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そもそも“タスク”ってなに?

突然ですが問題です。
“タスクとは何か” を一言で説明することはできますか?
つまり、世界中のあらゆる “タスク” に共通する特徴はなんでしょうか、ってこと。

世の中には、タスク管理が苦手な人、自分がやる分にはいいけど人に割り振れない人なんかもいるかと思います。
そういった人達は、タスクをどのように捉えれば仕事がうまくできるようになるのでしょうか。

今回はそういったことについて考えていきたいと思います――。

皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます。
または初めての方も、この記事を見つけてくださり嬉しいです。

年末も押し迫り、先生の全力疾走日和といわれる今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私は、巷の栄枯盛衰とは関係もなしに日々開発業務に取り組んでおります、エンジニアの中島と申します。

この 絶対バグらないシステム作ろうぜの会 では、バグの出ないシステム・問題を起こさないチーム運営のやり方などを、なるだけ面白く・分かりやすくお伝えする主旨で記事を配信しております。


1. この世の全てのタスクは“○○を○○する”という文章にできる

タスク管理が苦手な人の中に、タスクを文章化するのが苦手なケースがあるようです。
そもそもこの世の全てのタスクは “○○を○○する” という文章1文に集約できるはずなのですが、なんか凄い複雑なことを考えてしまってこれができない、という人です。

たとえば皆さん、『カレーの作り方』を一言に要約できますか?

1. 玉ねぎを食べやすい大きさに切る
2. ジャガイモを食べやすい大きさに切る
3. 人参を食べやすい大きさに切る
4. 肉を食べやすい大きさに切る
5. 玉ねぎを炒める
6. 肉を炒める
7. 鍋に残りの材料を入れる
8. 材料を水で煮込む
9. 鍋にカレールーを入れる

これを1文にしてください、ってこと。

たとえば模範解答の1つとして、『食材をスパイススープで煮込んだ料理』という言い方ができるでしょう。
でもタスク管理が苦手な人の中には、このような要約に違和感を感じる人もいるようです。

  • 野菜が3種類入ってるって情報はどこに消えちゃったの?

  • この言い方じゃ肉が使われてることも分からないじゃない

  • スパイスは最後に加えているだけで、スパイスで煮込んでるわけじゃない

こうしたヘンテコリンな考えが色々浮かんできてしまうと、どんなにがんばっても最低限『玉ねぎ・ジャガイモ・人参を切って、玉ねぎと肉を痛めてから、ジャガイモ・人参・水を加えて煮込み、最後にルーを入れた料理』くらいは言わないといけなくなってしまいます。
これではとても “要約した” とは言えませんよね。

そうじゃなくてタスク管理において要約とは、“○○を○○する” という定型文にすることをいいます。
この形にすることが要約という作業の第一目標であり、万が一その際に情報などが削れても、それは「仕方がない」と捉えます。

なぜなら、人間の脳は、文章が “○○を○○する” というフォーマットに収まっていないと、何をどうしたらいいのか巧く理解できない仕組みになっているからです。

そもそも要約とは、他人にも理解してもらうために行うものです。
要約した結果として他人が理解できなくなってしまったら、要約する意味がありません。
複雑なものを複雑なまま理解しろっつったって、無理なものは無理です。

2. 要約のキーワードは“そのために”と“ただし”

ただし、『食材をスパイススープで煮込んだ料理』という言葉だけを聞いてカレーを完成させろと言われても、それはさすがに無理です。
設計書にわずかこの1文しか書かれていなければ、プロのカレー職人だって違うものを作ってしまうことでしょう。

そこで、要約した情報は、次にタスクの一覧に落とし込む必要があります。
その際に重要となるのが “そのために” と “ただし” という2つの言葉です。

食材をスパイススープで煮込む
  ⇒ そのために、鍋に材料を入れる
  ⇒ ただし材料は何でもいいわけではなく、
     玉ねぎ・ジャガイモ・人参・肉の4種が定番
    ⇒ ただし材料が大きいと食べづらいので、切っておく必要がある
  ⇒ 肉・野菜を美味しくするためにスパイスで煮込みたい
    ⇒ ただし日本製のカレールーは最初からトロミがついている
    ⇒ トロミのついた水で煮込むと焦げてしまうので、
      仕方ないので材料を煮込んでから最後にルーを入れる
  ⇒ 材料はなるだけ旨味を引き出したい
    ⇒ そのために、甘味の強い食材である玉ねぎ・肉は
      先に炒めてから使いたい

