京都みなみ会館の閉館と黒沢清新作の話
京都みなみ会館が閉館を発表した
私は今までに3回、行ったことがある
(四国から6時間ほどかけて車で)
毎回思うのは、劇場に入ってシートに座ると
そのフカフカさ加減だ
朱色の極上シートは
これから2時間、ここで映画に没頭して良い
という安心感を持たせてくれる
そして、こちらも重要な音響の素晴らしさだ
とあるシネコンではBGMとセリフの音量のバランスが悪かったりする
のだが、京都みなみ会館で同じ作品を鑑賞してすぐに
音が違う!と素人の私でも気づくのである
6時間かけて行く価値があるのだ
インターネットの普及とデジタル化で
社会が良くなることもあれば
置いていかれるものもある
これは様々な分野でも起こっていることだろう
日本の映画界は60年前から斜陽産業と言われている
その中でなんとか生き残る方法として
現在の状況があるのではないかと推測する
動画配信サービスの隆盛によって
映画館が絶滅危惧種となったからこそ
わざわざ映画館に行く価値があるのではないかと
思っているのだが
社会状況を無視することは産業としてできないのだろう
しかし、映画館とりわけミニシアター自体の価値が損なわれていると
言うことではないと思う
あのフカフカシートで没頭した映画体験は
色褪せず記憶に留まっているからだ
京都みなみ会館の閉館発表から少しして
黒沢清の新作映画製作の発表があった
そしてウェブメディアの「Roadstead」で独占販売されるという
ん!?
劇場公開ではなくウェブで!?
ちょっとよく分からないのだが、おそらく数館でも
劇場でかかるのではないかと期待をしているが
黒沢清の新作は配信で発表するという記事が
奇しくも京都みなみ会館の閉館のニュースと同日にされたことは
何か時代の変化を感じさせる出来事だった
いずれにしても斜陽産業である映画は形を変えながら
まだ息を続けていくのだろう