2005年『さよならみどりちゃん』感想
2005年『さよならみどりちゃん』（監督/古厩智之）観賞。
まだまだ若い西島さんはユタカと言う軽い男の役。漫画作品が原作ですが未見なのでどこまで忠実なのか、どう違うのか比較はできないのですが、ポスターなどから受ける恋愛映画的な印象とは違い、西島さんの役が本当にクズなので（笑）少々観るのが辛い作品でした。星野真里さん演じるユウコがユタカを好きになるがユタカには「みどりちゃん」という恋人がいる。「みどりちゃん」は最後まで登場しない。それでもユタカの誘いを断り切れず男女関係を続けている。けれどユウコも一途かと思えば他の男と寝るし、みんな若いせいなのか自分を無駄に消費している。
遊びでしかない関係はただ心身共に蝕む。そんな情熱的な日々もあるけれど、個人的にそう言う関係に否定的なのでどこか冷めた目で見ていた。また西島さんの役がぶれないくらいのクズ野郎なので反対に憎むに憎めず。彼に魅かれてしまう女が何とかしなくちゃ、と思えてしまう。ユタカはそれなりに柔らかい言葉もかけたりするし見かけは魅力のある男だが、普通なら好きな女にホステスさせたり、風俗やらせようとは思わないからやはりクズだ。かなりムカつきました（笑）
そんな男でも星野真里さん演じるユウコが全力で彼に好きだ、と告げて玉砕するシーン、とても良かった。音痴だから、とずっと断り続けていたカラオケをこれまでのすべてを断ち切るように思い切り熱唱するラスト。悲しいながらユウコは次の一歩に進める、と思った。ある意味希望のラストでした。ユウコはユタカにも、登場しない想像しかできないユタカの恋人「みどりちゃん」にも別れを告げられたんだな。
西島さんはこの役を演じた時のことを「アクターズ・ファイル5」（キネ旬ムック 新世紀のスピリチュアル・アクターズシリーズ「西島秀俊」（2006年出版）の中で浅野妙子さん（脚本家）にこう語られている。
―『この頃、彼は太ることに取り憑かれていたそうだ。「（ビート）たけしさんや勝新（勝新太郎）さんみたいな存在感のある体に憧れて」突如、御飯を食べまくったというのだ。（中略）後でスクリーン上に観た彼の体は確かに不思議な存在感を放っていた。抱き合った時の男の体の重さ、肉感。それがこの映画ではとても大事な要素だったんじゃないか』
そんな言葉にもあるように、西島さん演じるユタカはとても性的で魅力的だ。そして無邪気なのが憎らしい。子供のような小悪魔のような西島さん、ムカつく役だけどとても良かったです。
※ラブシーン、裸、セクハラなどてんこもりなので性的描写が苦手な方はご注意。
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