“そのために” と “ただし”で捻出されたタスク

こんな感じで、“そのために” と “ただし” の2つの言葉を使い、『食材をスパイススープで煮込む』ためには何をすべきかを洗い出します。

ただこの段階では、ご覧の通りタスク一覧は、読みづらくメチャクチャな状態です。
なぜなら、フラッシュアイデアというのはいつだって、個人感情に任せて書き殴ったものになるのが普通だからです。

このとき、タスクには『個人感情としてぜひ入れたいもの』と『そのままだとリスクがあるから追加したもの』の2種類があるはずです。
その2種類のタスクを効率的に書きだすためのキーワードが、“そのために” と “ただし” なわけです。

別になにも、『食材をスパイススープで煮込んだ料理』という一言で全てが通じる必要はありません。
情報は、“そのために” と “ただし” が全部出そろった時点で完璧になっていればいいんです。
情報を全て織り込んだまま短くするのが要約ではありません。

3. 情報を整理するときも“○○を○○する”を使う

“そのために” と “ただし” を使って全てのタスクを洗い出しました。
そしたら、そのメモをペタッとコピペすれば設計書は完成でしょうか。
そんなわけはないですよね。

食材をスパイススープで煮込む
  ⇒ そのために、鍋に材料を入れる
  ⇒ ただし材料は何でもいいわけではなく、
     玉ねぎ・ジャガイモ・人参・肉の4種が定番
    ⇒ ただし材料が大きいと食べづらいので、切っておく必要がある
  ⇒ 肉・野菜を美味しくするためにスパイスで煮込みたい
    ⇒ ただし日本製のカレールーは最初からトロミがついている
    ⇒ トロミのついた水で煮込むと焦げてしまうので、
      仕方ないので材料を煮込んでから最後にルーを入れる
  ⇒ 材料はなるだけ旨味を引き出したい
    ⇒ そのために、甘味の強い食材である玉ねぎ・肉は
      先に炒めてから使いたい

フラッシュアイデアの書き殴り

こんな複雑な文書をそのまま上司に見せても「なんだこりゃ」と言われるだけです。
ですから、タスクは全て “○○を○○する” の形に変換します。
なぜなら人間は、文章がこの形になっていると「分かりやすい」と感じるようにできているからです。

- 鍋にカレールーを入れる
- 材料を水で煮込む
- 鍋に材料を入れる
- 玉ねぎを炒める
- 肉を炒める
- 玉ねぎを食べやすい大きさに切る
- ジャガイモを食べやすい大きさに切る
- 人参を食べやすい大きさに切る
- 肉を食べやすい大きさに切る

これで“○○を○○する”型の文章に変換できました。

でもこのままでは、文章1つ1つは分かりやすくても、順番がバラバラなのでワケが分かりません。
なぜなら目標から逆算して作られたタスクは、未来から過去にさかのぼって出来上がっていく傾向があるからです。
ですので出来上がったタスクは、効率のいい順番を考えて並べ替えます。

1. 玉ねぎを食べやすい大きさに切る
2. ジャガイモを食べやすい大きさに切る
3. 人参を食べやすい大きさに切る
4. 肉を食べやすい大きさに切る
5. 玉ねぎを炒める
6. 肉を炒める
7. 鍋に残りの材料を入れる
8. 材料を水で煮込む
9. 鍋にカレールーを入れる

ここまでやってようやくカレーの作り方の手順書ができました。

4. タスクを分担すればするほど効率が落ちていく人へ

ちなみに世の中には、自分のスケジュールは立てられるけど、それをメンバーに分担できないケースがあるようです。

そういう人が無理にリーダーをやると、

  • 仕事を分担すればするほど効率が落ち

  • 部下を管理する手間ばかりが増えていく

といった感じになります。
こういう人達は、なぜ効率的に分担ができないのでしょうか。

実を言うと私も昔そうだったんですが、私の場合は “縦割りという言葉が嫌いだったから” でした。
何割かの方には共感していただけるんじゃないかと思うんですが、昔は縦割りという言葉が嫌いで、全ての仕事を横割りにしようとしていたんです。
(いや、むしろ仕事は横割りにするのが当たり前って、勝手に思い込んでもいたかな)

