【最高金額121億円】2022年7月の資金調達を調査してみたpart2
こんにちは!preventure編集部です!
前回に引き続き7月16日~7月31日までの資金調達を見ていきましょう。7月の後半も様々な事業モデルの企業がそれぞれのラウンドで資金調達を実施しています。最高金額は121億円です。世界情勢の影響でスタートアップに厳しい状況ですが、ここからどうなるのでしょうか。
〇7月資金調達 16日~31日
株式会社ティアフォー
事業内容
自動運転システム用オープンソースソフトウェア「Autoware」の運営。
金額
121億円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
ティアフォー社は今後、リファレンスデザインにもとづいたプラットフォーム事業の展開を加速させるべく、OMPOホールディングス、ヤマハ発動機、ブリヂストンを引受先としたシリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による121億円の資金調達を実施したと発表しました。ティアフォー社は名古屋大学や長崎大学、産業技術総合研究所などと共同開発を進めている企業です。主要産業であるオープンソフトウェア「Autoware」は国内外で200社以上に導入されており、将来性にも期待されています。調達した資金を用いて自動運転機能のリファレンスデザイン提供、GI基金を活用した総額400億円規模の開発プロジェクトを進めることも発表しました。今回の資金調達により、累計資金調達額は296億円となりました。
AnyMind Group
事業内容
ブランドコマース事業・パートナーグロース事業。
金額
50億円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
AnyMind GroupはJICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合、JPインベストメント1号投資事業有限責任組合、日本グロースキャピタル投資法人、プロトベンチャーズ2号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資を実施したと発表しました。
AnyMind Groupはシンガポール初のベンチャー企業で、2021年12月の売り上げは190億円を超える企業です。インターネット広告を中心としたマーケティング事業を展開していて、今後来るであろうメタバース領域にも関与する可能性があると期待できます。ASEANをはじめとする東南アジア諸国の経済成長は著しく、人口の増加に伴って更なる進化を遂げていくことが予想されます。投資家たちはこの東南アジア諸国にビジネスを展開しているAnyMind Groupの将来性にも期待を寄せたのでしょう。今回の資金調達で累計資金調達額は119億円となりました。
MetCom株式会社
事業内容
「何が、いつ、どこで」 を可視化する、広域かつ高精度な三次元位置情報の提供。
金額
8億円
調達手段
出資
資金調達概要
MetCom社は京セラコミュニケーションシステム、NextNav、セコム、DRONE FUNDを引受先とするシリーズBBにて8億円の資金調達を実施したと発表しました。
同社は本領域の世界的リーダーである米国NextNavが主要株主になっており、パートナーシップのもとで、世界最高水準の測位サービスを実現しています。日本のベンチャー企業が海外のベンチャー企業と決定的に違うのは、海外からの投資を受けていないという点にあります。その点この企業は海外の、しかも当領域の世界的リーダーからの投資を受けているという点で期待感も高まっているようです。投資家からは位置測定インフラの一部になりうるという可能性が高く評価されたようです。
株式会社Buzzreach
事業内容
製薬企業向け治験業務管理システム開発 / 提供 / SaaS開発、患者向け医療情報マッチングサービスなどの運営。
金額
6億6000万円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
Buzzreach社はグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として、既存のモバイル・インターネットキャピタル、ANOBAKAを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額6億6000万円の資金調達を実施したと発表しました。投資家からは『Buzzreachの提供するソリューションは、治験領域における効率化と見える化を大いに推進するものであり、これは日本の国際競争力強化の観点からも非常に重要な創薬環境の整備に明確につながる』と日本の制約環境に順応した将来性が評価されているようです。また、Buzzreach社のソリューション内容、それを実現させる経営力・プロダクト開発も大きく評価されています。グローバルスタディ(世界同時治験)という世界動向を受け、株式会社Buzzreachの事業が日本の治験業界が抱える治験期間の長期化、治験費用の圧迫等の課題解決に寄与するとまで考えられているようです。
