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小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい「7つの提言」#2

【第2話】イエスの環境を築こう

あなたのエンゲージメント大丈夫

あなたのチームのエンゲージメントは今どんな状況でしょうか?現在、日本のエンゲージメントは大変なことになっています。従業員の仕事への熱意や職場への愛着を示す「エンゲージメント率」は、世界でも最低水準だそうです。ここで言う「従業員エンゲージメント」とは、企業(社長)と従業員との確固たる信頼関係を意味し、従業員は企業(社長)に貢献することを約束し、企業(社長)はその貢献に報いることを約束する関係も指します。

※参考:PRESIDENT OnLine 田中道昭氏述
なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか・・・日本人の「生産性」を高めるために必要なこと

経営者にとっては、足元の「働き方改革」「コロナ禍」「賃上げ圧力」「〇〇年問題」「コンプライアンス」等々への対応で、従業員との関係において難しい状況が続いています。これからの時代、小さな会社の社長や個人事業の経営者にとっても、エンゲージメントの適切なハンドリングは避けて通れない課題です。

では、私たちはこの「エンゲージメント」という課題にどのように取り組んでいったらよいのか、具体的な例を少し挙げて考えてみましょう。

セイムページ見てますか?

セイムページとは、チームワークの良さを象徴する「みんなで同じ絵を見ていた」という意味の言葉です。例えば、日本ラグビーの躍進のキーワードにもなりました。Japanのメンバーは勝利を振り返り、「あの時は、みんながセイムページを見ていました」と語ります。厳しい合宿を共に過ごすことで、メンバー間には絆が生まれ、一体感からあうんの呼吸が生まれます。大切な試合のここ一番で、皆で「同じトライの絵」を共有し、セイムページを見ることで勝利を勝ち取り、自信と誇り、達成感を感じたのです。

ビジネスの世界でも、あなたのチームのメンバーが同じ方向を向き、「事業の目指す絵」を共有できる環境を作ることが理想です。セイムページへの意識は、高いエンゲージメント率を得ることであり、共に戦うメンバーが集まる事業のプラットフォームを築くことにつながります。特に重要なポイントは、「経営判断のタイミングとエンゲージメントの関係」です。組織のエンゲージメントを把握し、バランス良く事業を管理することが必要です。

小さな会社の経営者は独断で判断しがちですが、経営者の勢いだけでは危険です。エンゲージメントを意識した判断は、時に慎重になることもありますが、それは遠回りではありません。エンゲージメントは表面上だけでは測れないため、第三者の目を入れて客観的に行うことをお勧めします。また、エンゲージメントに関する業務はトップ一人で行うものではなく、従業員が主体となるボトムアップやエンパワーメント、社内ルール作りや雇用契約の見直しなど、組織全体で取り組むものです。

私はこのエンゲージメントに対する意識が足りなかったことで痛い目に合いました。また逆に経営支援の立場で、エンゲージメントを良い方向へコントロールできたことで予想を超える結果を得たことも目の当たりにしてきました。そんな経験から掴んだコツが、この章のタイトル「イエスの環境」です。

イエスの環境とは

「イエスの環境」という言葉は一般的に通じるものではないかもしれませんが、私は普段よく使うフレーズです。それは、人の心理や人間関係の話であり、その環境に身を置くことで、あなたの事業が成功へと、川の流れのように自然と導かれて行く、魔法がかかったかのような心地の良い状態を作ることになります。

では、私の唱える「イエスの環境」がどんなものか、具体的にイメージしていただけるよう、3つの例を紹介しましょう。この手の話は意識していると結構身近にありますので、あなたが自身に置き換えて考え、「イエスの環境」を手にするためのヒントにしていただければと考えます。

episode1
東京スカパラダイスオーケストラ
結成35周年を迎えた、東京スカパラダイスオーケストラ、2024年4月19日(金)NHK『あさイチ』にメンバー9人で出演した時の一コマから

Q:大所帯で普段喧嘩とかはないのですか?長年続けてこられたきた秘訣は何ですか?

A:喧嘩とかはないですね、メンバーの誰かが「こうしたらどうか・・・」と言って来たら、まずはみんなでやってみるんです、そしたら良いか悪いか分かるじゃないですか、仮に良くなくても言った本人もみんなでやってみれば納得すると思うんですよね・・・

音楽の世界でリーダーもおかずに35年間続けてこられたコツが垣間見れました。

episode2
横浜DeNAベイスターズ 筒香嘉智
メジャーリーグに挑戦した日本の4番打者は、成績が振るわず2024年アメリカでの契約先を失い、日本のプロ野球に復帰を決断、読売ジャイアンツへかと騒がれましたが、結局は古巣ベイスターズに帰ってきました。

5月11日(土)阪神戦のTV中継、解説はメジャー経験もある藤川球児さん、打順が回った筒香に「彼は、日本に帰ってきて、応援されている中でプレーすることの幸せを感じていると思います。メジャーではそれがなかったと思います・・・」

筒香はその日8回に回ってきた打席で見事特大のホームランを放ち、大逆転となった劇的なゲームの主役に、そしてヒーローインタビューで、思いをかみしめながらファンに「皆さんの声援のおかげで打てました」と感謝を述べました。

episode3
ル・ゴロワ フラノ シェフとマダム
2人は東京で20年続いた「北海道フレンチ」と呼ばれ著名人も通うレストランを閉め、北海道富良野へ移住、紆余曲折を経て常連客でもあった、脚本家・倉本聰さんのプロデュースのもと「新富良野プリンスホテル」敷地内にル・ゴロワ フラノを2016年にオープン。NHK『北の大地の物語 富良野 シェフとマダムの物語』の中でこんな一コマが、

マダム:今日のこのお客様はこういうものが好きだからこういうふうに作って「味つけはこういうふうにして」って強要するんですね、私がお客様の代弁者ですから、でもシェフはすぐに変えてくれるんですよ
シェフ:それが調理場の役目ですから、可能な限りはノーはない
倉本さん:ここはね、奥さんとのコンビですよ、奥さんの力がすごい、あそこまでパーフェクトなママっていない、実に柔らかいし飯もうまくなりますよね。

いかがでしょうか、「イエスの環境」なんとなくイメージできましたでしょうか?エンゲージメントをより良く高めていくためには、この3つの例のようなイエスの環境が必要だと思いませんか?これからの会社には「共感型の自走式組織」をと元スターバックスコーヒージャパンのCEOが提言していらっしゃいましたが、その通りだと思います。

あなたに合った「イエスの環境作り」を、まずは、あなたのチームの「セイムページ」にしてみてはいかがでしょうか。

非難は愚者でもできる、理解は賢者しかできない。  デール・カーネギー


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