だから仕事を人に巧く分担させられませんでした。

今にして思えば、当時の自分は縦割り行政という言葉が嫌いで、それゆえに仕事を縦割りは悪いことと決めつけていました。
だから仕事を巧く分担できなくなってしまっていたのです。

横割りと縦割りの説明

このように、全員がそれぞれ同じタスクに取り組むのが横割り、
担当ごとに全然違うことをするのが縦割りです。

言うまでもなく、タスクを縦割りにすると “各メンバーがタスクに取り組むタイミングが違う” ことにもなります。
でもそれゆえか、

「特定人物に暇な時間が許せない」と感じる人、
「仕事をするタイミングが全員それぞれ違うなら、それらを全部1人でやればもっと効率がいい」
と感じる人もいるようです。

でもそれ違います。。。ww(苦笑

縦割りタスクとは: 全員が単純作業だけをやってる状態 のことです。
当たり前ですが、仕事にタイミングをズラすことが目的ではありません。

もしくはリーダー自身が性格的に単純作業が苦手ゆえ、優しさのつもりで単純作業にならないようにしてあげている人もいるみたいですが、
それ、すっげぇ余計なお世話です

そもそも仕事とは、各人の作業を単純化(あるいはフォーマット化)するからこそ効率化するんです。
あらゆる業務を全て縦割りにし、1人1人の精神的な負担を減らし続けてきた歴史こそが、人類の経済発展の歴史です。

それ以外にも、分担ができないリーダーが陥りがちな思考パターンとして、こんなふうに考えがちな人もいますよね。

こんなふうに考える人は、人物Aが1人でもくもくと作業しているのを見て、B・Cに「おまえら手伝え」と指示を出してしまいます。

でもそれだと、

1. のタイミングではAが主体なだけで、B・Cも同じ作業をやっている
2. のタイミングではBが主体なだけで、A・Cも同じ仕事をやっている

といった具合に、けっきょく全員が同じタイミングで同じ作業をしていることになって、仕事を分担した意味がなくなってしまいます。

じゃなくて、、、
Aが罠を作ってる間、Bは同時並行で獲物を探すべきですよね。
獲物を見つけたらBはそこに付箋でも張って次の獲物を探す。

そんでCは、Aが罠を完成させた先から現場に持ってって、付箋のある場所に設置するんです。
獲物を探し終えたら、Bは獲物のかかっていない罠だけを回収して持ちかえればいい。
そうすればCは、余計な確認の手間なく効率的にトドメをさして回れます。

これで、大きく手が空くのは罠を作り終えた人物Aのみになります。
なのでそのときは、Aは他の手伝いをすればいいのです。
それが効率的ってものです。

ポイントは、

  1. 全てのタスクを縦割りにする
    (=全てのメンバーが単純作業だけをやっている状態を理想とする)

  2. それが無理な部分だけを横割りにする

という考え方で分担すること。
仕事を横割りにすることを俗に “人海戦術” とか “ローラー作戦” などと呼びますが、これらは基本的には「非効率だがやむをえない」と理解したうえで使う作戦です。

無論、あらゆるタスクを完璧に縦割りできることは滅多にありません。
また全部縦割りするつもりで分担してみたら、実際には結果的に横割り部分の方が多くなってしまった、なんてことも多いかもしれません。
でもそれは横割りの方が優れてるとか、横割りの方が自然ってことじゃなく、基本的に横割りタスクは仕方なくやることなのです。

5. タスク整理のポイント

まとめ。
まずタスク整理のポイントは以下の2つです。

  • 全てのタスクは “○○を○○する” 型の文章で表記する

  • タスクを捻出するときは、“そのために” と “ただし” で目標から逆算する

それからタスク分担のポイントは、

  • 可能な限りなるだけ縦割りにする

です。

これらポイントに気をつけてタスクを整理したら、チームが効率よく回るんじゃないかなと、私なんかは思うわけです。

ではまた。

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