ファンファーレ株式会社
事業内容
産業廃棄物業界の省力化・効率化。
金額
6億3000万円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
ファンファーレ社は、既存株主のALL STAR SAAS FUND、Coral Capitalに加えENEOSイノベーションパートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルを引受先として、プレシリーズAにおいて総額6億3000万円の資金調達を実施したと発表しました。投資家からは、すでに産廃業者の配車管理を自動化し現場の生産性を大きく改善し、さらに経営業績のアップにも貢献できている、“カスタマーサクセス“を実現する洗練されたプロダクトになりつつあるサービス「配車頭」が大きく評価されたようです。これと同時に、産業廃棄物処理という業界は経済発展や国民生活のインフラであり、かつ収集運搬・処理に年間約5.3兆円かかっている広大なマーケットに溢れている課題の解決にも貢献すると期待されているようです。
つばめBHB株式会社
事業内容
エレクトライド触媒を用いた小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化
金額
40億円
調達手段
CE型新株予約権による調達
資金調達概要
つばめBHB社はi-nest1号投資事業有限責任組合、味の素株式会社、UMI1号投資事業有限責任組合、UMI2号投資事業有限責任組合、日本郵船株式会社、みらい創造二号投資事業有限責任組合、出光興産株式会社、株式会社INPEX、山九株式会社を引受先として、CE型新株予約権の発行により40億円の資金調達を実施したと発表しました。今回参加した投資家はつばめBHB社と連携を行うことにより生じるメリットの大きさに可能性を見出し、そしてつばめBHB社の革新的な触媒技術を用いたソリューションおよびビジネスモデルに、自社事業を融合させ、脱炭素社会の実現に貢献したいという想いから投資に踏み切ったようです。
Ubie株式会社
事業内容
AIをコア技術とし、症状から適切な医療へと案内する「ユビー」と、医療現場の業務効率化を図る「ユビーAI問診」の開発・提供。
金額
35億円
調達手段
出資
資金調達概要
Ubie社はシリーズCファーストクローズにおいて新規投資家として農林中金キャピタル、NVenture Capital、第一生命保険、エッグフォワード等、既存投資家としてスズケンを引受先とする35億円の資金調達を実施したと発表しました。別の記事でも紹介しましたが、近年、医療×テクノロジーのメディテックがビジネスのトレンドとなっています。Ubieはそんなメディテックベンチャーの一つということもあり、投資家たちから注目を集めているようです。生活者の適切な医療へのかかり方をサポートするWeb医療情報提供サービスも展開していて、これは現在拡大している、オンライン診療ビジネスにつながると考えられます。今回の資金調達を通じて、Ubie社の累計資金調達額は79.8億円となります。
Thinkings株式会社
事業内容
採用管理システム「SONAR ATS」など、HRTech領域の事業を複数展開する
金額
16億2000万円
調達手段
既存投資家からの追加投資、及び新規投資家からの出資
資金調達概要
Thinkings社はインキュベイトファンドをリードインベスターとして、XTech Ventures、i-nest capital、みずほキャピタルの全既存投資家からの追加投資、および新たにSMBC日興証券、JA三井リースを新規投資家としてシリーズBラウンド16億2000万円の資金調達を実施したと発表しました。起業家からはプロダクトを通じて採用活動のフローを自動化・効率化する「SONAR ATS」が高い評価をうけました。さらに投資家は「SONAR Marketplace」によって採用活動を含む企業の全HRプロセスの一元管理・自動化を達成することは、多くの企業から支持され需要が大きくなることにも言及しています。総じて、多くの投資家はThinkings社の将来への可能性にお金を投資したのだろうと考えられます。
MOON-X株式会社
事業内容
ECブランドの共創型M&A、EC支援コンサルティング等。
金額
7億円
調達手段
出資
資金調達概要
