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代代代「むだい」視聴会@タワーレコードNU茶屋町店

 代代代が10/24に発表するミニアルバム「むだい」の先行視聴会がタワーレコードNU茶屋町店にて行われたので拙い文章ながらも曲の雑感をば、平日にイベントあるの新体制になって初だから嬉しい。


 今回の雑感は"アイドルのアルバム"というよりも"音楽作品"としての感想を書くことになりそうなので、メンバーのパーソナリティのような話よりも音楽理論的な話に触れることが多くなります。(なるべく解説や補足を挟もうと思います。) そういう次元のアルバムでした。

ネタバレが含まれるのでそれでもいいよって方はスクロールしてね




では





1.クラウスイハ

 代代代の曲は小倉さん(代代代プロデューサー)がちょうどその時期にバンドをやっていたからか、00年代前半の匂いを感じる曲が多いです。この曲はまさにそういった、スーパーカー (1990年代後半から2000年代前半にかけて邦ロックシーンにとんでもない爪痕を残したバンド。メンバーはチャットモンチーなどのプロデュースを手掛けた。) を代表とする、ドリームポップという言葉が生まれる前のドリームポップのサウンドに近しいものを感じました。あと曲の後半にシンガロングができる。ライブで聴きたい。


2.凶ぺ

「凶ぺ」って書いて「まがぺ」って読むんだって、普通に読ませてくれ

 代代代初の変拍子曲でした。5拍子。(10拍子で解釈したほうが都合がいいかも)
 この曲を敢えてジャンル分けするのならインダストリアル(ノイズミュージックの一種。)で、この手のジャンルはリズムという概念が存在しにくいジャンルのはずなのにそれを逆手にとったかのように変拍子になっています。その上「ただ何もしたくない」というフレーズが4拍子としてポリリズム (1曲の中で2種類以上のリズムが同時に鳴る技法) っぽく入ってくることで、リズムの存在を感じずにはいられない構成になっています。

"音楽作品"としてレビューしたくなった原因の曲です。ライブで聴きたい。
ってかライブできるのこれ


3.ZZアリン

以前から音源化されていた曲なので感想略。ライブで聴いて。


4.TENPENCHii!!

 こちらも以前から音源化されていた曲。新体制になってからアレンジが変わって、それが今回音源化された形です。曲そのものの構成は大きく変わらないもののドラムのドコドコ感が増してます。ケチャが楽しい。ライブで聴いて。


5.インター流動

 名前の通りInterlude(アルバムで曲と曲の間に入ってる曲っぽくない曲のこと)。
 代代代ファーストワンマンで水が跳ねるVJにリンクして流れていた曲です。あの時と違ってメンバーの声と思わしき声が入っていました。ワンマンではこの曲が流れた後に前作の「戌戌戌」に収録されていた「少しフィクション」が始まったので、続けて聴くと繋がってそう。早く音源が欲しい。


6.血湧き肉ダンス

梅田にいるのにアメ村に来たかと思った。


7.歪んだ歪み、歪んだ歪み

 読み方は「ゆがんだひずみ、ひずんだゆがみ」。んだんだ。

 今回のアルバムで一番好きな曲。水の中にいるような頽廃的な美しさ。このきょくについていっぱいしゃべりたい。


 代代代の曲には珍しくノンダイアトニックコードとノンダイアトニックノートが用いられている曲です。
 西洋音階には「ドレミファソラシ」とそれらの中間の音を足して12個の音があり、普通の曲はその12音のうち7つの音のしか使ってはいけないという決まりがあります。この時に余ってしまった5つの音のことをノンダイアトニックと言い、これらの音を曲中に使うと不協和音になってしまうため扱われる機会が少ないのですが、ノンダイアトニックを曲を崩さずに使うことができる特殊な場合がいくつか存在し、今回ではそのなかでも「クリシェ」という技法が用いられていました。「クリシェ」はクラシック音楽において美しさを表現するときに使われることの多い技法で、穏やかで流れるような曲調のなかに、今にも壊れてしまいそうな刹那な美を感じました。

 曲の後半では左右のスピーカーから溢れんばかりのノイズが耳に流れ込んでくるのですが、これについてもちょっと語りたい
 前述した通り代代代には00年代を感じさせる曲が多く、それらにシンパシーを感じるおじさん達がホイホイやってくる現場 (怒られる) なのですが、この耽美的なノイズにはworld's end girlfriend的な10年代の表現を感じずにはいられませんでした。
 30になっても40になっても心に抱えた中二病が治らず、そうやってできた社会との溝から生まれたドロドロとした感情を音楽にしているマジで最高なVirginBabylonというレーベルがあり (怒られる) 、world's end girlfriendはそのレーベルを代表するアーティストでもあります。(00年代に栄えた残響レコードが10年代にシフトした感じのレーベル。)「歪んだ歪み、歪んだ歪み」はこれまで代代代がしっくりこなかったような、10年代の表現に入り浸って育った人間に刺さる代代代の間口を広げるカギになる曲だと思います。マジで好き。んだんだ。


8.ワールドワイドハピネス

 代代代ファーストワンマンで初披露された、DRINKPED(小倉プロデューサーが昔組んでたバンド)のカバー曲です。下のリンクからDRINKPEDバージョンを聴くことができます。

 波乱万丈な曲たちが軒を連ねる「むだい」の最後を務めるのに十分なほどポップで、でも何かひっかかるような歌詞で、最後の最後まで心と頭のいろんな部分を引っ掻き回されるアルバムです。でした。



あの、本当にアルバムとして完成してます。2018年は様々なアイドルがそれぞれの個性をギリギリまでとがらせたようなアルバムを発表しまくった年ですが、音楽的な意欲さ、アイドルとしてのどこまでやれるかの実験で言うとこのアルバムを超えるものがないんじゃないでしょうか。この文言にイラっとした方は是非発売日に手に取って聴いていただきたい。代代代の売り上げになります。(そうだけどそうじゃない)



一周しか聴いてないのにこんなレビュー書いちゃって、ちゃんとアルバムが手に入ったときにどんな見当違いなこと書いてるか見返して顔面真っ赤になるの楽しみだナ~~~


代代代公式Twitter - https://twitter.com/daidaidai_info

代代代公式HP - http://daidaidai.link/

ミニアルバム「むだい」特設サイト - https://mudai2018.tumblr.com/

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