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227「初恋」ピアノ弾き語りver.

心の指針227より / Prayer MAYU
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227「初恋」
トュルゲーネフの『初恋』を初めて読んだのは、
もう五十年も前のことになる。
甘美で、
新鮮で、
ショッキングだった。

自分の初恋の人が、
父親の恋人だったなんて、
あまりに哀しすぎた。
私の年齢(とし)は、
主人公の少年と、さほどかわらなかった。
十代の私には、
大人の世界が、
まだ分かっていなかったのだろう。

半世紀近く経って読み直してみると、
貴族の若者たちの、
堕落した姿が透けて見えた。

大人たちが、
お金のために結婚をし、
愛人も作れることも分かった。

『初恋』の主人公は、
父親の死を経験した。
初恋の人が、
他の青年貴族と結婚したと聞いても、
逢いにゆくのをためらった。

ようやく重い腰を上げて、
ホテルに逢いにゆくと、
彼女は、お産のために四日前に急死していた。

大人の欲望と少年の性欲。
煩悩の海の中で泳いでいる者たちの悦びは、
いつか終わりが来る。
華やかさが、悲しみに変わる時がやってくるのだ。

(心の指針227より)

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