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ござ式の旅

ピアニストござさんが先日出版した「ござ式 ピアノ演奏裏ワザの極意」を参考に、アレンジに挑戦してみた。
ござさんの配信ライブやコンサートをこれだけ聴いてきたのに、アレンジというものに挑戦するのが初めて。
できるのかな?と思いながら取り掛かったのだが何とか形にできたので、作業しながら思ったことを記録しておこうと思う。

■ござ式アレンジ「夏は来ぬ」


■ござ式 ピアノ演奏裏ワザの極意~今日から使える弾き映えテクニック~
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■アレンジリスト
🔸ファンファーレ 
 p.60 第2章ござ式裏技テクニック
    ー21チャイムを使ったアレンジその3
 ーファンファーレ風!豪華なアレンジを体験 より
 次に弾く夏は来ぬござさんアレンジの調に合わせ、
 Gミクソリディアンスケールの音を使ってアレンジ。

🔸ござさんアレンジ(耳コピ)
 Twitterにて2021年7月20日にござさんがアレンジして発信。
 https://twitter.com/gprza/status/1285102293562474496?s=20
 1周目だけ耳コピし、DdurからCdurに移調。

🔸モーツァルトソナタ風
 p.115 第4章クラシックを弾こう
    ー3実際の流れ
 ーメロディにクラシックの特徴を加えてみる より
 主にピアノソナタK.545を参考にアレンジ。

🔸メンデルスゾーン春の歌風
 p.125~127 第4章クラシックを弾こう
    ー5クラシック風アレンジの実践
 ーピアニストらしいアレンジに挑戦
 ーアレンジのテーマを明確にする より
 無言歌集 第5巻「春の歌」Op.62-6を参考にアレンジ。
 AdurからCdurに移調。

🔸ショパンマズルカ風
 p.119 第4章クラシックを弾こう
    ー5クラシック風アレンジの実践
 ーワルツ風アレンジに挑戦 より
 主にマズルカ Op.7-1を参考にアレンジ。
 BdurからCdurに移調。

🔸サンバ風
 p.149 第5章ラテンを弾こう
    ー6サンバに挑戦
 ーメロディのリズムを変える~サンバ~ より

🔸ウォーキングベース風
 p.172 第6章ジャズを弾こう
 ー6ソロピアノのためのステップ③ウォーキングベース より

🔸ウォーキングベースからの終わり方
 p.48 第2章ござ式裏技テクニック
    ー15ジャズっぽく曲を終わらせる
 

■アレンジ作成所要時間について
クラシックは自分がこれまで学んできた分野だったからか、すぐアレンジが思い浮かび作っていくことができた。中でもメンデルスゾーン春の歌風は先日ちゃんと練習した曲だったため、30分くらいでアレンジも大まかな楽譜もできた。
対してウォーキングベースに至ってはピアノの前でえーとえーとうーんうーん…と考えては弾くことを繰り返し、5日くらいはかかってしまった。
これは、“アレンジ対象曲への理解の深さ”が作業負担に大きく影響していることを示しているのだと思うのだが、サンバのアレンジについては面白い結果が出た。
サンバはおそらく弾いたことがなく、ござLiveのラテンアレンジ以外はちゃんと聴いたこともないと思う。しかし、ござ式の本のサンバの譜例に夏は来ぬのメロディを当てはめて、更に適切と思われるコードを付けていっただけでとりあえず形ができたのだ。多分1時間くらいで。その1時間のうち、楽譜作成ソフトでこの表記ってどうするの?ということをネットで調べてる時間がかなりあったかと思う。複雑なリズムだったので、入力も慣れない感じであった。
そんなわけで恐ろしいことに、ござ式の本を見ながら机上(楽譜作成ソフト上)だけで作れてしまった。すごい本だと改めて思う。
サンバについては、後述の「サンバおよびウォーキングベースについて」でも書きたいと思う。

