2018年ドラマ『満願』第1夜「万灯」感想
2018年ドラマ『満願』第1夜「万灯」(脚本/大石哲也)鑑賞。
「あの国にある天然ガスを使い、日本に運び、街の灯りにしたかった。」
男が語る言葉はある意味、仕事熱心で一途ではあるが、己の熱意を妨げようとする者の口を封じ込めてしまうのは狂気の沙汰だ。
『満願』全3話の中のひとつめの物語「万灯」。西島さんは主人公、伊丹。
西島さんの風貌はいつも通り白シャツ姿のサラリーマンなので、どんどん不穏な状況に追い込まれて行く中で、どこかどんでん返しがあっていい人に転じるのでは、と思いそうになるが、このドラマでの西島さんは冒頭の、たったひとつの仕事をやり遂げたかったために殺人さえも厭わない。更にその殺人を隠すため、新たな殺人も犯す。しかし思わぬ落とし穴があり、逃げられなくなる。そこで終わる。
結局、成し遂げたかった仕事には死がついて回り、自らの首をも締める。行き過ぎた正義感のようなものは幻想であり、現実には負ける。
しかしここでの西島さんは凄まじかった。視線が定まらず、口で荒く呼吸をする姿は恐ろしくて、見ているこちら側も苦しくなるほどだった。
この作品の後に、あの愛おしいAI、マリオ役を演じたのだから凄い。未だにフィクションであると判っていてもマリオをインストールできたらいいのに、と思ってしまうもの。
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