2013年『ストロベリーナイト』(映画)感想
2013年映画『ストロベリーナイト』(佐藤祐市監督)観賞。
雨の日に起こったとある刺殺事件。暴力団絡みと見せかけた一筋縄では行かない事件の匂いを嗅ぎつけたのは、過去に多分似た傷を持つ捜査一課の冷徹な美貌を持つ姫川(竹内結子さん)。単独行動をする彼女に部下、菊田(西島秀俊さん)は同じ班の者としていつでも彼女を手助けできるよう見守り続ける。画面の中はずっと雨が降り続いている。
それは透明ですべてを洗い流す水であり、纏いついて離れない血でもある。作品上では明かされなくとも勘づいてしまう姫川の痛ましい過去が彼女を動かす。強い瞳、まっすぐな黒髪、真っ赤な色のバッグ。彼女の命は使命を成し遂げるよう息づく。作中の西島さんはそれほど大筋に絡む役ではないが、若々しく、爽やかで、姫川を守りたい想いが溢れている。犯人でもあり恋敵でもある牧田(大沢たかおさん)と一対一でやり合う場面はクールな中に熱を感じた。
少し戻って冒頭、ファンにとっては有名なシーンだと思いますが姫川が持つエルメスのバッグを「バーキンですか?」と何気なく訊いた菊田に対し「オータクロア!」と強めに言われて少々気圧されながらも何故その色を選んだのかを問う。そこでは明かされなかったけれど姫川の表情は硬くなった。
映画の後半、やはり単独で犯人の部屋に突入しようとする姫川に対し菊田に「それは刑事としての判断ですか?」と問う。姫川はバッグの色の意味について答える。そして乗り越えるためにその色にしたのだ、と菊田に教える。納得する菊田。そして突入する二人。その時の竹内結子さんの視線の強さが凄まじい。殺人や暴力シーンが激しいため、これから視聴される方は注意。ここは強く。ただ竹内結子さんが悲しいほど美しいです……。
個人的に音楽がドラマチックで印象に残り、クレジットを確認すると『真犯人フラグ』を担当した林ゆうきさんだった。なるほど。そのドラマにも出演していた田中哲司さんも発見。繋がりを見つけると嬉しい。
PS / 姫川の持つバッグがあまりにも美しかったので今更ながら調べてしまった。エルメスのオータクロア32、色はルージュヴィフ。四角くバーキンよりは小ぶりで、彼女にとっては違う意味で捉えていた色だが果実のように深みのある色合いの赤だった。その深みが映画の中では逆に生々しくもあった。