■アーティキュレーションについて
いつもは既に存在する楽譜を見て弾くことが多いのだが、アレンジ楽譜を作るにあたり演奏記号や強弱記号を自分で記載する時に、いかに正確に把握できていないのかを痛感した。
スタッカーティッシモ、装飾音符の種類…などなど。
例えばトリルの種類の正確な把握、記載方法、記載位置。これまで何となくしか認識していなかったことを認識してしまった。
また、自分でアーティキュレーションを付けるため、春の歌やマズルカのもともとの楽譜を確認したところ、版によって解釈の違いがあることも思い出した。
ピアニストはもちろん研究していると思うが、ピアノ講師勉強会などでも必ず話題に出る「演奏者や“版”の解釈の違い」。
マズルカ7-1の楽譜ひとつとっても下記のようにスラーのかけ方に違いがある。

エキエル版・パデレフスキ版・ヘンレ版など
春秋社版・全音版など

どっちがいいのか?で迷ったが、もともとのショパンやメンデルスゾーンのアーティキュレーションに囚われすぎず、「夏は来ぬのメロディに即したフレージング」が必要であり、自分がどう弾きたいのかが大切であることも気付くことができた。
これまで“与えられるアーティキュレーション”だったが、自分発信というのがとても新鮮だった。

■クラシック風アレンジについて
モーツァルトピアノソナタ風とショパンマズルカ風についてはアレンジのテーマが「作曲家風」だったのに対し、メンデルスゾーン春の歌風は「楽曲風」となった。
ピンポイントで「春の歌」を使ってアレンジできたのは、春の歌らしい特徴や展開が使いやすかったからか、先述したように最近ちゃんと練習して弾いたばかりだったので自分の認知度が高かったからか。(“夏”は来ぬ“春”の歌アレンジなので、季節感がおかしなことになってしまったが、せっかく練習したので。せっかくなので!!)
モーツァルトソナタとショパンマズルカに関しては“作曲家”までは広げないまでも、ソナタやマズルカの何番かには出てきそう…という何となく感が入っている。

■サンバおよびウォーキングベース風アレンジについて
ござ式の本を見ながら何となく作れてしまったサンバアレンジ。そして何度も書き直して何日もかかって作ったウォーキングベースアレンジ。どちらも楽譜を作ってさぁ弾こう!とピアノに向かったが、弾くのが難しかった。
そして、楽譜を作ってる時から弾き終わるまで常に頭のどこかで「これでいいのかな??」と思っていた。消化不良で、あまり理解を深められていないということが分かる。
ラテンの章ではトレシージョやモントゥーノ、ボサノバ、サンバ。ジャズの章ではスイング、コンピングやストライド、ウォーキングベース。
リズムや弾き方の違いをしっかり覚えてしまって弾きこなせれば、もう少し“乗って”弾くことができるのではないかと思う。
本でもござさんが書いているが、たくさん聴いてたくさん弾くことが理解に繋がるというのが体感できた。

■ポップスについて
ポップスアレンジは今回行わなかった。
ラテンのリズム習得と同様、ポップスも左手のリズムを難なく刻めるようにして、もう少し長い曲で左手リズムやオープンの形での和音進行を表したいと考えてしまう。ポップスに関しては選曲も含めてもう少し試行錯誤してみることにした。

■最後に
夏は来ぬアレンジは、とにかくびっくりするほど良い経験になった。
クラシックだけでなくサンバやジャズのことを考えて弾く「ジャンルを超える旅」であったり、
楽譜ソフトに向かい、まじまじと楽譜を眺めて調べものをし、ピアノを弾き、更に動画編集して…というのを行ったり来たりする「多岐に渡る作業の旅」であった。
一人で右往左往しつつこの3分ちょっとの動画を作ったのだなと思うと、さ…さんぷん!?と短さに愕然するが、私にとっては貴重な経験になった。
そしてこの一連の作業をござさんは一瞬にして頭の中で行い即興するんだなと考えると、途方もないという言葉しか出てこない。
ござさんの音楽からはいつも楽しさ自由さが伝わってきているが、その裏付けを少し見られたような気がした。
私も更にピアノを楽しみたいと思う。

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