海外のITベンダー(SIer)と取引するにあたってのコツ3選
海外のITベンダー(SIer)と取引する際には本当に色々なトラブルが発生しがちです。異なる文化やビジネス慣習の中で円滑にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。今回は、特に重要な3つのコツについて詳しく説明します。
1. ダメなものはダメとしっかりいう
本当に基本的なポイントではありますが、実際の現場においては「ダメなことをダメだと伝える」という基本が意外にできていないケースが散見されます。出来ていないケースとしては「相手にそもそも温度感や重要度が伝わっていないケース(論理的に整理されていない、言語化されていない、英語力が足りていない等)」です。
海外ベンダーとのミーティングに出ていてよく感じるのは、日本側の温度感や重要度が伝わらず、相手の観点からは「そこまでダメでもないんじゃないか?インパクトも原因もよくわからないから一旦持ち帰って検討ということにしておこう」というスタンスになられてしまい、のらりくらりかわされるケースがあります。このケースになると、課題管理表で管理されていても中々進捗が見られずに、日本側としてはイライラしてしまうケースが多いです。明確にベンダーの責任で何かを期限までに解決したい場合は、
・どの基準で何がダメなのか?
・その基準はどこで合意されたものか?
・問題のインパクトはどれくらいのものか?
・問題解決の期限はいつなのか? それはなぜか?
・誰が解決すべき問題なのか?
こういったことを1つずつ丁寧に説明して、ベンダーの責任でアクションを起こして解決すべきであるということを証明しなくてはいけません。
こういったところは、雰囲気でコミュニケーションとっていてもどちらが何をすべきかが擦り合っている日本のベンダーさんとの大きな差分だと思います。なお、雰囲気でコミュニケーションすることは、曖昧さを残してコミュニケーションを進めているということなので認識の齟齬が出やすいというデメリットもあります。
海外ベンダーとやり取りするときはコミュニケーションを避けずに「明確にフェアな要望する」ことが大事であり、曖昧さを排除することでお互いの責任範囲が明確になるため、しっかりと責任範囲を明確にしていけば双方が働きやすい環境を作ることが可能です。
2. 「わかってくれない」ではなく、「わからせられていない」と常に自問自答する
これは、”雰囲気”にも通じるところがあるのですが、異なる文化圏の人々とのコミュニケーションにおいて、「察してくれる」ことを期待できません。相手が何を理解していないのか、どのように説明すれば理解できるのかを常に考える姿勢が重要です。
特に、日本では暗黙の了解や非言語的なコミュニケーションが重視されることが多いですが、海外の多くの国では明確かつ具体的なコミュニケーションが求められます。そのため、自分の要求や期待を具体的に言語化し、相手に伝えるスキルが必要です。
イメージとしては、ホテルと旅館の違いです。
ホテルは、コンシェルジュが「あなたの要望を教えて下さい。しっかりとその要望に応えさせていただきますと」いうスタンスであるため、まず「何をしたいのか?」といった要望が明確になっている必要があります。
一方で、旅館はお客様が抱えているであろうお困りごとに対して、想像力を働かせて一歩先まわりをして「言われる前に行動しようとする」ということがサービスの売りだったりします。これこそが”察する”ということの1つの境地だと思います。
海外は色々な宗教・人種・バックグラウンドの人が暮らしているので「要望はみんな違う。行ってくれないとわからない」というスタンスである一方、島国である我々日本は大きな価値観は揃っているので「こうしてくれたら嬉しいだろう」ということは想像しやすい環境にあるのも一因だと思います。
つまり、海外ベンダーとのやり取りをする際は、「察してほしい」という気持ちを一度捨てて、自らの要望をしっかりと言語化して伝えるという意識を持ってコミュニケーションしてみてください。
3. 結局は人が重要
最終的には、プロジェクトの成功は人にかかっています。技術やシステムがいかに優れていても、それを扱うのは人間です。したがって、信頼できる人材を見極め、プロジェクトに参加してもらうことが鍵となります。
特に、海外のITベンダーとの取引では、文化や言語の違いがある中で、信頼できる人かを見極める為に必要なことは下記2点だと思っています。
逃げない姿勢
問題が発生した際に責任を持って対応してくれる人材を見極めることが重要です。責任感があり、問題解決に積極的に取り組む姿勢を持つ人材かどうかは、過去の炎上PJの経験やその人の仕事に対するスタンスを知る必要があるので、プロジェクトの初期段階でそういった経験に関する質問をしておくのが良いと思います。課題を自分ごととして捉える
プロジェクトに課題はつきもので、課題がまったくないプロジェクトはありません。この課題の捉え方が非常に重要です。
課題が発生した時に、
・自分ではない誰かの課題
と捉えるのか、
・自らがアクションを起こして解決すべき課題
と捉えるのかによってアクションの質とスピードが大きく変わります。
何か課題が発生した時に、どこか人ごとのような感じで捉えている人は要注意です。課題を自分ごとで捉えない人は「これは誰の責任か」という犯人探しを始めてしまって、本質的な課題解決が遅れる可能性があります。
理想的なスタンスとしては「この問題をどう解決するか」を共に考える姿勢が重要であり、双方がそのような姿勢を持っていればスムーズな課題解決につなげることができます。
上記スタンスに国籍は関係ありません。逃げずに、自分事として課題を捉えて課題解決を率先垂範できる人は貴重であり、長期的に一緒に働けるようにしていきたいです。
結論として、海外のIT企業と取引を成功させるためには、「ダメなことはダメという明確で具体的なコミュニケーション」、「自分の要望を言語化ししっかりと分からせる」、そして「信頼できる人材を見極め、強固な関係構築する」といったことが不可欠です。これらのポイントを押さえることで、異なる文化やビジネス慣習の中でも円滑にプロジェクトを進め、成功へと導くことができると思います。グローバルで活躍できる人材になっていきましょう!
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