MOON-X社はシリーズB資金調達の初回ラウンドとして株式会社日本M&Aセンター(代表取締役社長:三宅 卓/本社:東京都千代田区)および日本郵政キャピタル株式会社(代表取締役社長:丸田 俊也/本社:東京都千代田区)を引受先とする総額7億円の資金調達を実施したと発表しました。今回の出資元の一つである日本郵政キャピタル株式会社代表取締役社長、丸田俊也は、『MOON-X様はJAPAN BRANDSの発射台としてこれまで多くのブランドを成長させてきております。ブランド運営の各機能の専門家が在籍しているだけでなく、自社ブランドの立ち上げを通してブランドの産みの苦しみを理解しておられるなど、非常に温かみのあるプロフェッショナル集団です。』と翔さんの言葉を送っています。
株式会社アルガルバイオ
事業内容
藻類及びその成分の研究開発、生産及び販売。
金額
5億9000万円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
アルガルバイオ社は、DBJキャピタルをリード投資家として、既存投資家である東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC4号)、Scrum Ventures IV、みずほキャピタル4号、りそなキャピタル6号、三菱UFJキャピタル8号を引受先とする第三者割当増資により5億9000万円の資金調達を実施したことを発表しました。投資家は地球規模で取り組まなければならない環境、食糧、そして人々の健康という課題に対して、藻類は大きな可能性を秘めていると感じているようです。藻類の持っている省資源性、高い効率性は循環型社会への転換にも大きく寄与すると考えられており、投資家からは株式会社あるがるバイオの優れた研究基盤とその開発力に期待が寄せられているようです。今回の資金調達によって累計資金調達額は10億円超となります。
イノバセル株式会社
事業内容
切迫性あるいは漏出性便失禁、および腹圧性尿失禁を治療するための細胞治療薬の研究開発・事業化。
金額
27億円
調達手段
出資
資金調達概要
イノバセル社は、今回シリーズCにおいてコーエーテクモグループ傘下の株式会社コーエーテクモキャピタルなどからの出資による資金調達を完了したと発表しました。イノバセル会社の事業は切迫性あるいは漏出性便失禁、および腹圧性尿失禁を治療するための細胞治療薬の研究開発・事業化に特化しています。なかでも使用者が自身の筋芽細胞を利用し、“局所投与”での筋肉再生を図ることにより、切迫性便失禁の根治を目指す製品であるICEF15には大きな期待が集まっています。実際の臨床実験も完遂しており、安定性と将来性から出資を受けることができたのでしょう。
株式会社Asobica
事業内容
カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」の運営。
金額
27.2億円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum(コーラム)」を運営するAsobica社は7月26日、既存投資家であるEight Roads Ventures Japan、Salesforce Ventures、電通ベンチャーズ2号ファンド、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社、みずほキャピタル株式会社、あおぞら企業投資株式会社に加えて、PKSHA SPARX アルゴリズム1号投資事業有限責任組合、千葉道場ファンド、株式会社サイバーエージェント・キャピタル、株式会社三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル株式会社からの第三者割当増資等により総額27.2億円の資金調達を実施したことを発表しました。投資家からは直近の成長率や組織の拡大の程度がおおきく評価されたようです。
株式会社TRASS
事業内容
優秀な不動産エージェントから提案が受けられる不動産サイト「Terass Offer」の展開。
金額
10億円
調達手段
第三者割当増資
資金調達概要
TERASS社はグロービス・キャピタルパートナーズ、SBIインベストメント、インキュベイトファンド、三菱UFJキャピタル、comboの5社を引受先とした第三者割当増資により総額10億円の資金調達を実施したことを発表しました。巨大な市場規模を持っている不動産業界ですが、現在IT化が遅れ、効率が悪いという課題を持っています。そんな不動産業界にDXを導入し、次世代の不動産エージェントファームの形を確立しようとしているという点が評価されているようです。
まとめ
いかがだったでしょうか。モビリティやセンシング技術などのMaaS領域のスタートアップ企業や、医療系スタートアップなど、注目の業界で活躍する企業の資金調達が見られました。他にも、建築業界やE-コマースのソフトウェア開発を行う企業も資金調達を実施。業界による偏りはあまり見られませんでした。スタートアップが厳しい状況にあって、1社1社のビジネスモデルや経営が今後に影響してくるでしょう。
最後に。。。
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