優先順位が変わり、周りの人の目が殆ど気にならなくなったし、お金は労働の対価だと信じてた価値観も外れてきました
とてものんびり暮らしているので大きく稼ぐこともなく、個人の経済活動の規模としては移住前よりシュリンクしてるかも知れませんが、豊かさの基準が変わり、漠然とした不安が減って「無い」から「ある」の世界へ移行したのが一番の大きな変化です
例えば道の駅でもない、街のど真ん中の郵便局の入口で山わさびの無人販売をしていたり、友人が山菜を採ってきてくれたり、農家の友人が作るお米をより美味しく食べたくて炊飯器を捨てて土鍋で炊くようなゆとりも生まれました
そんな風に生活の至る所で今までに無い人との温かい関わり方や豊かさを感じることがとても増えたんです
現実的な移住の準備に話を戻すと、移住先での就職が決まってる場合はそれほど金銭的な準備はいらないですが、私のような丸腰のフリーで移住するなら失業手当を含めて最低1年間は仕事しなくてもなんとかなるくらいのお金は準備した方がいいです
最初の半年なんて本当にあっという間に過ぎるので、カツカツで移住するとせっかく住環境の良いところに越しても環境の変化を楽しむよりもお金が減ることばかりに気をとられて気持ちが上手くシフト出来ないことでしょう
移住でパラダイムシフトを起こすためにはスタート地点では経済的な不安は極力無いに越したことはありません(お金に対する不安は必ずしも貯金額に伴うとは限らないので貯金がなくても不安が無い人はそれで構いませんが)
移住は人生でもかなり大きなターニングポイントになり、人間的な経験値とそれに伴う成長を強力に促してくれるので人生にリセットをかけたい時にはめちゃくちゃおすすめですよ
そして個人の感覚としてはこれでパラダイムシフトが起きると目の前の現実の有り様が損得や善悪、勝ち負けではなく、全てただのエネルギーの流れとしてフラットに捉えられるようになってきたことで世界の見え方が変わりました
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