舟を岸につなぎなさい 4

「舟を岸につなぎなさい」 菊池霊鷲
第四章 岸につなぐには

この大経綸からすれば、各国はそれぞれ其経綸を行うための一ブロックであり、ブロック毎に、責任をもつて、其国々の風習や気候や気質やに照合しつゝ、最も効果的に、その大経綸の実現化に努力すべきであります。故にこの大経綸の産院は、各国共有のものであり、各国努力して建設維持すべきものであります。
又、当然として各国もれなく参与すべきであり、全力を挙げて、協力すべきであります。
場所は、各国の最も寄り易い所を撰ぶべきでありましよう。
国民を愛する各国の元首や、指導要路にある人々は勿論のこと、人類の光輝ある存続を希う人々は、其内心深くで、現代の政治が此の様な確固たる大基盤上に置き替えられるべき機会を待ち希んでいられた事でしよう。

率直に言つて、これまでの人類独尊的基盤上に於ける政治を俗綸政治というならば、万物互尊という大基盤上に樹立される政治を、真綸政治というべきでせう。
俗というのは、人類のみの福祉追求を基本にするものゝことをいゝ 真とは、万物共存共栄を基本とするものゝことをいゝます。この真綸政治によつてのみ、従来の俗綸政治による永きに渉つた不備と貧困を悉く解決出来るのであります。
勿論俗綸も必要であります。しかし俗綸は必ず真綸に照合しつゝ運転されるべきものであります。

然り、俗綸を導く真綸の出現こそ、今日人類の断末魔に臨んで、ただ一つ、起死回生への妙諦であります。この大切な世界共通の新しき政治経綸の産院を持つか、持たぬか、或は持たせるか、持たせないかが、たつた今存亡の分水嶺に立つている人類の運命を決定づけるものであります。

いやいや分水嶺は疾つくに滅亡の方向に下り坂であります。して見れば問題は、存続の方向に挽回可能のうちに持てるか持てないかであります。
頭を澄ませ雑念を払つて、静かに思いめぐらしなさい。人類はこれ迄もじつと手を拱いていたのではないことを。
それにも拘わらず、その努力と期待との真反対に、不幸と不安と不平と不満と、揚句に自己解体を招き寄せたのであります。
この、目的と結果の何と大きい食い違い!!これは何を物語るものでしよう?

立脚基盤そのものに誤まりがあれば、如何なる目標も、指針も、実行も発見も、発明も、成功も、進歩も、努力も、所詮『転落の滝壷に突進する笹舟の上の、子供の戯れでしかない』ことをはつきりと物語つているものであります。
斯うした折柄、人類幾千年来の、根本無明を払い、原罪の正体をはつきりと見究めて、罪業の大河から開放されるたつた一度の機会が示されようとしているのであります。
この機会を素直に掴んで、笹舟を岸につなぎとめ、しつかりと大地に立ちなさい。

                           慧 日(霊鷲)

いいなと思ったら応援しよう!