#2 官公庁業界のクラウド化に対して思うこと
官公庁のクラウド事情
AWS、Azure、GCPといったクラウドサービスが注目を集め、SI業界でもクラウド化というワードが見聞きされるようになってきた気がします。しかし、日本の企業は未だに「オンプレミス信仰」が強く、世界的に見るとクラウド後進国と言わざるを得ないのが現実です。特に金融や官公庁のシステムはセキュリティに関する要件が厳しく、クラウドなどの新しい技術は採用されにくい傾向が根強く残っています。参考までに以下のGartnerの調査結果を見てみると、トータルのIT支出に対するクラウドサービスの支出、成長率と共に日本はかなり低い位置にいることがわかると思います。
出典:https://www.gartner.com/smarterwithgartner/cloud-adoption-where-does-your-country-rank/Cloud
しかし、官公庁システムに関しては日本政府がクラウドバイデフォルト方針を掲、デジタル庁を中心に政府共通システム基盤をクラウド上で構築する方針を掲げる等、クラウド化にようやく着手する兆候が見え始めました。実際、私が社会人1年目で関わっていた官公庁系プロジェクトでもクラウド構築を前提とした要件を定義していました。
クラウド化の兆候はあるが、、、
前節で書いた通り、日本政府のクラウド化の兆候は見られるようになりました。では、この流れのまま政府システムのクラウド化が進むのでしょうか。
個人的な意見としては、私は現状のままではクラウド化が迅速に進むことはないと考えています。なぜこのように考えるかというと、理由としては大きく分けると以下のものが挙げられます。
1.根底に強く根付いたオンプレミス信仰
クラウド推進の流れが出始めてはいますが、やはり根底に根付いたオンプレミス信仰はなかなか払拭されないように見受けられます。実際に、システムをクラウド移行するとなった場合でも重要度が高い情報についてはオンプレミスに保管する設計がなされるケースが多のではないかと思います。あと、基本的にあまりベンダーにサービス管理を依存したくないのかマネージドサービスの採用が避けられる気がします(AWSで言うところのRDSやS3とかは使わず、あくまでIaaSの範囲で採用されがち)
2.クラウドシステムを構築できる技術者が圧倒的に不足している
私が所属している企業はそれなりの規模のSIerなので、官公庁系のシステムもそれなりの数関わっています。そのため、部署内の人数も多くいるのですが、正直なところクラウド技術に精通しているメンバーがいるとは言えないと思います。一応別部門にクラウド部隊みたいなものはあるのですが、彼らは官公庁系専門という訳ではないので、官公庁部門に裂ける人員には限りがあります。おそらくこれは他のベンダーでも状況は変わらないと思っていて、AWSやMicrosoft、Googleといったクラウドベンダーが支援したとしてもプロジェクトを回す側の人間の技術力が不足しているので構築スピードは早くなりようがないと思います。クラウド構築になったとしても開発手法がウォーターフォールからアジャイルになるとも思えませんし。
我らSI社員はどうするべきか
完全に私の個人的な考察になってしまいましたが、現状圧倒的にクラウド化を推進できる人材が不足しています。その影響もあり、クラウド技術を持つエンジニアは少なくともSI業界では今後かなり重宝されると思われます(会社の上司にもよく学習を勧められます)。このnoteを読んだSI社員の方、ぜひクラウドを勉強してみて下さい。参考までに私がよく参考にするAWS学習用リソースを貼り付けておきます。(Azure、GCP等はあまり詳しくないのでいい学習リソース知っている方教えて下さい!)
AWS Black Belt
AWSの社員の方が各種サービスごとにわかりやすい資料を展開してくれています。サービスを最初に勉強するときに役に立つと思います。
AWS ホワイトペーパー
リファレンスアーキテクチャ図やベストプラクティス等一歩踏み込んだ内容を学習することができます。割と難しい内容もある&分量が多めなので興味があるものを読んでみるぐらいの気持ちでいいかも。
DevelopersIO
クラスメソッドという会社が発信する技術ブログ。基本的な内容から最近できたサービのハンズオン形式の内容等幅広い領域をカバー。個人的にはかなり面白いと思います。