現代と瞑想5 ダイナミック瞑想・第1ステージ(早く激しい呼吸)の考察

この呼吸法は、自分の内側に出来上がってしまっている古いパターンを、いったんカオス(混沌)のなかに投げ込む事で、無意識の中に閉じ込められ抑圧されてきた感情を浮かび上がらせるためのものである。

突拍子も無い呼吸法のようだが、ヨーガをやったことのある人なら似たような呼吸法があることにすぐに気が付くだろう。
それはバストリカ・プラナヤーマ(Bhastrika Pranayama)である。バストリカとは、「ふいご」のことであり、プラナヤーマは呼吸を意味している。
この呼吸法は坐を組んだ姿勢で、あたかも「ふいご」のように鼻孔から早い呼吸を繰り返すのである。実はこれは最初には、鼻孔の片側ずつで(もう片側は閉じて)行い、次の段階で両鼻孔から行うようになっている。これの最後にクンバカ(止息)や、ジャランドハラ・バンドハ(一定時間体を前屈みに固定させること)を組み合わせる事がある。

耳慣れない言葉ばかりかもしれないが、ヨーガでは身体のエネルギーの通り道の事を、ナディー(Nadi)と呼んでいる。
三つの主要なナディーがあって、ひとつは脊柱の中を通るスシュムナ・ナディー、そして脊柱の両脇にある、イダ・ナディー、ピンガラ・ナディーである。坐禅をする人は背骨を真っ直ぐに立てて坐る時、背骨にエネルギーの柱が出来上がっている事を感得する事と思う。これをスシュムナといってよいのではないかと思う。イダ、ピンガラは下のチャクラから螺旋曲線を描いて各チャクラで交差反転して上に向かい、それぞれ左右の鼻孔に繋がっている。左右の鼻孔ごとに呼吸を行うのは、こういった理由によるものであろう。

小難しいことばかり述べたが、ダイナミック瞑想と言って、何か勝手に適当な技を考え付いたのではなく、こういったインドの古い伝統を踏まえて、内的な洞察のもとにデザインされたものだといって良いのではなかろうか。

(ALOL Archives 2012)

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